6.おもな研究設備

共同利用設備

 宇宙科学実験用スペースプラズマチェンバー室設備
 全国の宇宙科学研究者の共同利用設備であり,共同研究のテーマの公募,審査,研究スケジュール等の運営はスペースプラズマ専門委員会が行っている.活発に多くの実験が行われ,その成果は毎年3月に開催されるスペースプラズマ研究会で報告されている.平成10年度は23件の研究テーマが採択され,実行された.
 A.宇宙環境応用科学実験設備
 この設備は,宇宙プラズマ環境,宇宙空間の電子及びイオンビーム環境,宇宙磁場環境,太陽輻射環境(特に紫外線環境),飛翔体環境等のシミュレーションを可能にするように設計されており,
1.月,惑星探査の人工衛星,探査機に搭載する科学観測機器の開発試験・研究
2.宇宙プラズマ現象,惑星大気現象等の実験室におけるシミュレーション実験
3.宇宙プラズマや月,惑星科学に関連した基礎実験
4.宇宙工学実験に関連した応用実験
 等の機能を有し,惑星大気を模擬するためのガス導入系を備えている.
  本 体:直径2.5m,全長5mの円筒状真空槽で非磁性ステンレス鋼で製作されている.フランジは大小合わせて36箇所あり,排気系及びプラズマ源等の機器設置用に10箇所,供試体計測用に26箇所ある.
  排気系:粗引排気系と高真空排気系で構成されており,粗引系はロータリーポンプとメカニカルブースターポンプ各1台で行い高真空系はターボ分子ポンプ(3,0001/sec:N2)1台とクライオポンプ(28,0001/sec:N2)2台を使用して到達真空度は1×10−7Torr,ベーキングを使用して1×10−8Torrである.
  加熱系:パネルヒータにて2時間以内に150℃までベーキングを行うことができる.
  ガス導入系:N2,Ar,He,O2,H2,等のガスを真空容器内にガスリザーバタンクを介してマスフローコントローラー(10−3〜10−6Torr)にて流量制御を行いながら導入できる.
  磁場コイル:一辺6mの正方形のコイルを3軸方向に計3組設置することにより,地球磁場及び建物の構造物,真空ポンプ等に起因する残留磁場を強制的に消去することができる.最大磁場強度は2ガウスである.
  プラズマ源:後方拡散型,グローモード型,マルチポールプラズマ,紫外線電離プラズマの4種類のプラズマ源が用いられ,電子密度103〜106cm−3,電子温度800〜30,000°Kのプラズマが発生可能である.
 B.高密度プラズマ流発生装置
 この装置は宇宙プラズマを模擬するために大直径と高密度の磁化プラズマ流を発生させるもので,境界の影響が無視できるプラズマの中での電磁波動や非線形現象の実験的研究を行うことを目的としたものである.
  本 体:直径750mm,全長4.9mの円筒状真空槽でステンレス鋼で製作されている.フランジは大小合わせて23個所あり,排気系及びプラズマ源等の機器設置用に4個所,供試体用に19個所ある.
  排気系:粗引排気系と高真空排気系で構成されており,粗引系はロータリーポンプで行い,高真空系はターボ分子ポンプ(1,5001/sec:N2)1台とクライオポンプ(1,5001/sec:N2)1台を使用して到達真空度は1×10−7Torrである.
  プラズマ源:アークプラズマ発生部と酸化膜陰極放電プラズマ発生部があり,電子密度1013cm−3以上,電子温度数eVのプラズマが発生可能である.
  放電用電源:各プラズマ源へ放電用電力を供給するものであり,コンデンサーバンク(容量:20mF),充電器等で構成されている.
  ヒーター用電源:酸化膜陰極放電プラズマ発生部の酸化膜陰極を活性化するため,ヒーターに電力(max:35V, 500A)を供給する電源である.
 以上A,Bが主な装置であるがこの他に,直径60cm,全長1mのダブルプラズマチェンバー,直径1.1m,全長2.3mのD層シミュレーションチェンバーがあり,また測定器としてマイクロ波発生装置(60kw),残留ガス分析器,デジタルオシロスコープ,デスクトップコンピューター,パソコン,FFT分析器,スペクトラム分析器,ロックインアンプ,ボックスカー積分器等が用意されている.

 自由電子レーザ装置
 相対論的回転電子ビームを用いて,マイクロ波,ミリ波(10〜40GHz)及びサブミリ波の電磁波を発生させる発振波長可変の発振器である.
  マルクス型高電圧発生装置
公称発生電圧1.5MeV,コンデンサ充電電圧50kV
合成静電容量18nF,最大充電エネルギー20KJ,段数15
  ディスクトロン型 静電加速器
発生電圧999KV
エキシマレーザによる光電子電流(4A,20ns)を加速し,ビームを制御するビームラインに接続されている.
  主排気系
ターボ分子ポンプ1500l/s
クライオジェニックス1500l/s
  電磁波発生装置
マグネトロン発振器	発振周波数35GHz,最大出力10kW,パルス幅2ms
TWT増幅器	発振周波数10〜18GHz,最大出力20W,連続動作可

 イオンビーム発生・計測装置
 本装置は,イオンソースと二次イオン検出器から構成される.
  イオンソース性能
方式:	カウフマン型
ビームエネルギー:	1.5keV
電流:	50mA
ビーム径:	30mm
使用ガス:	アルゴン,酸素
背景真空度:	10−5Torr
  二次イオン分析器性能
方式:	4重極型エネルギーフィルター付き分析管
計測範囲:	1-200M以上
分解能:	2M50%以上
最高感度:	1×10−13 Torr

 電磁飛しょう体加速装置
  構成
1.コンデンサーバンク	容量値:6mF  充電電圧:10kV
	充電エネルギー:300kJ
2.電流トランス	巻数比:4:1  最大電流:1MA
3.加速器本体	長さ:2m  重量:400kg
	2本の銅レール,ポリカーボネイトスペンサー,上下2個のVブロックで構成されている.
4.真空チェンバー	幅60cm,高さ60cm,長さ2mの直方体
	ロータリーポンプ2台で約1Torrまで排気
  性能
1.最大速度	7.8km/s
2.飛しょう体直径	10〜25mm
3.飛しょう体重量	0.8〜5g
4.実験速度精度	目標値より数%以内
5.飛しょう体材質	ポリカボネイト,金属各種
  実験条件
   高速度飛しょう体を使用した衝突実験において,飛しょう体と試料とが衝突する環境は,大気中,真空中両方とも可能である.

