欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)は、ESA宇宙科学長期計画の中型ミッション5号機(M5)最終選定において、次世代赤外線天文衛星SPICAを候補から取り下げる決定を発表しました。

検討段階のミッションであるSPICAは、もし選定されれば、日欧共同プログラムとなるものでした。極低温冷却式宇宙望遠鏡を特徴とする意欲的な技術コンセプトで、これまでの赤外線観測の感度を大幅に改良し、銀河の進化や惑星系の形成という幅広い科学トピックの研究を目的としていました。

SPICAは、ESAの宇宙科学長期計画における、中型ミッション5号機(M5)選定の3つの最終候補のうちの一つでした。もともとは日本のプロジェクトとしてスタートしましたが、科学機器ペイロードのさまざまな分野に貢献する多くの国際パートナーの協力を得て、日欧共同ミッションとして発展しました。M5ミッションの最終選定は2021年半ばに向けて計画通り進んでいます。

ESAとJAXA/ISASはそれぞれのミッション成立性の評価結果について話し合い、10月7日、両機関は、欧州でのペイロード提供を主導していたオランダ宇宙科学研究所(SRON)とも共同で、SPICAをM5ミッション選定の候補から取り下げる決定を、SPICA科学チームに伝える書簡に署名しました。

[ESAハシンガー科学局長]
「ESAとJAXA/ISASはどちらもこれを非常に不幸な展開だと考えていますが、両機関が直面する厳しい財政的制約のため、決定はやむを得ませんでした。」

[JAXA宇宙科学研究所 國中所長]
「SPICAミッションの構成は、多くのミッション・パートナーによる理学および工学チームの努力と献身の成果です。」
「多くの人々がこのミッション検討に何年も費やしてきました。これは両機関が熟知し重要視している取り組みであり、私たちは深く感謝しています。残念ながら、非常に意欲的なミッションは、厳しい技術を要求し、結果的にコストも高くなってしまいました。」