宇宙嵐(うちゅうあらし) 
太陽面の爆発現象(太陽フレア)の発生など、太陽活動に起因する大規模な太陽風擾乱が惑星間空間を伝わり、地球や惑星周辺の宇宙環境を大きく乱す現象のこと。

宇宙天気予報(うちゅうてんきよほう) 
太陽活動に伴って発生する地球周辺の宇宙環境の乱れを予測する技術のこと。

L 値(えるち)
ある場所からその場所を通る磁力線をたどって磁気赤道までたどり着いたとき、その場所の地球中心からの(地球半径を単位とした)距離のことを、ある場所のL 値と呼ぶ。L 値が大きい程、磁気赤道では地球からの距離が遠くなり、地上では高緯度に対応する。

荷電粒子(かでんりゅうし) 
正の電気を帯びたイオンと負の電気を帯びた電子のこと。

高エネルギー粒子(こうえねるぎーりゅうし)
プラズマ中の荷電粒子の平均的なエネルギーよりもずっと高いエネルギーを持つ荷電粒子のこと。

コーラスエレメント(こーらすえれめんと)
秒以下の繰り返し周期でコーラス波動が周波数を変えながら発生すること。電子との非線形相互作用によって波動の振幅が成長することで発生すると考えられている。

コーラス波動(こーらすはどう)
宇宙空間で自然発生するプラズマ波動の一種。宇宙空間に存在する高温電子の磁力線周りの旋回運動と共鳴することで発生すると考えられている。地球周辺では周波数が数キロヘルツの可聴帯の電磁波であり、第一次世界大戦のころから、" 小鳥のさえずり"にように聞こえる電磁波として知られていた。

ジオスペース(じおすぺーす)
地球をとりまく宇宙空間のこと。人類の活動領域になりつつある。

磁気音波(じきおんぱ)
磁力線を横切りながら宇宙空間を伝搬するプラズマ波動の一種。地球周辺では、磁気赤道付近で10 ヘルツから数十ヘルツの周波数帯で観測される。

磁気赤道(じきせきどう)
地球の自転軸を基準とする地理赤道に対し、地球磁場を基準とした赤道のこと。

太陽風(たいようふう)
太陽から吹き出すプラズマの風のこと。平均的な速度は秒速400km程度。プラズマが太陽の磁場を引きずり出しながら地球磁気圏に吹きつけることで、太陽風のエネルギーの一部が地球磁気圏内に蓄えられる。

太陽フレア(たいようふれあ)
太陽表面で発生する大規模な爆発現象のこと。

電子ボルト(でんしぼると)
エネルギーの単位で eV と表される。1 電子ボルトは素電荷(電子1 個の持つ電荷の符号を+に代えた量)が 1 ボルトの電位差で加速されるときのエネルギー。1 keV(キロ電子ボルト)= 1000 eV。1 MeV(メガ電子ボルト)= 1000000 eV。

電磁イオンサイクロトロン波(でんじいおんさいくろとろんは)
宇宙空間で自然発生するプラズマ波動の一種。宇宙空間に存在する高温イオンの磁力線周りの旋回運動と共鳴することで発生すると考えられており、磁場に沿う方向に伝搬しやすい性質を持っている。地球周辺では数百ミリヘルツから数ヘルツで観測される。イオンや超高エネルギー電子を散乱し、地球大気に落下させるという重要な役割を担っていると考えられている。

波動粒子相互作用(はどうりゅうしそうごさよう)
宇宙プラズマ中で、電磁波動と荷電粒子(電子・イオン)との間でエネルギーの授受が行われる過程のこと。荷電粒子が加速されたり、粒子の運動が乱されたりするなどの要因となる。

フットプリント(ふっとぷりんと)
衛星の位置を、磁力線を辿って地球の電離圏高度まで投影したときの終点。プラズマ中の荷電粒子は磁力線に沿って運動するため、衛星のフットプリントが地上カメラの視野に入っている場合、地上と衛星で対応したプラズマ現象を観測していることになる。

プラズマ(ぷらずま)
荷電粒子(イオンと電子)からなる電気的に準中性のガスのこと。荷電粒子から構成されるので、プラズマの運動は電磁気的な力の影響をうける。宇宙空間はプラズマで充たされている。

プラズマ波動(ぷらずまはどう)
プラズマ中に特有にみられる電磁波動のこと。本特集号で扱われる、コーラス波動、電磁イオンサイクロトロン波、磁気音波などはプラズマ波動の一種である。

フラックス(ふらっくす)
単位時間単位面積あたりに流れるプラズマの量を表す。

プロトンオーロラ(ぷろとんおーろら)
水素イオン(プロトン)が大気に向かって降り込み、大気粒子と衝突することによって発生するオーロラ。電磁イオンサイクロトロン波が宇宙空間でイオンを散乱すると、散乱されたイオンの一部が大気に向かって降り込み、プロトンオーロラを発生させると考えられている。

放射線帯(ほうしゃせんたい)
地球を取り囲むドーナツ状の領域で、ジオスペースで一番エネルギーの高い荷電粒子が充満している。高エネルギー粒子が人工衛星の障害の原因となることから、宇宙の中でも特に注意が必要な領域として知られる。発見者の名前にちなんで、ヴァン・アレン帯とも呼ばれる。

脈動オーロラ(みゃくどうおーろら)
形があいまいなディフューズオーロラの一種で、明るさが準周期的に変動するオーロラ。その明るさの変化には、数秒から数十秒のビートで明滅する主脈動と、1 秒間に3 回くらいの内部変調(またたき)が重なり合う階層的な構造がある。「あらせ」の観測によって、コーラス波動が原因となっていることが実証された。