 磁場装置
 プラズマ発生装置に使用するもので,最大磁場2万ガウスまで発生できる.

 相対論的大電流電子ビーム装置
 500keV,2kA,5nsecのパルス大電流電子ビームでプラズマを発生する.
 このほか付属測定装置として,可視分光器,イメージコンバーターカメラ,マイクロ波干渉装置,パルス高周波発生装置,ルビーレーザー装置(300MW20μsec)等が用意されている.

 宇宙放射線研究設備
 現在では赤外線,紫外線,X線を用いた宇宙観測が宇宙を理解する上で必要不可欠となってきている.そこで宇宙観測のための赤外線,紫外線,X線の検出器の開発,調整,試験などを行うための設備,及びロケットまたは気球により得られたデータを処理するための装置が設置され共同利用に供されている.なお共同利用に供される装置は,赤外線装置,X線実験装置,宇宙観測データ処理装置,熱真空試験装置(以上特殊実験棟),60cm光学望遠鏡(KSC),赤外線モニター観測装置(本館),などである.個々の設備,装置の説明はそれぞれの設置場所(本館,特殊実験棟,KSC)の項目に含む.

 高速気流総合実験設備
 本設備は宇宙飛行体やロケット等が大気中を高速飛行する際に生じる空気力学的諸現象の研究,空気力の測定や流れ場の観測などを行うシミュレーション実験のための共同利用設備であり,大別して空気源設備,遷音速風洞,超音速風洞及び計測装置で構成されている.これらの諸設備は一部を除いていずれも風洞実験棟(鉄筋コンクリート2階建,延べ床面積約900)内に収容されている.

 空気源設備
   球形貯気槽	直径15m(体積1766)
	常用最高圧力 10.9kg/
 空気圧縮機	前段型式	スクリュー型2段(755kw+445w)
	吐出圧力	 9.0kg/
	後段型式	スクリュー型1段(339kw)
	吐出圧力	13.0kg/
 遍音速風洞
型式	吹下し型
マッハ数範囲	0.3〜1.3(連続可変)
測定部寸法	60cm×60cm×100cm
最小始動圧力	1.2kg/(M=0.95)〜1.4kg/(M=1.27)
気流持続時間	30秒以上
変角範囲	|α|,|β|≦15度
 超音速風洞
形式	吹下し型
マッハ数範囲	1.5〜4.0(可変間隔0.1)
測定部寸法	60cm×60cm×80cm
最小始動圧力	1.6kg/(M=1.5)〜6.0kg/(M=4.0) 
エジェクタ圧力	6.0kg/(M≧3.5で使用)
気流持続時間	30秒以上
変角範囲	|α|,|β|≦15度
 計測装置
	6分力内装天秤(5),圧力変換機(36)
	内装多点圧力測定器(128),側壁天秤(1)
	赤外線温度計(1),ビデオ(高速,低速各1)
	シュリーレン装置(2),レーザー干渉計(1)
	非接触型変位計(1),天秤較正装置(1)
(風洞委員会)

相模原キャンパス本館

 熱真空試験装置
 10−7Torrの高真空で−20℃〜+60℃の間の熱真空試験を行うことができる.装置のベーキング用としても使用できる.	(宇宙放射線,小川原研究室)

 赤外線モニター観測装置
 衛星搭載赤外線観測器が軌道上で観測する際に,地上においてその観測の援助や,較正用赤外線源モニター観測などを行うための赤外線観測装置.口径1.3mの経緯儀式反射型望遠鏡の焦点に液体窒素冷却の赤外線センサーを備えている.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 オートグラフDCS-2000形
 定速歪方式の万能試験機,容量:2000kg(秤量200gr)
 クロスヘッドスピード:0.5〜500mm/min(13段),クロスヘッドストローク:1000mm(つかみ具なし)
	(小野田研究室)

 レーザ推進実験装置
 レーザ推進あるいはレーザープラズマ診断の実験に用いられる.定格出力3JのTEA-CO2レーザー,1Jのルビーレーザー,及び色素可変波長レーザー部品から成る.	(栗木研究室)


 赤道儀架台
 本装置は太陽及び星センサ並びに光学航法装置等の屋外試験時に使用する日周運動追尾装置であり,既存の装置に比較して改良された点は,追尾精度の向上,計算機による指向制御並びに搭載重量の増加等である.
 架 台 形 式:改良ドイツ型
 追 尾 精 度:±2.5秒角
 被測定物重量:60Kg
 本 体 重 量:200Kg
 計算機による指向制御が可能	(二宮研究室)

相模原キャンパス飛翔体環境試験棟

 磁気シールドルーム
 科学衛星,観測ロケットの試験環境の一つとして,弱磁場空間を作る為に設置されている.シールドルームは内径6mの球形の空間であり,パーマロイの三重球殻により内部磁場はシールドルーム外の磁場に比して3千分の1程度の10〜20nTとなっている.パーマロイを固定する為,厚さ10mmのアルミの二重球殻で構造が出来ているが,このために,シールドルーム内は外部電磁界雑音に対しても良好なシールド降下を示す.この二つの特性を利用して,残留磁気モーメント測定,機器間相互電磁干渉試験等に使用されている.
【諸元】
大きさ:内径6mの球形(外径8m)
磁気遮蔽率:3000分の1
交流電磁界遮蔽率:1万分の1程度
【付属設備】
回転テーブル:360°回転可能
磁力計移動レール:(円弧にそって+90°〜−90°)
磁力計:(三軸フラックスゲート型)
三軸コイル:最大10,000nTまでの任意方向の磁場を発生できる
FFT及びスイープ型スペクトルアナライザー
【その他】
空調:専用空調設備で100,000程度の清浄度の空間となる
消磁:専用消磁装置でシールドルーム全体の消磁を行うことができる.	(鶴田・早川研究室)

