宇宙航空研究開発機構 理事長 山川 宏

日本初の人工衛星「おおすみ」は、1970年2月11日13時25分に鹿児島県大隅半島にある東京大学鹿児島宇宙空間観測所、現在のJAXA 内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。「おおすみ」打上げから50年で、日本の宇宙開発は大きく歩みを進めました。「おおすみ」の打ち上げでは、挑戦を繰り返し、5度目の挑戦である「L-4S(ラムダ4エス)ロケット5号機」にて、地球周回軌道への投入を成功させました。この「おおすみ」は、質量でいうと24kg 程度、投入された軌道は高さ数百kmから5000km程度の楕円軌道でした。来年度打上げを予定しております、最新の基幹ロケット、H3ロケットは、遠地点高度36000km上空の静止トランスファー軌道に6.5トン以上のものを運べるよう開発しております。ロケットの能力向上に伴い、人工衛星の機能・能力が向上し、宇宙利用の範囲が急速に拡大しました。現在では、人工衛星は我々の生活に欠かせないインフラとなってきています。

これらの歩みの中で、多くの皆様から温かい応援をいただきました。これまで50年の長きにわたり、多大なご協力を頂きました皆様方に、ここに改めてお礼申し上げます。

我々JAXA はこれまでの50年を振り返り、新たな50年に向けて歩みを進めます。より一層の宇宙利用を進め、人々の生活を豊かにしてまいります。宇宙科学においては、太陽系探査では、金星を周回し観測中の「あかつき」、地球へ帰還途中の「はやぶさ2」、水星へは「みお」が航行中で、将来はSLIMによる月着陸、MMX探査機による火星衛星探査を行います。天文分野では、X 線分光撮像衛星「XRISM」、宇宙マイクロ波背景放射偏光観測衛星「LiteBIRD」、位置天文衛星「Small-JASMINE」によって、宇宙の進化、誕生の謎を解き明かしたいと考えています。

宇宙航空研究開発機構 理事長 山川 宏

本シンポジウムを開催するにあたり、国立科学博物館の皆様には多大なご支援・ご協力をいただきました。館外に設置された、「おおすみ」を打ち上げたラムダロケット用ランチャーをはじめ、本館には多くの宇宙開発関連の資料を展示いただいております。また、この度、「おおすみ」打ち上げ50周年を迎えて、科博NEWS展示として、企画展をしていただいております。これら国立科学博物館の展示は、確実に国民の宇宙への興味・関心の向上に繋がっているものと感じております。我々JAXAの職員の中にも、幼少期、ここの展示を見て、宇宙開発を志した者もいると聞いております。

改めて国立科学博物館の皆様方にお礼を申し上げます。

最後になりますが、引き続き、宇宙開発利用と宇宙科学研究の推進に対する皆様の変わらぬご支援をお願いし、主催者としてのご挨拶とさせていただきます。