皆さん、IKAROS-blogなるものをご存知でしょうか? IKAROS打上げ前の2010年4月30日に開始されたblogであり、打上げ前は種子島宇宙センターでの作業内容を、打上げ後は運用に関する情報をタイムリーに発信する目的で立ち上げられました。今読み返してみても、打上げ時の緊張感や、膜面展開の成功時の喜びなどが伝わってきます。私も運用メンバーの一人として、しばしば記事を書かせていただきました。

前述の通り情報をタイムリーに発信するという目的なので、基本的には、運用があった日は記事が更新されます。最初のころはイベントも多く、それなりに話題は豊富だったので、いわゆる記事のネタには困らない状態でした。ところが、IKAROSのメインミッションである膜面展開に関する運用は6月には完了してしまい、定常運用に移行したあたりから徐々にblogに掲載するネタが乏しくなってきました。それでも一度始めたものをそうそう簡単にやめるわけにもいかず、また、せっかくの増え始めた読者の方々には楽しんでいただきたいため、あの手この手でネタを模索するということになっていきました。最初のうちは真面目に各種運用の説明で何とかやりくりしていましたが、そのうち運用メンバーの自己紹介が始まり、運用の中身というよりかは運用室の様子を暴露し始め、さらには記事の中でメンバー間でむちゃ振りをし合うようになりました。中には健康診断の結果を公表するというふざけたものまでありましたが、結果としては、読者の方々に運用の雰囲気や臨場感を共有していただき、親しみを持って読んでいただくことができたと考えており、非常に良い試みであったと自負しています。

IKAROS-blogは、IKAROSの運用がほとんどなくなった2013年末まで続けられ、その間にとても多くの記事を掲載してきました。執筆担当も特にあらかじめ決められているわけではなく、運用中に「しばらく書いてないから自分が書きます」といった感じで何となく決まり、記事の内容も特に誰かがチェックするわけでもなく、適度に緩い感じでできたことに加え、何よりメンバーが(時にはネタ探しに苦労しつつも)非常に楽しんでいたことが、長く続けられた秘訣なのかもしれません。

IKAROS-blogは、情報発信の一つの良い見本になったのではないかと思っています。今後も宇宙研Webサイトなどで皆さんと情報を共有できるようにしたいと考えていますので、よろしくお願い致します。

(さいき・たかなお)