 姿勢運動模擬システム(C棟磁気シールド室)
 主に,観測ロケットや科学衛星打ち上げ用ロケットの姿勢制御系の試験を行うための装置である.装置は,油圧ユニット,テーブル本体,支援計算機より構成される.油圧ユニットで発生した動力により,高い周波数帯域でテーブルをピッチ・ヨー・ロール3軸を独立に揺動できる.最大90kgの供試体を0.5degp-pの振幅で12Hz以上の帯域を有するものである.試験状態は支援計算機により容易に制御させる.	(川口研究室)

 動釣合試験装置
 衛星及び衛星打上げ用機体の動釣合試験を目的とした,たて型動釣合試験装置で主軸に静圧軸受を使用して測定精度向上がはかられている.試験体は重量200kg,直径1600mmまで可能である.試験回転数は試験体の重心位置により50〜350rpmの範囲で可変できる.	(小野田研究室)


 慣性諸量測定装置
 動釣合,慣性モーメント,重量,重心位置等いわゆる慣性諸量の高精度測定装置で,大小2台の測定ユニットから構成され,供試体重量により選択できる.
 また,L型固定具を備え3軸の測定が可能である.主要性能は次のとおりである.
	大型測定装置	小型測定装置
・供試体質量	1700kg	100kg
・供試体寸法	2.2mφ×5.0	1.0mφ×2.0m
・重心位置
  測定範囲	2000kgf-cm	100kgf-cm
  測定精度	2.0kgf-cm	0.1kgf-cm
・慣性モーメント
  最小慣性モーメント	2.0kgf-	0.05kgf-cm2
  測定精度	0.1%	0.1%
・慣性乗積
  測定範囲	4.0kgf-	0.2kgf-cm2
  測定精度	±1%	±1%
	(小野田研究室)

 低周波衝撃試験装置
 ロケット及び衛星の衝撃試験を目的とした,落下式衝撃試験装置で合成ゴムパッドを使用している.試験は最大重量2000kgで15G,500kgで50Gまで可能である.	(小野田研究室)

 高周波衝撃試験装置
 パイロ衝撃を想定した高衝撃,微小作用時間の衝撃試験ができる.主要性能は次のとおりである.
・衝撃加速度	:	15〜5000G
・衝撃作用時間	:	0.1〜11msec
・最大搭載重量	:	90kgf	(小野田研究室)

 科学衛星用振動試験システム
 衛星及びロケット計装部と,そのコンポーネントの振動・衝撃試験を行う.加振力14tonの振動発生機を本体とし,垂直及び水平の補助振動台を備える.操作はデジタル制御により正弦波,ランダム波振動試験のほか衝撃試験も可能である.
 なお,制御装置としてGENRAD社製GR-2514,GR-2518の2台を付属する.
 主要性能は以下のとおりである.
・振動数範囲	;	5〜2000Hz
・最大加振力	;	14ton
・最大変位	;	50mm(P-P)
・最大速度	;	150mm/sec
・最大加速度	;	振動発生機単体100G
		補助振動台上600kg負荷で12G
・最大搭載能力	;	補助振動台上1000kg
・加振制御	;	正弦波,ランダム波,衝撃波	(小野田研究室)

 大型衛星振動試験システム
 M-V型ロケットで打ち上げられる1.5ton級の大型衛星及びロケットの計装部と,そのコンポーネントの振動・衝撃試験を行う加振力30tonfの振動発生機2台を1組の電力増幅器を切り換えて,各々垂直及び水平専用として用いる.操作はデジタル制御により正弦波,ランダム波振動試験の他衝撃試験も可能である.
 主要性能は以下のとおりである.
・振動数範囲	;	5〜2000Hz
・最大加振力	;	30tonf(正弦波)
・最大変位	;	50mm(P-P)(正弦波)
・最大速度	;	150mm/sec(正弦波)
・最大加速度	;	振動発生機単体100G
		垂直振動台4000kgf負荷で6G
		水平振動台5000kgf負荷で5G
・加振制御	;	正弦波,ランダム波,衝撃波	(小野田研究室)

 振動試験装置
 電動型,加振力  8ton,振動数5〜2000Hz,自動掃引式	(小野田研究室)

 振動・衝撃計測データ処理装置
 ミニコンA-70(パナファコム製)を用いて,ランダム振動・衝撃試験のデータ収録及び解析を行う.
 また,正弦波振動のデータ処理装置として,GENRAD社製GR-2517を付属する.	(小野田研究室)

 宇宙ロボットシミュレータ
 宇宙空間におけるロボットの動きを模擬する9自由度のシミュレータ.ターゲットとチェイサーを有し,回転6自由度,並進3自由度を有する.3台のワークステーションで,サポートする.この装置は,宇宙ロボット以外にも,月・惑星への軟着陸,ランデブ・ドッキング,近接レーザレーダ等の諸技術の実証実験を地上で行うことを目的とする.	(二宮,中谷研究室)

 ジャイロ試験装置
 ジャイロの高精度な試験を行うことを目的とする.外部から設置した回転速度で,1軸回りに回転可能なレートテーブルと,テーブルの制御装置より構成されている.回転速度は,0〜±600°/secの範囲で設定可能である.
	(中谷研究室)

 科学衛星搭載機器管制試験装置
 温度,振動,衝撃,熱真空など各種の環境条件のもとで科学衛星搭載機器の動作試験を行うためのもので,電源管制盤,チェックアウト盤,受信復調記録装置などよりなる.	(橋本(正)研究室)

 大型恒温室
 人工衛星や各搭載機器の温度試験を行うためのもので,その主要諸元は以下のとおりである.
1.温度範囲	−40℃〜+80℃
2.温度制御精度	±1℃以内
3.温度分布	±2℃以内
4.温度下降時間	室温→−40℃ 約60分
5.温度上昇時間	室温→+80℃ 約60分
6.温度制御方式	強制通風熱交換式(RID制御)
7.試験室内形寸法	W3000×H2600×D3400(mm)
 除湿には,冷凍機による通常の方法以外に,大型スペースチェンバ付属の液体窒素タンクより気化器を通して窒素ガスを導入することも可能である.なお,この場合の保安を目的として酸素濃度監視装置を備えている.
	(橋本(正)研究室)

 横形スペースチェンバ
 人工衛星サブシステム及び宇宙用機器の熱真空環境試験を目的とするもので,主要諸元は以下の通りである.
 真空系:容器寸法2.4mφ×4.2mL,36”油拡散ポンプ,10HPブースタポンプ及び2HP回転ポンプ使用,真空度3×10−7Torr.
 冷却系:シュラウド寸法2mφ×4mL,液体窒素冷却,液体窒素は縦形スペースチェンバの液体窒素冷却装置より供給される.	(橋本(正)研究室)

