第10章 たくましき仲間たち

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宇宙工学と宇宙理学のスクラム

宇宙の謎に挑む理学部のグループとロケットや人工衛星を開発する工学部のグループ、この理学と工学のスクラムがなければ、宇宙科学は育たない。宇宙科学研究本部の大きな特徴は、これら2つのグループが同じキャンパスに同居していることである。これは世界中のどこの宇宙関係の研究所にもない、素晴らしい特徴である。

これには、第1章に述べたように、1950年代にペンシル・ロケットを開発した糸川英夫を中心とする東京大学の工学グループと、国際地球観測年(IGY)の際に「ロケットによる上層大気の観測」をやろうとした東京大学の永田武、京都大学の前田憲一らの理学グループとが、がっちり腕を組んで日本の宇宙開発を始めたという歴史的背景がある。

その後、1964年に東京大学宇宙航空研究所が設立され、さらに1981年に宇宙科学研究所に改組されても、工学と理学との協力という大きな特徴は継承されてきた。

アメリカで、たとえば西海岸の理学者が、人工衛星に乗せる機器についてロケットのグループと何か相談したいと思った時、この人は飛行機で東海岸のロケット・グループの所まで飛んで行かなければならない。しかし宇宙科学研究本部では、数十メートル歩けば議論の相手を見つけることができる。この特徴が日本の宇宙観測研究の機動的・効率的発展にいかに大きな貢献をしているか、図り知れないものがある。

宇宙研はこの有利さを最大限に活かして、宇宙の謎に挑戦しているのである。

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