宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の渡辺 伸(わたなべ しん)准教授も参加する、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)柳下 淳(やぎした あつし)特任助教及び高橋 忠幸(たかはし ただゆき)教授を中心する研究グループは、複数の放射性核種をプローブ (トレーサー) として用いた小動物生体内における分子イメージングで従来問題となっていた画像のノイズの課題を解決し、各核種を同時にかつ正確に画像化することに成功しました。
本研究で用いられている撮像装置に搭載されたテルル化カドミウム(CdTe)半導体の撮像検出器は、宇宙観測用として、JAXA宇宙科学研究所が中心になって、開発研究を進めてきたもので、X線天文衛星ひとみ (ASTRO-H) で宇宙用観測装置として、実現したものがベースとなっています。
また、本研究は、JAXA宇宙科学研究所とKavli IPMU とで、2018年4月1日に本格的に活動を開始した「硬X線・ガンマ線イメージング連携拠点」に参画する研究者の連携によって、生み出されたものです。
宇宙観測用に開発された硬X線・ガンマ線検出器であるCdTe検出器の分子イメージング装置への適用のみならず、解析手法においても、X線天文学の天体観測データ解析で用いられるスペクトル解析方法を適用しています。
つまり、今回の成果は宇宙物理学における技術や解析手法が基礎となり、小動物生体内の分子の動態を調べる新たなイメージング技術の開発に結びついた成果と言えます。