運用終了X線天文衛星「はくちょう」

X線天文衛星「はくちょう」は、X線バースト源を始めとするX線天体の広帯域スペクトルと強度変動の観測を目的として打上げられた天文衛星である。衛星のスピン軸を任意の方向に向ける技術により、多数のX線天体の観測を行った。

試験衛星「たんせい4」 磁気圏観測衛星「じきけん」

X線天文衛星「はくちょう」は、X線バースト源を始めとするX線天体の広帯域スペクトルと強度変動の観測を目的として打上げられた天文衛星です。衛星に搭載したコイルに電流を流し、地球磁場との相互作用を使って衛星のスピン軸を任意の方向に向けることにより、多数のX線天体の観測を行いました。
搭載したすだれコリメータによって、新たに8つのX線バースト天体を発見するとともに、X線バーストの可視光同時観測から、可視光放射がX線による降着円盤の加熱によることを解明するなど、X線バースト(中性子星表面での熱核反応の暴走現象)の研究では国際的に高い評価を受けました。また、X線パルサーと呼ばれる強磁場中性子星の自転周期のふらつきや、ブラックホールである白鳥座X-1のソフト状態の観測など、X線天体の多様な時間変動の観測を行いました。

機体データ

名称(打上げ前) はくちょう(CORSA-b)
国際標識番号 1979-014A
開発の目的と役割 X線バースト源を始めとするX線天体の広帯域スペクトルと強度変動の観測
打上げ日時 1979年2月21日 14時00分
場所 鹿児島宇宙空間観測所(内之浦)
ロケット M-3Cロケット4号機
質量 96kg
形状 底部が角錐の八角柱型
軌道高度 近地点545km 遠地点577km
軌道傾斜度 30度
軌道種類 略円軌道
軌道周期 96分
主要ミッション機器 すだれX線コリメータ等
運用停止日 1985年4月15日
落下日 1985年4月15日
運用 打上げ後の運用は正常に行われ、衛星に搭載したコイルに電流を流し、地球磁場との相互作用を使って衛星のスピン軸を任意の方向に向けることにより、多数のX線天体の観測を行った。
観測成果 搭載したすだれコリメータによって、新たに8つのX線バースト天体を発見するとともに、X線バーストの可視光同時観測から、可視光放射がX線による降着円盤の加熱によることを解明するなど、X線バースト(中性子星表面での熱核反応の暴走現象)の研究では国際的に高い評価を受けた。また、X線パルサーと呼ばれる強磁場中性子星の自転周期のふらつきや、ブラックホールである白鳥座X-1のソフト状態の観測など、X線天体の多様な時間変動の観測を行った。