第10章 たくましき仲間たち

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プロジェクトの調整に大変

今の宇宙科学研究所では、費用の点でも、また人の数から言っても、人工衛星の打上げは1年に1機がやっと、というところである。宇宙科学研究所の科学衛星を大きく分類すると、

(1)ブラックホールや中性子星、超新星、太陽あるいは星の誕生などを研究する天文衛星
(2)火星などの惑星や彗星や小惑星、月などの太陽系天体を研究する月惑星探査機
(3)オーロラ、磁気圏などの地球周辺や、太陽風と地球の関係を研究するシリーズ
(4)スイングバイ、ランデブー、ドッキングなどの工学技術を習得する工学実験衛星

の4つになる。ということは、これらの各シリーズの衛星は機械的に言えば早くとも4年に1回しか番が回って来ない、という勘定になる。

しかし各シリーズの研究者は、いつも大変魅力的なプロジェクトを提案するため、次の衛星をどのシリーズから選ぶかというのは、大変頭の痛い問題になってくる。たとえばX線天文学の分野は、日本は自他ともに認める世界のリーダーであるが、毎年そればかり打ち上げていたのでは、他の分野が全く育たず、宇宙科学がバランスよく進歩できなくなってしまう。だから、この4つのシリーズから提出された夢多いプロジェクトをみんなで一生懸命に吟味して、どうしたら日本の宇宙科学を真の意味で世界的な実力を持ったものに育て上げることができるか、を徹底的に話し合う。

もちろん分野が違えば、学問的な価値を客観的に比較・評価するために絶対的な尺度はない。しかし民主的な討論を積み重ねて、ある程度みんなの納得を得てから次の計画を決める、という手順は、決して省略してはならないのである。こうして選ばれた栄えあるプロジェクトは、そのような議論を経てきているために、いわばみんなの代表として出ていることになる。そのことから、代表選手としての自覚と責任も生まれ、ヒットやホームランを飛ばすために日夜奮闘することにつながるわけである。

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