ご挨拶国立科学博物館 館長 林 良博

日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられて今日で50年となり、このような素晴らしいシンポジウムを当館で開催できることをたいへん光栄に思います。

当館は、これを記念した科博NEWS展示「日本初の人工衛星『おおすみ』打ち上げ50周年」を開催いたしました。初期のロケット開発資料に加えて、「おおすみ」から「はやぶさ」等まで多くの打ち上げでロケット追尾に実際に使用されたレーダ用コンソール実物をご寄贈いただき、今回初めて展示いたしました。また、「おおすみ」を実際に打ち上げた「ラムダロケットランチャー」を屋外に常設展示しております。これは昭和49年(1974年)に当時の東京大学宇宙航空研究所(現在のJAXA 宇宙科学研究所)から移管していただいたものです。

この他、若田光一宇宙飛行士がロボットアームでスペースシャトルへ回収した宇宙実験・観測フリーフライヤー(SFU)や「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子サンプル実物等、実際に宇宙空間にあった資料をご寄贈あるいはお借りして展示しております。

ご挨拶国立科学博物館 館長 林 良博

1970年は当館にとっても、自然史科学研究センターとしての機能を受けるために整備拡充され、新宿分館庁舎が起工された重要な年です。また、後に国立極地研究所となる極地研究センターが当館極地研究部を改組して設置されたのもこの年になります。色々な意味で50年前が日本の宇宙科学に関しての出発点になったと思います。

先日は「日本を変えた千の技術博」という明治以降の我が国の科学技術の発展を示した特別展を開催し、たくさんの方に熱心にご覧いただきました。当館では今後も自然史や科学技術の研究史を紹介していきたいと思います。

1970年における「おおすみ」打ち上げや2010年の「はやぶさ」帰還は、日本の科学全般を語る上で金字塔であり、当館でもそれを伝える努力をしています。さらにここ数年の「はやぶさ2」の活躍は素晴らしく、帰還の際には当館でもお祝いの展示ができればと企画しております。今後も様々な宇宙科学探査の計画をされていると伺いますが、きっと素晴らしい成果をもたらすことと期待しております。