ヨーロッパ宇宙機構(ESA)は 、ISAS/JAXA のパートナーとして「あかり」プロジェクトに参加しています。「あかり」からさかのぼること10年以上前、ESAの赤外線宇宙天文台(ISO:1995~98)ミッションへ当時の宇宙科学研究所が参加して築いた大変良い関係を受け継いでのことでした。ESAの「あかり」での役割は、ミッションをうまくサポートするように設定されました。ドイツのダルムスタットにあるESOCは、スウェーデンのキルナ局でのデータ受信を担当しました。これによって、「あかり」は観測データの転送量を気にすることが少なくなりました。また、スペインのマドリードにあるESACは、全天サーベイの観測方向の決定と、これらの協力の見返りとしてESAが得た指向観測機会の10%についてヨーロッパの天文学者からの観測提案を受け付け、そのサポートを行っています。

1回目の観測公募は、液体ヘリウムで冷却が行われていた時期のもので、28件のヨーロッパプロポーザルが採択され、400回以上の指向観測が行われました。2回目は、現在も続く、液体ヘリウムがなくなってからの観測期間向けで、11のプロポーザルが、全部で700観測を行っています。ESACには、ISOにも携わったベテランのスタッフがいて、日本のチームと共同でユーザーサポートを行っています。この作業によってつくられたマニュアルなどの書類は、将来の「あかり」データユーザーにも使われていくものと期待しています。ISO、「あかり」と成功裏に続けられてきたヨーロッパと日本の宇宙機関の協力は、日本の次期赤外線天文ミッションSPICAへと受け継がれていきます。

(あるべると・さらま、日本語訳:山村一誠)