太陽などの恒星や地球のような惑星は、分子雲とよばれる星々の間を漂うガスの雲から誕生します。この分子雲に存在する氷(星間氷)を模した紫外線照射非晶質氷(水・メタノール・アンモニアの混合氷)が、-210〜-120℃の低温で、これまで考えられてきた固体状態ではなく、液体的にふるまうことを発見しました。また、純粋な水からなる氷も紫外線照射により-220〜-130℃で液体状になることを発見し、紫外線照射で現れる液体的なふるまいが、水氷に特徴的な現象であることがわかりました。液体は化学反応を促進するため、星間氷の液体的なふるまいは、生命材料有機物にも関連する複雑有機物の形成を手助けしている可能性があります。また、液体状の氷の存在は塵の効率的な付着を助ける可能性もあり、惑星形成の第一歩である塵の集積過程の理解にもつながると期待されます。
詳細は、北海道大学のウェブサイト(英語)プレスリリース(日本語)に掲載されています。
発表媒体
研究論文名:Liquid-like behavior of UV-irradiated interstellar ice analog at low temperatures(星間氷を模擬した紫外線照射氷の低温での液体のようなふるまい)
著者:橘 省吾1,香内 晃2,羽馬哲也2,大場康弘2,ローレットピアニ1,菅原いよ1,遠藤由希子1,日高 宏2,木村勇気2,村田憲一郎2,圦本尚義1, 3,渡部直樹2
(1北海道大学大学院理学研究院,2北海道大学低温科学研究所, 3宇宙航空研究開発機構(JAXA))
公表雑誌:Science Advances
公表日:日本時間2017年9月30日(土)(米国時間2017年9月29日(金))(オンライン公開)