JAXA宇宙科学研究所とJSGA(日本スペースガード協会)の研究者グループは美星スペースガードセンター(注1)において、日本時間2018年3月13日に地球接近小惑星2018 EZ2のライトカーブ(注2)の観測を実施し、この小惑星がわずか172秒で高速自転していることを突き止めました。また、この小惑星の形状は、軸比が1.7:1.0の細長いものと推定されます。
この小惑星はJAXA研究開発部門がオーストラリア、サイディング・スプリング観測所で日本時間3月12日19時05分頃に発見した小惑星です。発見直後の小惑星が明るくなるタイミングで観測を行うことで、これほど高速で自転する小惑星の検出に成功しました。米国のジェット推進研究所(JPL)によると、この小惑星は、日本時間3月14日11時41分頃に地球に約21万km(月軌道の内側)まで接近しました。
推定される直径は約20mで、2013年にロシアに落下して大きな被害をだしたチェリャビンスク隕石とほぼ同じ大きさになります。この小惑星は高速自転が生み出す遠心力に耐えることができる、強い内部構造をしています。今回の観測結果は、地球に近づく小惑星の物理状態を明らかにする手がかりとなります。
注1:美星スペースガードセンター:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、一般財団法人日本宇宙フォーラム(JSF)、特定非営利活動法人日本スペースガード協会(JSGA)が共同運用している観測所。主に、スペースデブリと太陽系小天体の観測を行っている。
注2:ライトカーブとは小惑星の明るさの時間変化のデータのことで、ライトカーブが取得できると自転周期や形状などを推定することができる。