 宇宙環境試験装置(縦形スペースチェンバ)
 人工衛星及び宇宙用機器の熱真空環境試験を目的とするもので,ターボモレキュラポンプ及びクライオポンプの採用により,油汚染のない高真空が得られる.
 容器寸法4mφ×6.8mH,有効空間3.5mφ×5mH,到達真空度1×10−8Torr.以下/8時間以内,低圧液体窒素貯槽150001LN2,中圧液体窒素貯槽85001LN2.	(橋本(正)研究室)

 電磁干渉(EMI)測定装置
 飛翔体及びそのサブシステムが発生する各種の電磁雑音を自動的に測定する装置で,飛翔体環境試験棟3階の電磁干渉しゃへい室に設置されている.放射性及び伝導性の電磁雑音を,100Hz〜20GHzの周波数に対して自動測定できる.	(斎藤(宏)研究室)

 科学衛星磁気試験装置
 人工衛星及びそのコンポーネントの磁気モーメントを測定並びに調整することを目的とする試験装置で次の機能を有する.
  合成磁気モーメント(永久成分,誘起成分)の測定(被試験体寸法1.5mφ×1.23mH以下,被試験体重量300kg以下,検出感度0.05AT・,測定磁気モーメント値±50AT・)
  消磁試験(最大消磁界強度50oerstedDC)
  弱〜強磁界中での人工衛星の各種試験(磁界強度範囲0.01〜50oersted)	(二宮研究室)

 二次元回転磁界発生装置
 地磁気の水平成分を大略打ち消した上で,水平面内で回転速度10〜1,000rpm,大きさ0〜5orestedの回転磁界を発生できる.この範囲の直流磁界を発生することも可.有効範囲は約1mφの直径の球の内部,人工衛星の磁気姿勢制御系の機能動作試験等に用いられる.	(二宮研究室)

 微小トルク測定装置
 人工衛星等の被測定物を十字バネで保持し,発生する微小トルクにより生じる回転をオートコリメータにて検出する方法である.トルク測定範囲は50〜5,000dyne-cm,被測定物重量は120kg以下,慣性能率の測定にも使用可能.	(二宮研究室)

 直流B-H曲線測定装置
 磁性材料のB-H曲線を自動的に測定表示できる.硬磁性材料のB-H曲線をも測定できるように最大15,000gauss(磁界均一範囲約1,000gaussでは2.8cmφ×5.0cm1)の磁束密度を発生できる磁化器をも備えている.
	(二宮研究室)

 質量特性測定装置
 搭載装置等の重心位置,慣性モーメント並びに慣性乗積等の測定を行うものであり,重量約230kgまで試験できる.	(二宮研究室)

 スター光シミュレータ装置
 本装置は,ライトガイドとピンホールを使用してスターチャート上に星野を作成し,人工衛星などの姿勢制御に使用されるスターセンサの限界等級検出能力,二重星に対する誤認の有無,光学系のアライメントなどの各種試験に使用できる.
 送信像は−2〜+6等級(1等級毎に可変,±0.5等級の等級精度,等級偏差±20%,等級安定度±10%,色温度約3,000°K,約6,000°K),ピンホール数は一般星用20個,ダブルスター用1組,送信レンズ(ApoNIKKOR)は有効径127mm,焦点距離1,780mm,明るさF/14である.	(二宮研究室)

 姿勢センサ試験用駆動回転装置
 スターセンサ,太陽センサ,水平線センサ等の衛星及びロケット搭載用姿勢センサの性能確認並びに飛翔前試験を行うための2軸回転装置であって,一定角度のニューテーション運動も併せて模擬発生できるようになっている.
回転速度(ψ,φ)	:〜2.0RPM
ニューテーション角度(θ)	:5°以内
スリップリング	:10接点
搭載重量	:20kg	(二宮研究室)

 高精度日周運動追尾装置
 本装置は太陽・星等を対象とする姿勢センサの試験及び動作チェック等を目的とした高精度日周運動追尾装置である.
架台部
型    式:全周運動微粗動
精    度:周期運動±3.5秒角
追尾誤差:0.93秒角/1秒間
被測定物重量:約30kg
本体重量:約90kg
ディジタル表示部:マイクロコンピュータ処理による赤径,赤緯の表示	(二宮研究室)

 三軸モーションシミュレータ装置
 人工衛星,ロケットなど宇宙飛翔物体の姿勢検出系及び姿勢制御系の地上試験を高精度で行うことを目的とする.インナ軸,ミドル軸,アウタ軸の3軸回りに回転可能なジンバルを有し,被試験体に,任意の姿勢を与えることが可能である.姿勢ダイナミクスは,ミニコン(MS-140)を用いてリアルタイムで解き,その結果に基づき,コントローラを介して,上記ジンバルを駆動する.したがって,ソフトウェアの改修により,広い範囲の飛翔体の姿勢ダイナミクスに対応可能である.主な性能は,以下のとおりである.
姿 勢 分 解 能:各軸とも,10−4deg
最大回転範囲:各軸とも無制限
最大回転レート:インナ軸1000°/s,ミドル軸750°/s,アウタ軸400°/s	(二宮・中谷研究室)
 擬似太陽光光源
 本装置は太陽センサ等の単体の機能試験及び衛星の総合試験時に使用される擬似太陽光光源である.主な仕様は次のとおりである.
 有効照射面積 100mmφ以上(照射範囲は150mmφ以上)
 照射距離 50cm標準
 平行度±0.25°,±0.5°,±1.0°,±1.5°任意に設定可能
 主光線の角度アライメントミラーに対して±0.1°以内
 放射照度140mW/cm2以上(平行度±1.5°にて)
 放射照度の場所むら±10%以内(平行度±1.5°にて)
 放射照度時間変動率±2%/h
 スペクトルXeランプスペクトル(主波長範囲400〜1100nm)
 光フィードバックによる点灯可能
 重量167kg,消費電力200V20A	(二宮研究室)

