JAXAの「戦略的中型計画」の候補ミッションである次世代赤外線天文衛星SPICA(スピカ、注1)について、2018年5月7日、欧州宇宙機関(ESA)は宇宙科学プログラム コスミック・ビジョン(注2)中型ミッション(Mクラス)5号機(M5)の候補の1 つとして選択したと発表しました。SPICAはJAXAが大阪大学・名古屋大学など全国の大学・研究所や、ESAをはじめとした海外の研究機関・大学とともに推進する国際共同ミッション(注3)です。
今回、候補となった3つの計画(注4)から、2021年には1つのミッションが最終選抜される予定です。
SPICAは、極低温に冷却した口径2.5m の大型赤外線望遠鏡を宇宙に打上げ、宇宙観測を行う計画です。これまでよりも高い感度で赤外線観測を行い、従来観測できなかったガスやダストを大量に含む銀河を調べ、その進化を解明したり、惑星系が誕生・進化する過程等を明らかにしたりすることを目的としています。
SPICAを実現するために不可欠な技術である極低温冷却技術は、JAXAがこれまでに蓄積してきた強みを持つ技術を発展させ適用するものです。また、日本のSPICA チームにて、搭載する機器や観測装置の提案を行うなど計画検討を積極的に進めてきました。今後、JAXAでは戦略的中型計画の候補ミッションの1つとして、引き続き、国内外の協力機関・研究者とともに、計画を進めていく予定です。
関連するweb情報
ESA Cosmic Vision M5 一次選択結果発表ページ
http://sci.esa.int/cosmic-vision/60257-esa-selects-three-new-mission-concepts-for-study/
JAXA 宇宙科学研究所 SPICA 計画ホームページ
https://www.ir.isas.jaxa.jp/SPICA/SPICA_HP/index.html
注釈
注1:SPICA: Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics
注2:宇宙科学プログラム コスミック・ビジョンは、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙科学長期プログラムです。その中型クラス(M1-M4)としては、以下のミッションがすでに選抜されています。
M1: 太陽観測衛星 Solar Orbiter
M2: ダークマター・ダークエネルギー観測衛星 Euclid
M3: 系外惑星探査ミッション PLATO
M4: 系外惑星大気観測衛星 ARIEL
注3:日本では、JAXA、名古屋大学や大阪大学をはじめとする国内の大学等の研究者が、海外ではオランダの宇宙科学研究所SRON(Netherlands Institute for Space Research)を中心とした欧州の16 カ国に加え、米国、カナダ、台湾等の研究者が参加しています。
注4:ESA コスミック・ビジョン M5 の 一次選抜に選ばれた将来ミッション候補は、以下の3つです。
次世代赤外線天文衛星SPICA
金星探査 EnVision
突発天体観測衛星 Theseus