ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下しました。

ロケット機種・号機 S-520-30
打上時刻(日本標準時) 20時00分00秒
発射上下角 78度
観測開始(ノーズコーン開頭)時刻 打上53秒後
小型姿勢制御装置による制御開始 打上55秒後
最高到達高度 312km
着水時刻 打上550秒後

なお、打上げ時の天候は晴れ、北西の風2.0m/秒、気温23.9℃でした。

これをもちまして、平成27年度第一次観測ロケット実験(注1)は終了となります。
今回の観測ロケットS-520-30号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に、深甚の謝意を表します。

注1
平成27年度第一次観測ロケット実験で実施する実験は、S-520-30号機実験のみです。

参考

今回のS-520-30号機の実験では、酸化物系宇宙ダストの核生成過程を解明することを目的として、ロケットの弾道飛行による微小重力環境下で酸化物を蒸発させ、その後凝縮する酸化物粒子が生成し成長する過程を直接測定しました。測定には、二波長干渉計(注2)及び浮遊ダスト赤外スペクトルその場測定装置(注3)を用いました。今後、各大学において詳しい解析が実施される予定です。

注2 二波長干渉計
透明試料中の屈折率が光の波長によって異なるのを利用し、ガス中の温度・濃度を非接触かつ高精度に同時観測を行うための装置。

注3 浮遊ダスト赤外スペクトルその場測定装置
赤外スペクトルとは、天体の赤外領域内の光を調べることで得られる情報のこと。今回の実験に向けて赤外スペクトルを直接観測することができる小型の装置を開発した。

S-520-30号機 酸化物系宇宙ダストの核生成実験における装置内の様子(左:二波長干渉縞画像と右:可視光画像)

酸化アルミニウムの蒸気から宇宙ダストが生成する様子を捉えた写真

酸化アルミニウムの蒸気から宇宙ダストが生成する様子(打上げから261秒後)

酸化シリコンの蒸気から宇宙ダストが生成する様子を捉えた写真

酸化シリコンの蒸気から宇宙ダストが生成する様子(打上げから194秒後)

※1 左画像の干渉縞の変化から、生成時の温度と濃度が決定でき、宇宙ダストの生成メカニズムを解明する。

※2 右画像の光っている部分が星に相当し、そこから発生する蒸気から微粒子(宇宙ダストの類似物)が生成している