完璧に近いリエントリ運用により、数mmを超える大型粒子を多数含む計5. 4gものリュウグウ試料が無事回収されたことは、何にも増して喜ばしいことです。近傍観測や人工クレーター生成実験で浮上したいくつもの新たな謎に対し、いよいよ地上分析により解答を与えようという段階となり、わくわくするとともに身の引き締まる思いです。特に注目するのは、水の含有量とその存在形態・成分元素の同位体比、有機物の含有量と成分・鉱物との共存関係、粒子の空隙率や強度・熱特性、母天体から現在に至る歴史などの解明です。工学チームの素晴らしい仕事と搭載機器による科学観測の価値が、地上分析の成果を通じてさらに高められるものと信じています。