回収班は、サンプルリターンカプセル(SRC)リエントリの11時間後には全てのSRC構成品を回収し終え、56時間後にはそれらを相模原のキュレーション室に届けることが出来ました。理想のタイムラインを掲げて臨んだオペでしたが、現実の結果となり、一番驚いているのは我々回収班かもしれません。

回収オペは、先発隊による日本国内ホテル隔離に始まり、帰国後の国内隔離が完了するまでの66日間にも及ぶ長期オペでした。その内、半分以上である5週間を隔離期間として過ごしました。長期間、制限環境を強いられることによるモチベーションの低下が心配でしたが、自己紹介、回収オペ及びチーム概要説明など、テレコンを用いた2時間規模の交流イベントを平日の夕方にほぼ毎日開催したことにより、むしろ意識向上と回収班として不可欠な目標の共有化が図られました。結果的に重要な期間であったと思います。

現地入り後は、日本からの輸送機材の到着遅れや南オーストラリア州でロックダウンが発令されるなど、何度か危機的な状況に陥りました。そのような状況にもかかわらず、完璧と言える結果を得るに至った一番の要因は、回収班のみならず、現地国防省(DoD)、宇宙庁(ASA)を筆頭に日豪関係機関が、このオペレーションを自分のミッションの如く熱心、且つ真剣に取り組んでくれたことであると思います。また、そのような雰囲気づくりに成功したプロジェクト構成員一人一人の成果であると思います。