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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今般、長年にわたり宇宙観測を行い2015年4月に運用を終了していた磁気圏観測衛星「あけぼの」が、自然落下により日本時間2024年11月26日13時48分ごろ、南米上空(南緯26.6度、西経54.1度付近)において大気圏に再突入したことをご報告いたします。

「あけぼの」は、1989年2月に打ち上げられ、オーロラ電子の生成メカニズムやオーロラに関連する物理現象を解明することを目的として、オーロラ撮像カメラ、電場・磁場・プラズマ波動、プラズマを観測する9つの観測器による観測を行いました。オーロラ分布が電離圏の状態にコントロールされて季節に依存すること、オーロラ電子が冬半球に偏って分布することなど、オーロラ電子の加速メカニズムに迫る科学成果をあげました。また、11年の太陽活動周期を超える観測によって、ヴァン・アレン帯などの内部磁気圏現象と太陽活動との関係を明らかにすることを目的に研究を進め、地磁気活動に応じてヴァン・アレン帯外帯の密度・エネルギーが激しく変動することや、更には太陽活動に応じてヴァン・アレン帯外帯が消長する様子を明らかにしました。これらの数多くの科学成果の源となった26年間もの長期間に及ぶ「あけぼの」の貴重な観測データは、太陽-地球系科学分野の研究に大きく貢献し、放射線帯観測によって宇宙天気予報にも貢献するなど、私たちの生活を豊かにする上で重要な役割を果たしてきました。運用期間中に取得された科学データは、科学衛星データベース(DARTS)などから世界中の研究者に公開され、太陽-地球系科学分野や宇宙天気予測などの研究に活用されています。

「あけぼの」は、遠地点高度の低下に伴う観測機会の減少や衛星システム・観測機器の経年劣化に伴い、2015年4月に運用を停止いたしました。その後も地球の大気抵抗等により徐々に高度低下が続き、2024年11月26日、大気圏に再突入しました。

「あけぼの」は、その長きにわたる運用期間を通じて、太陽-地球系科学分野の新たな地平を切り開く上で重要な役割を果たしました。「あけぼの」で培われた科学的問題意識は、その後の小型高機能科学衛星「れいめい」やジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)にも引き継がれ、益々発展を続けています。本衛星の開発、運用等に関わった関係者に厚く御礼申し上げます。