 科学衛星試験用一軸回転テーブル(大型)
 本装置は科学衛星の総合試験(アラインメント測定等を含む)において衛星の一軸まわりの回転を精度よく実現する機能をもつ回転テーブルであり,また姿勢制御系・姿勢検出系等のサブシステムの機能試験を行うために使用することもできる.方位角方向を任意の角度及び速度に設定でき,またそれらの値を表示並びに他の機器に出力することが可能である.
主な仕様は次のとおりである.
1.供試体
 供試体寸法	最大2.4mφ×4mH
 供試体重量	最大1,500kg
 供試体慣性能率	最大1,000kg−
2.動作モード
A 位置制御モード
 位置精度	±10arc sec以内
 角度範囲	0〜360deg
 分解能	4.0×10−4deg以内
 角速度	最大120deg/sec
 位置読取精度	±2arc sec
B 速度制御モード
 速度制御範囲	0.6〜900deg/sec
 速度設定精度	0.6〜60deg/secの範囲	10−4deg/sec
	60〜900deg/secの範囲	0.1%
 速度変動率	リニアリティからのずれ	±0.1%以内
 角加速度	最大10deg/sec2
3.スリップリング
 信号伝送用	(1A/1pin) 30対(60本)
 電力伝送用	(20A/1pin) 20本(但し全pin通電時は1pin平均13Aに低減)	(二宮研究室)
 科学衛星アライメント測定用石定盤
 本定盤は科学衛星及び搭載機器のアライメントを測定する場合の基準台として使用するものである.
 石定盤は金属定盤と違って,温度等による歪みが少く,一度面出しがされていれば,長期間面精度が保持されている.また,この定盤は周囲の振動の影響をなくすため,防振対策が施されている.
寸    法:3000×3000×400mm
材    料:花崗岩
自    重:約10ton
搭載可能荷重:約2ton	(二宮研究室)

 衛星等アラインメント計測用スタンド
 搭載機器間のアライメントを計測する上で,オートコリメータ等を乗せて精密に移動できる.バーチカル移動装置(BRUNSON社製),水平移動台,X-Y微動装置などから構成される.	(二宮研究室)

 精密2軸回転テーブル
 高精度の姿勢検出が要求される太陽センサ,スターセンサ等の性能評価試験時に使用されるもので,精密かつ高安定度の2軸テーブルである.
 手動モードでは,操作卓のジョイステイックまたはキーボード入力によって,アジマス及びエレベーションのステージを任意に動かすことができる.一方,自動モードではあらかじめプログラムされた位置に自動的にステージを移動できるとともに,ユーザ側のコンピュータ等から移動の開始及び停止が制御可能である.
主な仕様は次のとおりである.
 駆動範囲	:アジマス(AZ) 約±180°
	:エレベーション(EL) 約±90° 
 角度分解能	:約1″(AZ,ELとも)
 設定精度	:±5″以下(AZ,ELとも)
 回転速度	:手動モード時
	 低速約0.1〜6rpm(40ステップ)
	 高速約0.1〜14rpm(40ステップ)
	  JOYステイックの傾きにより,それぞれのスピードを可変.
	 自動モード時
	 約0.1〜20rpmのスピードで約0.1rpmおきに設定可能.
 被試験物重量	:10kg以下	(二宮研究室)

 精密擬似太陽光光源
 本装置は高精度太陽センサの性能評価試験並びに機能試験時に使用される擬似太陽光光源である.特に照度分布の一様性,対称性及びリップルの低減等の性能が優れている.
主な仕様は次の通りである.
 光学系	:軸外し反射型コリメータ
 光 源	:キセノンランプ(3KW)
 ビーム径	:160mmφ
 平行度	:0.5゜
 最大放射強度	:AM0フィルタ付きで0.02solar以上
 照度均一性	:±5%以下
 照射距離	:プロジェクタ端面から1500mm以上
 電源/消費電力	:AC100V/0.3KW
	 AC200V(3相)/7KW
 重 量	:本体600kg
	 ランプ電源150kg	(二宮研究室)

 可搬型簡易太陽光光源
 有効照射面積	85mmφ
 照射距離	100mm標準
 平行度	64 arc min
 放射照度	140mW/cm2(仕様最大値)
 放射照度の場所むら	±5%以下
 スペクトル	Xeランプスペクトル
 重 量	26kg 消費電力 最大500W(120V)	(二宮研究室)

 太陽電池試験用スペース・チェンバー
 本装置は,当所において擬似宇宙環境下で人工衛星等に使用する太陽電池をはじめ,各種部品並びに小型sub-assemblyの試験を行うことを目的とする.
 650mmφ×800mmLの真空槽で,自由沸騰式のLN2冷却系(シュラウド寸法は530φ×600L),また,排気系はターボモレキュラポンプを用い,真空度は迅速に10−6Torr以下に達する.また光源は高安定度の目的で定電流方式を用いた1kWのXeランプより,照射面積12cm2に135.3mW/cm2を照射し得る.	(田島研究室)

 パルスソーラシミュレータ
 衛星のパドルやパネルに実装された太陽電池アレイの特性測定のための擬似太陽光源で,6本のXe(キセノン)フラッシュランプを使用し,2.5m×2.5mの照射面積に1ソーラコンスタント(135.3mW/cm2)の光を照射することが出来る.照射時間は約3msecと短いため被照射物の温度が上がらず,また,安定度が良いのが特徴である.太陽電池の特性データはパルスソーラシミュレータの点灯に同期してI-V特性上の64点を取り込みCRT画面等に表示する.	(田島研究室)

 耐熱性宇宙電子材料作製・評価装置
 本設備は,以下の超高真空チャンバー三室から構成されており,耐熱性優れた宇宙電子材料を作製・評価する実験設備である.1)導入・準備室,2)原子相レベルで制御された電子材料を作製する成長室(分子線エピタキシャル成長),3)高温時の劣化機構を評価する高度な分析室(光電子分光,電子線回折,二次電子像,トンネル顕微鏡).	(田島・廣瀬研究室)

 電波無響室
 ロケットや科学衛星に搭載される通信用アンテナの特性測定のための試験室である.その他に,通信用送信機と観測機器間の電磁干渉試験等も行うことが可能である.
 室内の有効寸法は,底面の幅8.7m,高さ8.5m,長さ22.7mであり,アンテナ最大測定距離は20mである.
使用周波数における測定空間領域内の不要電波反射率は,1.0GHzで−36dB,3.0GHzで−40dB,10GHzで−43dB,35GHzで−50dBである.電磁シールド特性は30kHz〜30GHzに対して−60dB以上である.
	(担当 廣澤,斎藤(宏文)市川,鎌田)


