8.技術部・観測部

a.技術部基礎技術課 工作班
 工作班には機械工作関係を受持つ工作第一係と,電気・電子関係を受持つ工作第二係(エレクトロニクス・ショップ)とがあり,所内各研究系からの要望に応じて研究に実験装置や実験用器具類などの設計・製作・改造・修理などを行う.
主として下記の業務を担当している.
工作第一係
◎サービス工場として施盤,フライス盤,カットオフマシンなどを随時使用出来るよう整備するとともに技術援助を行う.
◎研究用機器類の設計,試作,改造,修理など種々の相談に応じるとともに外注のあっせんをする.
◎工作用工具類や,各種材料類,ボルト,ナット類を数多く常備するとともに各研究室への出庫を行う.
工作第二係(エレクトロニクス・ショップ)
◎エレクトロニクス計測室として,シンクロスコープ,ユニバーサルカウンタ,ファンクションゼネレータ,基準電圧発生器等種々の計測器類の保守,管理を行うとともに各研究室への貸出しを行う.
◎研究用エレクトロニクス機器について種々の相談に応じるとともにそれらの設計,試作,修理などを行う.
◎研究用エレクトロニクス機器に利用度の高い各種半導体(集積回路を含む)類並びに種々の電子部品,材料類を多数常備するとともに各研究室への出庫を行う.

おもな研究設備
工作第一係
	機     種	メーカー	型名	規     格 (能力)
			主軸回転数	電動機
高速施盤	大隅	LS540	35〜1,800rpm,5.5kW(最大540mmφ,835mml)
精密高速小型施盤	江黒	GL120	180〜2,600rpm,2.2kW(最大240mmφ,390mml)
タレット型フライス盤	牧野	KGP	130〜2,200rpm,2.2kW(250mm(前後)×550mm(左右))
横フライス盤	井上	1H1	45〜1,400rpm,2.2kW(200mm(前後)×550mm(左右))
ラジアルボール盤	東亜機械製作所	TRD-600C	75〜1,200rpm,0.75kW(アーム移動距離 467mm)
			 (主軸端とベッド面距離 最大 1035mm,最小 275mm)
カットオフマシン	アマダ	H-250	切断能力250φ,280×250
折曲機	野口プレス	U-440	折曲幅 1200mm

工作第二係(エレクトロニクス・ショップ)
	測 定 器 名	メーカー	型名	規     格 (能力)
標準信号発生器	YHP	8656A	0.1〜990MHz,プログラマブル,HP-IB
ファンクションシンセサイザ	WAVETEK	178型	1μHz〜50MHz,50Ω20VP-P,プログラマブル,HP-IB
シンクロスコープ	岩崎通信	SS-6200	DC〜200MHz,1ns/cm,5mV〜5V/cm,二現象
メモリースコープ	岩崎通信	MS-5103	DC〜10MHz,1μs/cm,5mV〜5V/cm,二現象
ロジックアナライザ	岩崎通信	SL-4602	Aメモリ1,024ビット×16ch,2,048ビット×8ch
			Bメモリ1,024ビット×16ch,2,048ビット×8ch
トランジェントメモリ	川崎エレクトロ	M-500T	DC〜1MHz,10ビット,1,024ワード,マスタスレーブ方式
ユニバーサルカウンタ	YHP	5328A	0〜100MHz,100ns〜1s,1mV〜125V DC,8桁
デジタルマルチメータ	竹田理研	TR-6655	10μV〜1,000V,1mΩ〜100mΩ,1nA〜100mA,5桁
パルスゼネレータ	EHリサーチ	139B	10Hz〜50MHz,パルス幅10ns〜10ms,ダブルパルス
b.技術職員研修委員会の活動
 「技術職員研修委員会(以下「委員会」)」は,同設置要項(平成5年3月裁定,平成11年2月改訂)に基づき,平成5年度設置以来,技術職員(以下「技官」)の職務遂行に必要な能力及び資質等の向上を図るため,技官研修の策定とその実施の具体的内容について検討し,所長に具申する活動を継続している.委員長は,技術部長または観測部長が務めるべく規定されており,2年交替が慣例となっている.委員は,専任の教授,助教授または助手(以下「教官委員」)及び文部技官(以下「技官委員」)各5名以内によって構成される.
 委員会の管理下で遂行される具体的技官研修活動は,基本的に技官委員の自主的提案と主体的実践に委ねられており,教官委員は,これらに適切な助言を与え,支援する役割を負っている.現在実施されている研修活動は,各種技能講習会に参加する個人研修,各種技術分野の専門家を招聘して受講もしくは講演を聴く集団研修,業務関連機関・企業の諸施設設備見学や学会等参加のための出張研修に大別される.また,秋期には技官各位の業務,研究・研修成果を報告し合い,情報交換による相互理解と親睦を深めるための技術発表会を開催するのが恒例となっている.同発表会における発表内容は,後日,「技術発表会講演集」に纏めて出版されるが,その編集作業も技官委員の主体性に委されている.
 なお,国立大学共同利用機関(核融合科学研究所(技術部),分子科学研究所(技術課),国立天文台天文機器開発実験センター,高エネルギー加速器研究機構(技術部))が共同で実施している技官研修活動への積極参加の可能性を,現在,検討中である.

 平成10年度の技術発表会で報告されたものは以下のとおりである.
 1)「タイマー,点火系」	観測部 中部博雄
 2)「ロケット追尾用レーダ技術」	観測部 鎌田幸男
 3)「一般火薬学」	技術部 東 照久
 4)「衛星の健康診断〜『のぞみ』の場合」	解析センター 長木明成
 5)「人工衛星のための新型ラジエータの開発」	技術部 太刀川純孝
 6)「成層圏大気のサンプリング」	技術部 本田秀之
 7)「記録写真を撮る:保存管理と用途」	観測部 新倉克比古
 8)「気象庁 気象ロケット観測所 視察報告」	観測部 相原賢二
 9)「軌道計算と収束について」	技術部 壽 嘉一
 10)自作ビデオ「フロリダの旅」	観測部 中部博雄
   (土井宇宙飛行士・コロンビア号打上げ)