運用終了X線天文衛星「てんま」

X線天文衛星「てんま」は、X線天体のエネルギースペクトルの精密観測、およびガンマ線バーストの観測を目的とした宇宙望遠鏡である。搭載した蛍光比例計数管の高いエネルギー分解能を活かして、様々なX線天体のエネルギースペクトルを精密測定した。

中層大気観測衛星「おおぞら」 太陽観測衛星「ひのとり」

X線天文衛星「てんま」は、X線天体のエネルギースペクトルの精密観測、およびガンマ線バーストの観測を目的とした宇宙望遠鏡です。
打上げ後、太陽電池パドルの展開、各機器のテスト、磁気トルクによる姿勢制御、スピン制御などを順調に実施し、3月より定常観測に入りました。その後、ホイールの異常により衛星のニュ-テーション(軸のふらつき)が増加する不具合が発生したため、ホイールを止めて同じフリースピン方式に切り替えました。1984年7月には電源系の不具合が発生しましたが、主観測器には異常がなく、そのままの状態で観測が続けられました。
「てんま」は、蛍光比例計数管の高いエネルギー分解能を活かして、様々なX線天体のエネルギースペクトルを精密測定しました。

機体データ

名称(打上げ前) てんま(ASTRO-B)
国際標識番号 1983-011A
開発の目的と役割 X線天体のエネルギースペクトルの精密観測、およびガンマ線バーストの観測
打上げ日時 1983年2月20日 14時10分
場所 鹿児島宇宙空間観測所(内之浦)
ロケット M-3Sロケット3号機
質量 216kg
形状 対面寸法最大94cm、高さ89.5cmの四角柱型
4枚の太陽電池パドルを備える
軌道高度 近地点497km 遠地点503km
軌道傾斜度 32度
軌道種類 円軌道
軌道周期 94分
主要ミッション機器 蛍光比例計数管
軟X線反射集光鏡装置
広視野X線モニター等
運用停止日 1988年12月17日
落下日 1989年1月19日
運用 打上げ後、太陽電池パドルの展開、各機器のテスト、磁気トルクによる姿勢制御、スピン制御などを順調に実施し、3月より定常観測に入った。その後、ホイールの異常により衛星のニュ-テーション(軸のふらつき)が増加する不具合が発生したため、ホイールを止めて同じフリースピン方式に切り替えた。1984年7月には電源系の不具合が発生したが、主観測器には異常がなく、そのままの状態で観測が続けられた。
観測成果 ・我々の銀河系の銀河面に沿って、数千万度の高温プラズマが存在する事を発見した。
・X線バースト中に、中性子星の強い重力場で赤方変移したと考えられる、鉄の吸収線を発見した。
・磁場の弱い中性子星連星系からのX線放射が、降着円盤と中性子星の2つの領域から出ている事を発見した。
・X線パルサーからの鉄輝線放射が、低温つまり中性の鉄からの放射である事を発見した。