 フーリエ変換分光光度計
 バイオ・ラッド社製フーリエ変換分光光度計,FTS-60A/896ステップスキャンシステム.完全に装備すると45,000〜10cm−1の波数領域で測定が可能なシステムであるが,現在45,000〜3,300cm−1範囲のキットを備えている.スキャンスピードは,ステップスキャンモードで最大32,000スペクトル/スキャン,時間分解能2.5マイクロ秒〜30秒.超高速スキャンモードでは最大76スペクトル/秒,時間分解能13ミリ秒/スペクトル.最高分解能0.1cm−1.探査機の表面に使用される材料の透過・反射等の光学特性の測定に用いている.	(担当 廣澤,大西)

相模原キャンパス構造機能試験棟

 並進運動模擬システム
 主に,小惑星探査ミッション用の航法系の試験を行うための装置であり,移動台車,パラレルリンクマニピュレータ,搭載台,及び制御計算機で構成される.搭載台に瀬土された疑似小惑星を対象として,相対運動のシミュレーションを行い,航法系の確認を行う.供試体は,移動台車先端部に取り付いたパラレルリンクマニピュレータ上に設置される.この2つの装置の組合せにより,衛星の運動を模擬する.装置の運動は制御計算機により制御される.本装置は,精度・応答性はやや劣るものの,長い距離の運動シミュレーションを行うことができるという利点を有している.	(川口研究室)

 大型スピンテーブル
 ミューロケット頭部の開頭,各段の切離し試験などロケットの機能試験をスピン中に行うことを目的としたもので0.3〜7Hzのスピン運動に,傾斜角0〜15°で0〜1Hzのプリセッション運動を重畳させた試験ができる.試験体は重量800kgで直径1.0m,重量400kgで直径1.6mのものまで試験できる.
 付属装置として試験体切離し時の吊上げ装置がある.	(小野田研究室)

 ロケット切離し装置(吊上げ装置)
 本装置はロケット各段の切離しにおいて上段側を吊上げるために使用するもので,構造機能試験棟の天井走行クレーン(4.8ton)に設置されている.駆動源は油圧シリンダを使用し,最大吊上げ能力は1.5ton,吊上げ速度は1.5m/secである.スピンをともなう試験は大型スピンテーブルと併用して行う.	(小野田研究室)

 ロケット構造試験用テストスタンド
 M-3S型級ロケット構造,機能部分の総合試験を主目的として,水平(長さ12m,幅6m),垂直(高さ8m,幅5m)のL型定盤,油圧ジャッキ,3系統同時駆動の油圧負荷制御装置,高速度ひずみ・たわみ計測装置(計測点数600点)等で構成され,軸力200ton,曲げモーメント200ton-mまでの試験が可能である.また,これらの操作及びデータ処理はパソコンを使用して行う.	(小野田研究室)

 高温炉付ビッカース硬度計
 明石製作所製,不活性ガス雰囲気中,室温から1200℃までの温度範囲内において,材料の硬度測定が可能である.	(栗林研究室)

 機械式高温材料試験機
 島津製作所オートグラフAG-100kNG機械式材料試験機に,2種の大気炉を取り付けたもので,常温から1600℃までの引張,圧縮,クリープ試験等を行うことができる.	(栗林研究室)


 高周波加熱装置付油圧サーボ型疲労試験機
 鷺宮製作所リサーチ1600型コンピュータ制御油圧サーボ材料試験機に,富士電波工機10kW高周波加熱装置及び真空チャンバーを取り付けたもので,雰囲気,温度,荷重あるいはひずみ速度を制御した種々の材料試験の自動測定が可能である.	(栗林研究室)

 熱膨張計
 富士電波工機formaster-F高周波加熱式全自動変態記録測定装置に,差動伸び検出機構,荷重付加機構を追加したものであり,急熱急冷時の材料の変形挙動が測定できる.	(栗林研究室)

 垂直落下型衝撃試験
 薄肉構造体一般の衝撃・圧壊試験に用いられ,衝撃による破壊のモード,衝撃エネルギ吸収のメカニズム等の研究に寄与できる.
 試験機の大きさ	:幅950×奥行1,300×高さ12,300mm
 最大落下高	:10,000mm
 最大衝突速度	:14m/sec
 供試体最大寸法	:幅400×奥行400×高さ500mm
 供試体最大重量	:50kg	(名取研究室)

相模原キャンパス特殊実験棟

 赤外線観測器用極低温環境試験装置
 液体ヘリウム温度において,宇宙赤外線観測器の動作試験を行うための試験槽.供試体は直径40cm,高さ約40cmのものまで収納できる.温度は冷凍機と液体ヘリウムにより,2K以下まで冷却が可能である.
	(宇宙放射線,奥田研究室)

 大面積平行光発生装置
 赤外線観測器などの光学試験を行うための大面積平行光を発生する装置.直径1mの金属球面鏡により,焦点におかれた光源の光を平行光に変換する.平行度は20秒角程度.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 横型極低温試験槽
 飛翔体搭載望遠鏡の光学系を極低温環境で試験するための試験槽,内容積は30cm径×45cm長で,光軸を水平にした状態で試験できる.液体窒素により50K,液体ヘリウムを用いると2Kまでの冷却が可能である.
	(宇宙放射線,奥田研究室)

 精密大面積球面鏡
 飛翔体搭載望遠鏡の光学的性能を測定するための精密球面鏡.有効径60cm,曲率半径14m,精度1秒角の凹面球面鏡で,あおりを微調整する機構が付属している.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 超流動ヘリウム供給装置
 宇宙赤外線観測器用の搭載用冷却容器(クライオスタット)に超流動ヘリウムを供給するための装置.供給側のタンクの容量は500リットル,供給操作はすべて遠隔あるいは自動で行われる.超流動ヘリウムの移送用の三重移送管,移送先の冷却容器の状態を監視するためのモニター装置も備えている.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 精密X-Y,θ-Zステージ
 飛翔体搭載望遠鏡の光学的性能の測定,光軸のアライメント調整などに用いられる.耐荷重性能を備えた精密ステージ.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 X線実験装置
 X線望遠鏡較正のためのX線平行ビーム装置で,X線発生装置,40mビームダクト,測定用大型真空槽で構成されている.真空槽内には精密移動台が設置されている.その他に制御用,測定用計算機,X線検出器,電子回路系を備えている.	(宇宙放射線)

