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科学機器
「あすか」を特徴づけるのは、「多重薄膜鏡による、軽量でかつ大面 積のX線鏡」と「高い波長(エネルギー)分解能を持つ焦点面検出器」です。「あすか」は4台のX線望遠鏡(XRT)を用い、その焦点面 に2種類の異なったタイプの検出器、X線CCDカメラ(SIS)と撮像型蛍光比例計数管(GIS)が焦点面 に配置されています。これら2つの検出器は、X線分光と撮像を相補的に行う撮像センサです。「あすか」の4つのX線望遠鏡のうち2つはSISと組み合わされ、他の2つはGISと組み合わされています。SISとGISはいつも同じ方向を向いているので、この二種類の検出器からのデータは組み合わせて使うことができます。
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▲X線望遠鏡

▲X線望遠鏡 組み立て
「あすか」衛星の観測機器は、次に示すように国内外の様々な機関が密接に協力して開発が行われました。
| X線望遠鏡(XRT) | NASAゴダード宇宙飛行センター、名古屋大学、宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部) |
|---|---|
| X線CCDカメラ (SIS, Solid-State Imaging Spectrometer) |
マサチューセッツ工科大学(MIT)、大阪大学、宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部)、ペンシルヴァニア州立大学 |
| 撮像型蛍光比例計数管 (GIS,Gas Imaging Spectrometer) |
東京大学、宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部) |
X線望遠鏡(XRT)


「あすか」のX線望遠鏡は、0.5から12キロ電子ボルトまでの広いエネルギー範囲のX線を効率よく集光します。これまでのX線衛星では、搭載されたX線望遠鏡の撮像能力がほぼ4キロ電子ボルト以下のX線に限られていました。従って、多くの天体からはじめて高いエネルギーのX線像が得られることになります。また、「あすか」によって初めて画像を得ることができるようになった4キロ電子ボルト以上のX線は非常に透過力が強いのが特徴です。これまでは厚いガスに遮られて観測することができなかった天体も、「あすか」を使えば精密に観測することができると期待されます。このX線望遠鏡の元となる技術は、NASAのゴダード飛行センターのSerlemitsos博士によって考案されたもので、ゴダード飛行センターと名古屋大学の研究者を中心とするグループによって、「あすか」ではじめて実現されました。このX線望遠鏡には非常に薄いアルミニウムの板に金を精密にコーティングした反射鏡を沢山集めたものが使われています。この「多重薄板鏡」は、「あすか」の特徴である、「高いエネルギーのX線を観測する能力」のカギを握る技術であり、将来の宇宙X線光学技術の方向を決めるものです。
X線CCDカメラ(SIS)

「あすか」のX線CCDカメラは、一つ一つのX線光子のエネルギーをはかる事ができます。このような「フォトン・モード」でX線CCDを動作させて天体観測を行う事ができるようになったのは「あすか」がはじめてです。X線CCDを用いることで、SIS検出器は5.9キロ電子ボルトのX線に対して約2%(FWHM)というすぐれたエネルギー分解能(波長分解能)を持ちます。この性能を引きだすためには、検出器を−60℃という低温に冷やさないといけません。「あすか」ではペルチエ素子による電子冷却と放射冷却とによって、CCD−70℃まで冷却する技術を確立しました。宇宙X線検出器として「あすか」に搭載されたX線CCDが大きな成功をおさめたことで、CCDはX線衛星の検出器として欠かせないものになりました。
撮像型蛍光比例計数管(GIS)

SISに比べて、広い視野を一度に観測するために搭載された撮像型蛍光比例係数管(GIS)は、「てんま」衛星に搭載された装置をもとにしてさらに改良を加えたものです。この装置は、銀河団などの広がった天体を観測するのに欠かせない大きな検出面 積を持つのが特徴です。特に10キロ電子ボルトの高いエネルギーでも十分な検出能力をもちます。X線CCDにはおよばないまでも、比例計数管としては最高レベルのエネルギー分解能をもち、さらにパルサー観測には欠かせないすぐれた時間分解能を持ちます。このようにGISはSISと相補的な役割を果たします。GIS検出器は超薄型のベリリウム窓(厚さ10ミクロン)と8キロボルトという超高電圧を衛星環境で実現するという技術的難題を克服することによって開発に成功したものです。


