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パッキング・ラーメン

東京と内之浦の間を数多くのコンテナーが、ロケット実験の資材を積んで往復する。1980年代前半のこと、ピンク色をしているパッキングが使われていた時期があり、これを眺めていた的川泰宣が、当時売出し中のある食品メーカーの棒状のハムに似ていることに気付いた。「これは使える」ひそかにほくそ笑んだ彼は、昼にみんなのラーメンを調理してくれている女性Eにそっと頼んだ。

「ねぇ、平尾先生のラーメンに、このパッキングをハムのような感じで乗せておいてくれない?」

E曰く「イヤですよ。おなかでも壊したらどうするんですか」

的川保証して曰く「大丈夫、飲み込みそうになったらすぐ止めるから」

E「じゃあ、きっと止めてくださいよ。約束ですよ」

ところが平尾は、的川の止める暇もなく、5本のハム状パッキングをことごとく平らげた。そして爪楊枝を口にトイレから出てきた平尾を捕まえた的川、

「先生、ラーメンの味はいかがでしたか」

その言い方で、勘のいい平尾が気がついた。

平尾「あっ、この野郎。どうも最後に食ったハムがいくら噛んでも噛み切れないので口から出したんだが、さてはあれは何か変なものを入れたんだな」

的川平然として曰く「そうですか、それでは先生は、パッキングを都合4本お食べになったことになります」

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