 X線反射率測定装置
 回転対陰極型X線発生装置からの特性X線(C-Kα,A1-Kα,Cu-Kα)を用いてX線反射鏡,分光素子等の性能評価をする.装置にはθ-2θの回転機構が組み込まれており,回転台に試料を,回転枝にX線検出器を取り付け,入射角に対する反射率を測定することができる.	(宇宙放射線)

 熱真空試験装置
 熱真空恒温槽(1200φ×1100(直胴部)mm),真空ポンプ,質量分析計等で構成され,10−7Torrの高真空下で
−40℃〜+80℃の温度範囲において熱真空試験を行うことができる.また,この装置はベーキング用としても使用できる.	(宇宙放射線)

 X線望遠鏡較正用平行光源
 高空間分解能のX線望遠鏡を可視光により較正するための装置で平行度は約2秒角である.
	(宇宙放射線,小川原研究室)
 赤外線黒体炉
 赤外線波長域において,精度の良い標準光源となる黒体炉(バーンズ社製).設定温度は最高1000度Cまで,放射率98%以上,光源の口径は1インチまである.変調用チョッパーも備えている.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 フーリエ変換赤外分光光度計
 マイケルソン干渉計を用いたフーリエ変換型赤外分光光度計(BOMMEN社製DA8.002).資料室は真空にでき,最高0.003cm−1という高分解能の分光測定が可能である.波長範囲は47000−10cm−1で資料の透過率,反射率のほか,赤外線観測器の波長特性の測定もできる.	(宇宙放射線,奥田研究室)

 磁気シールド付き真空チェンバー
 ロケット及び衛星搭載用の低エネルギー電子分析器の基礎開発実験や電子ビーム実験に使用する為に,地球磁場等の影響を除去する目的で,2重の磁気シールドを内部に持つ真空チェンバーである.磁気シールド内部の70mm (φ)×1400mm(L)の領域で,約100nt以下の低磁場になっている.また,3次元ジンバル及び電子銃可動装置も設置されている.主真空排気系は1500l/sのターボ分子ポンプと1200l/sのクライオ・ポンプで,到達真空度は5×10−8 Torr以下である.	(向井・早川研究室)

 低エネルギー荷電粒子計測器較正装置
 ロケット及び衛星搭載用の低エネルギー荷電粒子計測器の基礎開発実験及び飛翔前の較正テストを行う.低エネルギー荷電粒子とは,0.1〜30keVの電子及びイオンである.主な仕様は以下のとおりである.
  主チェンバー	900φ 1050L(内部にジンバル台)
  主排気系	1500 l/sターボ分子ポンプ
	チェンバー内の到達真空度:≦1×10−7 Torr
  ジンバル機構
c-1) 2軸回転化	X軸:±15°
	Y軸:360°
c-2) 回転角読取精度	ΔX:0.1°
	ΔY:0.1°
  イオンソース	0.1〜20keV (30keVまで可)
	永久磁石による質量選別付160 l/s差動排気系付
  電子銃	0.1〜15keV (30keVまで可)	(向井・早川研究室)

 高速飛翔体発射装置
 惑星表面で起こっているクレーターのシミュレーションなどのために,飛翔体を高速で飛ばして各種の標的に衝突させる装置,火薬により駆動されたピストンによりヘリウムガスを圧縮して7mmの飛翔体を約5km/sにまで加速することができる.	(藤原研究室)

 惑星環境風洞
 測定部は直径1.6mの円形,回流型,風路が密閉可能のため惑星大気の組成をもつガスを充し,その圧力を0.1気圧から1気圧まで変え得る.最適風速は0.1気圧の場合170m/sである.なお,密閉容積270の吸込み式風洞用の低圧槽としても使用される.	(中島研究室)

 低密度風洞
 直径1.6m長さ2.4mの横置円筒型で,内部に液体窒素冷却のシュラウドを備え,またソーラー・シュミレーターで照射も出来る.衛星及びその部分の熱真空環境試験に用いられる.またクライオパネルを附加して,モル・シンクとして作動させ,真空中に噴射させたロケット・プルームの相似試験を行う.	(中島研究室)

 恒圧恒温器
 本恒圧恒温器は,気球観測における環境と同じ低温低圧となる成層圏の環境を地上にて作り出す装置である.本装置を用いて,気球に搭載する観測器及び基本搭載機器を,気球環境下で試験することができる.温度試験範囲は−70〜100℃,圧力範囲は760mmHg〜1mmHgである.	(矢島研究室)

 フェベトロン706
 光学観測用の瞬間光源.パルスあたり12ジュール,発光時間3nsec, ターゲット可変により発光波長可変.X線源としても使用可能.	(安部研究室)

 自由飛行発射装置
 自由ピストンを利用したガス駆動方式による飛行体発射装置.発射管内径5〜20mmφ,管長116m,測定胴内径500mmφ,測定胴内圧可変(常圧〜10−5Torr),飛行体最高達成速度3km/sec.
 衝撃風洞としても使用可能.よどみ点温度1200K,持続時間3msec.
 超高速衝撃波発生装置としても使用可能.0.3Torrの圧力の大気中で,最高速度13km/sec.	(安部研究室)

 高速バルブ型ショック・チューブ
 自由ピストンを用いた高速バルブの開閉によって衝撃波を発生させる装置.降圧部10気圧,低圧部長5m,測定部59mmφ.	(安部研究室)

 油圧押出し機
 押出し加工により,丸棒素材から種々の断面形状の試験片素材を作成する装置である.押出し力は300ton,押し出し速度は3mm/min〜500mm/minの間で調整可能,本体コンテナを〜300℃まで加熱可能である.
	(栗林研究室)

 熱間圧延機
 スラブ圧延用の熱間二段圧延機であり,金属,合金試料の圧延加工を行うための装置である.
	(栗林研究室)

