秋田県能代市、JAXAなどが主催する「のしろ銀河フェスティバル2023」が8月12日から20日まで開催されました。能代ロケット実験場(JAXAの付属研究施設)では、8月19日、20日に、「宇宙学校SPECIAL(スペシャル)」、「酸素水素燃焼実験特別公開」、「ミニミニ宇宙実験」、「能代ロケット実験場見学ツアー」を開催、506人が来場しました。

「宇宙学校SPECIAL」は8月19日の午前と午後の2回開催し、100人が参加しました。講義15分、質問10分で構成した授業の1時間目は「実は身近な?宇宙開発と水素社会」をテーマに宇宙飛翔工学研究系の坂本勇樹 助教が説明、2時間目は「月を探査するロボット」をテーマに、宇宙機応用工学研究系の吉光徹雄 教授が話しました。(写真(上):授業の様子)  

続いてのホームルームには藤本正樹 副所長も加わり、打ち上げ間近だった小型月着陸実証機「SLIM」にロボットを搭載した吉光教授と、はやぶさ2に搭載したロボットに関連した記者会見で話題になった「打ち上げ前はどんな心境ですか」という質疑応答を再現するなど、和やかな雰囲気の中で参加者とやりとりし、授業を終えました。参加者からは、「能代で水素の重要な実験をしていることがわかって嬉しい」、「宇宙を身近に感じました」との声がありました。

また、開催中は、7月に爆発・火災事故が発生した真空燃焼試験棟の公開も行いました。安全対策を徹底した上で参加者に現場を見学していただき、被害の確認と原因調査の状況について説明しました。なお、今回の事故では、人的被害及び実験場の周囲にある風力発電の風車を含む第三者物的被害はありませんでした。

能代市の皆さまには、事故後も実験場での活動にご理解、ご支援いただき感謝しております。能代を水素関連技術の聖地とすべく、今後は安全により一層の配慮をしつつ活動を展開していく所存です。

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真空燃焼試験棟の前で説明を聞く参加者

のしろ銀河フェスティバルの会場の1つ、サイエンスパーク・能代市子ども館では、宇宙科学探査交流棟から里帰りした再使用ロケット実験機(RVT)が大切に展示されていました。
(宇宙科学探査交流棟で展示されていたRVTは、現在今年4月にリニューアルオープンした能代市子ども館で展示されています。)

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能代市子ども館の再使用ロケット実験機
 藤本副所長(右)と千羽館長(左)

8月20日には、サイエンスパーク・能代市こども館で、ロボットおじさん(吉光徹雄 教授)による「月面探査ロボットのデモンストレーション」を全3回、実施しました。

今回デモンストレーションしたロボットは、9月7日に打ち上げられた小型月着陸実証機「SLIM」に搭載されたものとほぼ同じ、つまり、月で活動するものとほぼ同じものです。参加者は、ワクワクした表情でロボットの動作に見入っていました。

今回のデモンストレーションでは、地球上でデモを繰り返し、月の6倍の重力によるダメージで疲れているロボットをホップさせるには至りませんでしたが、月面に到着した際には兎の如くピョーンと飛び跳ねることを祈り、能代の皆さんからも応援をいただきました。

ロボットデモの会場では、子ども館を訪れている親子連れ、能代での大学生を対象にしたイベント参加者も加わり、様々な立場からのロボット談義も展開されました。

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吉光教授によるロボットのデモンストレーションの様子

能代ロケット実験場の公開に合わせ、液体水素をモチーフにしたJAXAの新キャラクター「えきすいちゃん」をお披露目しました。

実験場の入り口には、「えきすいちゃん」と能代ふるさとPR大使の「宙彩しろんちゃん」のパネルを設置し、記念撮影スポットとして来場者に楽しんでいただきました。

また、8月20日には、能代エナジアムパークで「宙彩しろんちゃんとのトークイベント」を実施しました。会場では、「能代市の好きなところは?」、「宇宙のまち能代に因んで、他に行ってみたい宇宙関連施設は?」といった内容で盛り上がり、参加者からは、X線分光撮像衛星「XRISM」と小型月着陸実証機「SLIM」の打ち上げへの応援の声も頂きました。

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能代ロケット実験場入り口に設置した「えきすいちゃん」と「宙彩しろんちゃん」のパネル

(2023/09/19)