国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成28(2016)年6月12日(日)に、火星探査用飛行機の高高度飛行試験を目的として、平成28(2016)年度第一次気球実験の2号機を用いて、火星探査用飛行機の高高度飛行試験を行い、終了しました。
実験に用いた気球は、同日午前3時33分に連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000㎥(直径63.4 m)の大型気球で、毎分およそ300mの速度で上昇しました。気球は、放球2時間25分後に大樹航空宇宙実験場東方約45kmの太平洋上において高度36kmで水平浮遊状態に入りました。その後、午前6時20分に指令電波を送信し、飛行試験機を切り離しました。気球および制御機器部は、飛行試験機切り離しその後4分後の午前6時24分に指令電波により切り離し、大樹航空宇宙実験場東方約35kmの海上に緩降下し、午前7時4分までに回収船によって回収されました。なお、火星探査用飛行機の飛行試験は、一部データ取得ができなかった時間もありましたが、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1.5 m、気温:摂氏10度でした。
本実験をもちまして平成28年度第一次気球実験は終了となります。ご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。
参考
火星探査用飛行機を実現するためには、地球上の1/100という薄い大気中での飛行に適するように機体の空力設計を行うことが必要です。本実験は、火星大気密度を模擬することが可能な高高度で飛行試験を実施することで、機体の空力データ等の取得を目指したものです。飛行試験により得られた各種データを分析し、将来の火星探査用飛行機の設計に活用していきます。