 走査型電子顕微鏡
 トプコンSM-510型走査型電子顕微鏡に,EDAX DX-4型エネルギー分散型X線分析装置を取り付けたものである.電子銃:LaB6,分解能:4nm,最大倍率:×300kであり,低真空での観察が可能となっている.またX線分析装置では,B以上の元素分析が可能であり,SEM像/X線像の取得も行うことができる.	(栗林研究室)

 透過型電子顕微鏡
 日本電子JEM3010型300kV高分解能型分析電子顕微鏡に,EDAX DX-4型エネルギー分散型X線分析装置を取り付けたものである.電子銃:LaB6,分解能:格子像0.14nm,粒子像:0.21nm,最大倍率:×1200k,最小プローブ径:2nmである.	(栗林研究室)

 X線回折装置
 マックサイエンスMX3p型X線回折装置及びラウエカメラである.グラファイトモノクロメータ付,加速電圧40kV,最大電流20mAである.	(栗林研究室)

 動的光散乱測定装置
 Brookhaven製,コロイド粒子や溶液中の高分子等(0.003〜3μmの粒子)の粒度分布,分子量,拡散係数,形状,ビリアル係数等の解析を散乱光測定により行う装置である.	(栗林研究室)

 X線分析顕微鏡
 堀場製作所XGT-2000走査型X線分析顕微鏡で,φ10μmのX線ビームにより蛍光X線の元素分析とマッピング像が得られる.	(栗林研究室)

 ガスジェット・超音波浮遊装置
 ガスジェットと超音波によるポジショニング機能を組み合わせた浮遊炉.電磁浮遊炉では浮遊させることのできない,セラミックやガラス,水などの非伝導物質を浮遊可能.	(栗林研究室)

 炭酸ガスレーザー
 浮遊させた半導体や高融点セラミックス試料を非接触にて加熱・溶解し,また冷却時の温度制御を行う.最大連続出力1700W.TEM01モード.波長10.6μm.ビーム系18mmパルス制御可能.	(栗林研究室)

 耐熱材料試験装置
 本装置は,惑星探査や将来型の宇宙輸送システムにおいて不可欠な再突入飛翔体の耐熱材料評価試験,および高エンタルピ気流の特性評価や計測手法の基礎研究用に,アーク加熱による高温気流発生装置および真空排気系,冷却系,運転制御計測系などから構成される高エンタルピ風洞である.アーク加熱器は高圧での動作に対応するHuels型のヒータ(500kwの投入電力を用い,気流は50%以上の熱効率で約15MJ/kgのエンタルピまで加熱される)と高エルタルピ高加熱率での作動が可能なセグメント型のヒータ(投入電力1000kw,気流エンタルピ最高25MJ/kg)が設置されている.これらの高温気流発生装置によって低膨張比における高圧,高加熱率環境での耐熱材料の加熱試験が実施可能である.また開口比300以上のノズルによる高膨張の状態で,約4km/secの気流速度を達成し,熱材料実験に加えて高エルタルピ気流に関する種々の研究環境を提供できる.また極超音速流れにおける,熱的および科学的非平衡状態をはじめとする種々の状態量の計測手法の研究のために,エキシマレーザおよび色素レーザを装備し各種の気流計測に対応している.	(稲谷研究室)

 電気推進機耐久性評価装置
 イオンエンジンの長時間連続試験を実施する真空チェンバーであり,主タンクは2mφx2.5mの背圧10−6Torrを維持できる.	(栗木研究室)

 アークプラズマ・チェンバー
 大型マイクロ波イオンエンジンなど電気推進の基礎実験,研究開発およびプラズマプルームを用いた電離気体力学の実験を行う.真空チェンバーはステンレス製で1.5mφx2.5mの背圧10−5Torr台.	(栗木研究室)

 スピンテスター
 円盤状の材料あるいは部材に100000r.p.mまでの高速回転を真空チャンバー内で付与し,回転物の遠心力による破壊過程を調べるための装置.テストピースの寸法及び重量は,直径400mmまで及び約3kgまでが測定可能で,テレメータによる歪み計測装置と破壊時の写真撮影装置が設置されている.	(八田研究室)

 超高温真空ホットプレス
 セラミックスや炭素材料成型用のホットプレス.最高到達温度:2300℃,常用温度:2000℃以下,加圧力:5ton,加圧可能面積:100mm直径,到達真空度:10−4Torr.炭素ヒータを用いているため真空かまたは不活性ガス雰囲気中でのみ使用可.	(八田研究室)

 大気ホットプレス
 セラミックスや炭素材料の仮焼成用の大気雰囲気ホットプレス.最高到達温度:1200℃(カンタルヒータ),最高プレス力:100ton,プレス面:500mm×600mm,ストローク:50mm	(八田研究室)

 CVD(Chemical Vapor Deposition)装置
 炭素/炭素複合材料に耐酸化性を付与するために,同材料表面にSiCセラミックスの薄膜を生成させるための装置.反応槽の温度は最高で1800℃,到達真空度は10−4Torr.	(八田研究室)

 熱衝撃装置
 耐熱材料に急速加熱及び冷却の熱負荷あるいは熱サイクルを加える装置.ハロゲンランプ加熱・水循環方式の冷却機構が付属しており,最高到達温度は1800℃,最高加熱,冷却速度は70℃/s,試験片寸法は100mm×10mm×3mmである.	(八田研究室)

大型計算機(研究センター棟1F・2F)

 当所には,大型計算機としてFACOM VPP800/12,GS8400/20,VX/2,DEC−Alphaの4台と科学衛星支援計算機としてGS8400/10 1台(この計算機はセキュリティガードのため一般利用は出来ない.)が稼働中である.
 主メモリ,外部記憶装置及びセンターシステムとしての機器構成等については,下図を参照されたい.
 入出力装置は,オープン室が1ケ所,サブステーションが各建物に四ケ所設置され,そこには各ステーションの機能に応じてFMV高機能端末,グラフィックサーバ,ビデオサーバ,カラープリンタ,ネットワークプリンタ,グラフィックディスプレイ装置等が設置されている.
 構内各研究室の端末とは光データハイウェイ(FDDI光LAN)によってホスト計算機と結合され,個々の端末は,TCP/IPプロトコルで接続されて,端末機能の他に,各研究室間のメールサービスも行われている.
 現在構内でホスト計算機に接続されている端末の総数は約400台あり,所外のインターネットとの接続のためSINETに加入している.