第10章 たくましき仲間たち

カテゴリーメニュー

アロンアルファ事件

ある冬の日の内之浦発射場。ランチャー班の控え室。

ポカポカとした暖房のそばで小野田淳次郎が昼寝をしている。ソファに腰掛けた小野田は、そろえた膝をわずかに傾けて、まるでレディのごとく行儀のよい姿勢をとっている。ロケット実験班の「悪戯の天才」、ランチャー班の橋元保雄は、その小野田の姿を眺めているうちに、突如閃くものがあった。

やおらテーブルの上のアロンアルファ(ご存知の強力な接着剤である)をつかむと、小野田の両膝の間のわずかな隙間に、タラタラと垂らし始めたのである。

結果は言うまでもない。やがて目覚めた小野田は、くるぶしがくっついたまま離れなくなってしまった。数分後、カミソリの刃を慎重に使って、両足の靴下の間を切り離そうとする小野田の真剣な姿があった。

橋元の悪戯は枚挙に暇がない。しこたま一緒に酒を飲んで電車に乗ったら、降りる時に左右のサンダルが紐で結ばれていて、すぐには立ち上がれなくなっていたとか。

大汗をかいて控え室に帰ってきたK君に橋元曰く「ご苦労さん、大変だったな。コーラがあるから飲みな。でも息が切れてるから、一気には無理だろうけど…」と言われて、「なーに、こんなもの一気に飲めますよ」と強がってイッキ飲みしたら、底の方からなにか異物が…。それが実はウサギの糞だったとか。

鹿児島空港の食堂で「ざるそば」を食べて終わったら、ウェイターがお代わりを持ってきたので「どうしたの?」って聞いたところ「本日は特別サービスになっております」って言うので喜んでもう一杯食べると、すかさずまたお代わりが来た。「ええっ!これは何でもやり過ぎじゃないか」と思ってふと後を見ると橋元の顔がニコニコしていて「本日は特別サービスでございます」と言い放った、とか。

全く数えるとキリがないのである。

読みかけのページとして記録する

「読みかけのページとして記録する」について