日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられてから今年で50周年を迎えます。
これを記念して「おおすみ」や小惑星探査機「はやぶさ」など、日本のロケット開発や宇宙研究に関する資料の展示を行います。

「おおすみ」から「はやぶさ」まで打ち上げたロケットの追尾に使われたJAXA内之浦宇宙空間観測所のレーダ用コンソール、ラムダロケット等に搭載された機器、初期のベビーロケット関連資料等を展示いたします。また、「はやぶさ」模型やイトカワ微粒子、「はやぶさ2」搭載のインパクターや分離カメラ等も展示します。

日本初の人工衛星『おおすみ』打ち上げ50周年

「日本初の人工衛星『おおすみ』打ち上げ50周年」ポスター

開催概要

日時

令和 2 年 1 月 28 日(火)~ 2 月 24 日(月)

会場

国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20) [アクセス・利用案内]
地球館2階「科学技術の過去・現在・未来」リンクスペース

主催

国立科学博物館

共催

JAXA 宇宙科学研究所

展示物

宮原(みやばる)司令制御精密レーダ用コンソール

JAXA内之浦宇宙空間観測所の宮原(みやばる)司令制御精密レーダ(略称:精測レーダ)は、ミューロケットの開発計画にあわせて1964年から設計が始まり、1967年に完成した我が国初の精密級自動追跡レーダです。計算機のソフトウェアに専門に関わる技術者が多くない時代に、コンピュータシステムを導入した最初のレーダでした。精測レーダは、日本初の人工衛星「おおすみ」を誕生させたL4S5号機(1970年2月11日から、世界初の小惑星への着陸・往還・サンプル採取を成し遂げた「はやぶさ」を含む、ミューロケットをはじめ内之浦宇宙空間観測所から打ち上がる全てのロケット追尾に、フライトオペレーションの要として使用され、2010年8月31日のS52025号機打ち上げを最後に廃局されました。

宮原(みやばる)司令制御精密レーダ用コンソール

JAXA内之浦宇宙空間観測所宮原(みやばる)司令制御精密レーダとレーダ用コンソール(写真:JAXA)

ロケット搭載機器(1964-1971年製)

ラムダロケット等に搭載されたテレメータ送信機やコマンド受信機等の機器を展示します。
当時の東京大学宇宙航空研究所で開発されたものです。

ロケット搭載機器( 1964-1971年製)

(写真:国立科学博物館)

S-160JA-1ロケット(レプリカ)

S-160ロケットは南極で高層大気の観測のために打ち上げることを目的として東京大学宇宙航空研究所で開発された観測用ロケットです。1968年にS-160-1号機が打ち上げられ、S-160JA-1号機は1970年2月10日(おおすみ打ち上げの前日)に南極昭和基地からの打ち上げに成功しました。最大到達高度は86.9km、水平距離は88kmで、オゾンおよび電子密度の観測を行いました。この時の南極観測隊(JARE11)の松田達郎隊長ら3名は当館極地研究部所属でした。1973年に国立極地研究所が設立されるまで当館に極地研究部・センターが設置されていました。

S-160JA-1ロケット(レプリカ)

南極で打ち上げられた観測用ロケットS-160JA-1(レプリカ)。右の写真は観測用ロケットS-310-45号機(2020年1月9日打ち上げ)(写真:JAXA)

μ10型イオンエンジン(JAXA所蔵)

「はやぶさ」搭載のイオンエンジンで、直径が10cmです。キセノンガスをマイクロ波でプラズマにして、できたキセノンイオンを電場で加速して放出します。推力は低いですが、燃費がよくて長時間稼働することができます。「はやぶさ」ではトラブルもありましたが、4機累計4万時間の宇宙実績を作りました。

μ10型イオンエンジン(JAXA所蔵)

(写真:JAXA)

「はやぶさ2」搭載インパクターと分離カメラDCAM3(エンジニアリングモデル)(JAXA所蔵)

「はやぶさ2」は小惑星リュウグウの内部を探るため人工クレーターを作る実験を行いました。インパクターは2kgの銅製円盤で、これを爆薬で発射して弾丸としました。「はやぶさ2」は破片等を避けるために小惑星の影に隠れていますので、分離カメラDCAM3を本体から切り離してクレーター生成の映像を記録しました。

「はやぶさ2」搭載インパクターと分離カメラDCAM3(エンジニアリングモデル)

「はやぶさ2」搭載インパクターと分離カメラDCAM3(エンジニアリングモデル)(写真:JAXA)

「はやぶさ」用サンプラホーン初期モデルと弾丸(JAXA所蔵)

「はやぶさ」が小惑星イトカワからサンプルを回収するために、小さな弾丸を撃ち込み、舞い上がった破片を集める方法が採用されました。サンプラホーンは破片を帰還カプセルに導くためのもので、様々なモデルが作られて試されました。「はやぶさ」ではトラブルで弾丸が発射されませんでしたが、「はやぶさ2」では発射に成功しました。展示する弾丸は「はやぶさ2」搭載のものと同じものです。

「はやぶさ」用サンプラホーン初期モデルと弾丸

「はやぶさ」用サンプラホーン初期モデルと弾丸(写真JAXA)

おおすみ(エンジニアリングモデル)とラムダロケットランチャー(実機)

日本初の人工衛星で、1970年2月11日、ラムダロケットL-4S型5号機で打ち上げられました。発射場の内之浦宇宙空間観測所のある鹿児島県大隅半島にちなんで「おおすみ」と名付けられました。また、「おおすみ」を打ち上げたラムダロケット用ランチャー実機が地球館の屋外に展示されています。

おおすみ(エンジニアリングモデル)とラムダロケットランチャー(実機)

(写真:国立科学博物館)

「はやぶさ」模型と イトカワより採取したサンプル実物(JAXA 所蔵)

世界初の小惑星からのサンプルリターンを成功させた「はやぶさ」の実物大模型が展示されています。また、小惑星イトカワから持ち帰った微粒子サンプルの実物を顕微鏡で見ることができます。

「はやぶさ」模型と「イトカワより採取したサンプル実物

(写真:国立科学博物館)