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宇宙科学の最前線

ハイブリッドロケット CAMUI

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●実験用小型ロケットへの応用

 CAMUI型ハイブリッドロケットは,現在,高層気象観測および微小重力実験用小型ロケットへの適用を目指して大型化開発を進めている。ロケット実験の概要を図4に示す。気象観測ミッションでは,4kgの実験装置を高度60kmまで打上げ,大気成分のサンプリングを行う。微小重力実験ミッションでは,10kgの実験装置を高度110kmまで打上げ,高度70〜110kmの弾道飛行の間に3分間の微小重力環境を提供する。

図4
図4 ロケット実験の概要

 機体には翼が取り付けられており,大気圏突入後は回収地点の周囲を旋回滑空飛行しながら高度を下げる。打上げ時の抵抗を削減するため,可変翼とする。機体にはGPS装置が搭載されており,旋回方向の判断を自律的に行う。最後は,水上もしくは雪上に胴体着陸させて回収する。機体は,推進剤を再充填することにより再使用が可能である。初期重量と回収重量は,気象観測モデルで37kgおよび20kg,微小重力実験モデルで125kgおよび56kg程度となる。それぞれのモデルで0.8m2および2.2m2の翼面積により,共に40m/sの速度で滑空飛行する。燃焼室の内径は,両クラスでそれぞれ145mmおよび230mm,共に固体燃料にポリエチレンを使用し,400kgfおよび1tonfの推力を発生する。

 平成17(2005)年度末までに気象観測モデルエンジンの開発を終了し,その後3年程度で微小重力実験モデルの開発を行いたい。打上げ単価は,気象観測ミッションで百万円台,微小重力実験ミッションで数百万円の前半に収まると予想している。

(ながた・はるのり)



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