会見の様子

記者会見の様子 (c)Kavli IPMU

宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (ISAS/JAXA)は、大学共同利用連携拠点で新しい大学共同利用の在り方を試行しています。大学共同利用連携拠点は、大学とISAS/JAXAのマッチングファンドで拠点を立ち上げ、「大学との双方向連携の強化」により、宇宙科学プロジェクトの創生と実施をめざします。

2017年10月、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) とISAS/JAXA)は、「JAXA- Kavli IPMU/東京大学 硬X 線・ガンマ線イメージング連携拠点」を発足することでに合意しました。 そして、2018年4月1日にはKavli IPMU の主要メンバーが揃い、本格的に活動を開始します。Kavli IPMU に置かれるこの拠点は、ISAS/JAXA で培われた硬X 線・ガンマ線イメージングの技術を用い、慶応義塾大学医学部や東京大学薬学部との協力のもと、核医学、特にがん研究への応用を行うことを目標にします。

Kavli IPMU は発足以来、数学、物理、天文学の分野で世界トップレベルの成果を出してきました。これらの分野は知の好奇心を駆動力とする基礎科学です。一方で、Kavli IPMU は、発足当時から、基礎科学は社会の役に立つと主張してきました。本拠点は、その主張を実証する典型として、分野が近く Kavli IPMU と相乗効果が大いに見込める ISAS/JAXA と共に、「医学研究における実験手法実現のためのソリューション提供」に貢献するための取組です。

ISAS/JAXA には、宇宙を観測するための感度のよい硬X線撮像分光装置や軟ガンマ線検出器を開発したノウハウがあります。小動物のイメージングに、これらの検出器を活かし、高い分解能と正確な定量性をもって、これまで困難だった「生体内にあるがん幹細胞」を可視化することが、本連携拠点で行う研究開発です。

本拠点は、東京大学柏キャンパスに設置します。大学共同利用システムである ISAS/JAXA の理学・医学・薬学の共同研究ブランチとして、医学研究コミュニティの課題に対するソリューションを提供する組織へと発展させることを目的とします。