第4章 初期のミューと宇宙科学

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「たいよう」──熱圏をさぐる

打上げ前の名前はSRATS(スラッツ)といい、1975年2月24日14時25分M-3C-2号機によって打ち上げられ、近地点高度255.24km、遠地点高度3,136km、軌道傾斜角31.5度、周期121分の軌道に載り「たいよう」と命名された。東大理学部の亡き等松教授が中心になって計画され、太陽輻射エネルギーを受けて様々に変化する熱圏の振舞いを調べるため、特に太陽活動静穏時を選んで軌道に投入されたものである。

これによって静穏期の地球のプラズマ環境を決めることができたので、もし異常現象が発生したときは、明確にその影響を調べることが出来るようになった。

打上げ後の共通機器の動作はすべて良好で衛星温度も正常に維持され、第1周では、コマンドによるヨーヨーデスピナの作動でスピンを11.5rpmに低下させ、プローブの展開を行った。発射後4日目から5日間かけて地球磁場を利用した衛星姿勢制御によってスピン軸を軌道面に直角にし、車輪がころがるような、いわゆるローリングホイールモードを実現させた。24日目と28日目には観測器の高圧電源の投入を行い、その正常動作を確認後観測体制に入った。

「たいよう/SRATS」

「たいよう/SRATS」

「たいよう」同窓会(1997年撮影)

「たいよう」同窓会(1997年撮影)

科学観測は、太陽電池の出力と電池容量の関係ですべての観測機器の電源を同時にオン出来ない電力事情のため、こまめに電力を計算しながら行った。その結果、太陽活動が静かな時期の地球プラズマ環境のデータを数年にわたり取り続けた。主なものは南太平洋地磁気異常プラズマ現象に関するものであり、その後の衛星による電離層プラズマ研究がめざましい成果をあげる糸口を作った衛星として特記される。

また、この衛星はホイールモードを保持しながら観測を行うことで、衛星の大気抵抗に対する断面積が一周軌道に亘って一定であり、そのドラッグを利用して大気密度及び大気温度を求める試みがなされた。さらに同じような観測を行う西ドイツのAEROS-B衛星と国際協力研究が進められた。

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