2月25日(水)、岩手県大船渡市三陸町にある大船渡市立綾里小学校で宇宙学校が開催されました。令和7年の大船渡市大規模林野火災で大きな被害を受けた綾里地区で宇宙について学ぶ機会を設けることで、宇宙科学に対する理解と火災被害からの復興に寄与することを目指しました。

?なぜ大船渡?

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大船渡市とISASの関係は昭和46年に遡ります。昭和46年、ISASは岩手県三陸町(平成13年以降は大船渡市)に「三陸大気球観測所」を開設しました。以来、同観測所は、国内唯一の大気球実験実施拠点として、多くの科学的成果を挙げました。しかし、同観測所は、気球の大型化に伴う受入れが困難になったこと、気象条件の変化等の理由から平成19年に閉鎖され、大気球観測業務は、平成20年に北海道大樹町の大樹航空宇宙実験場に引き継がれました。

そして観測所が閉鎖・移設された後も、大船渡市は昭和62年から現在に至るまで、ISASと交流を深めている自治体の組織である「銀河連邦」として、銀河連邦子ども交流や経済交流を続けています。

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そして今回、令和7年大船渡市大規模林野火災により甚大な被害が発生したことを受け、かつて研究施設を設置していたJAXAから宇宙科学の普及活動に係る連携協力を深め、それらを通じて災害からの復興を後押しすることとして、協定が結ばれました。

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宇宙学校では綾里小学校の5年生・6年生の計23名を対象に、吉田哲也教授が「宇宙を探る」、福家英之准教授が「宇宙を身近にする大気球」をテーマに授業を行いました。

「宇宙のはじまり」や、「空を飛ぶには?」といった宇宙科学の話を聞き、授業中や休憩中も積極的に意見を出している児童の姿が伺えました。

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授業の後には全校生徒を対象に、水に溶ける紙に児童がそれぞれ願いごとを書いた風船を空に放ちました。「雨が必要なときに雨が降りますように」「大船渡の森や海を守りたい」といった林野火災の経験を受けた願いがこめられ、空高く上がりました。

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風船に願いを込めた後は実際に大気球実験で使用される「薄膜フィルム」の体験を行いました。薄くて柔らかいフィルムをドライヤーで膨らませた薄膜フィルムのバルーンを児童が夢中になって追いかけました。授業の聴講に参加した綾里小学校近隣住民の方々や、大船渡市長も混ざって体験し、会場の多目的ホールが明るい雰囲気に包まれました。

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今回のISASと大船渡市との協定では、宇宙科学を通じた地域振興や普及活動に関する連携協力が掲げられています。

かつて研究施設を構えていたISASは、宇宙科学の普及に向けた取り組みで大船渡市との協力を一層深め、これらの活動を通じて災害からの復興を支えていく方針です。

今後の両者の取り組みに、ぜひご注目ください。

(2026/03/04)