JAXA 宇宙科学研究所 海老沢研究室へようこそ
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2023年度

富永さん&大間々さん 歓送会 (2024年03月28日)

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今回の日誌は、富永さんと大間々さんの歓送会についてです。 場所は、海老沢研究室でよく行く焼き肉屋さん「味ん味ん」です。 富永さん、大間々さんは今年度博士号を取得し、大学院を卒業されるため、この日が学生最後の研究室お祝い会になりました。 来年度からは新天地に旅立たれることになります。(詳しくは日誌参照)
富永さん、大間々さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。 新天地でのますますますのご活躍をお祈りしております。 また逢う日まで。

富永さんの前回の日誌で「では2日後に」とありましたが、この日誌を書いたのは実は4月8日。XRISM衛星最初の観測提案書を書いていて日誌を書くのが遅れてしまいました。 その間に1624室は少し散らかってきました。今まで注意してくれた富永さんがいなくなったためです(栗原さんが壊れた傘を放置している)。 1610室は真っ暗になることが増えました。大間々さんがいなくなったためです(もともとかもしれない)。 でも新しい人も入ってきて、新しい風が吹いています。時は回るのですね。
(もち)
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学位授与式とLiteBIRD Japan F2F meeting(2024年3月21日,26日)

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F2F meetingでプレゼン中の富永と柏崎さん。学位授与式で望月くんと記念撮影。


D3富永です。3月21日に東京大学にて大学院の学位授与式が行われました。私は5年間の大学院生活で、修士一年の頃こそ講義で通学しましたが、それ以降は宇宙研漬けの日々で、それほど寂しくは感じませんでした(笑)とはいえ、同期と久しぶりに会い、来年からの進路や博士論文の思い出話などで盛り上がりました。同日に修士課程の修了式も行われていたので、M2の望月くんと合流して理学部1号館の前で記念撮影できました!望月くん、進学おめでとう!
修了式の後も終了感が全くなかったのは、3月26日に開催されたLiteBIRD Japan F2F meetingで最後の研究成果を発表することになっていたからでした。博士論文はX線解析をテーマにしていましたが、二年前にやってた宇宙線シミュレーションの続編がやりたかったので、二ヶ月だけでしたが再びLiteBIRDに関わることができました。二年前に技術的に諦めたコーディング部分などを改訂することができ、先行研究とも矛盾しない成果を出すことができました。M1柏崎さんも、Measurements of magnetic field emission というタイトルで磁場実験の結果を口頭発表しました。どちらの発表でも今後の研究発展につながるような重要なコメントをいただくことができました(私の研究は辻本准教授に引き継ぐことになる、、、でしょう)。
長かった宇宙研生活の終わりがようやく見えてきてきて、少し名残惜しいような気もしますが、研究室での学びを忘れず、来週から社会人として働きたいと思います。それでは、次回、二日後の焼肉送別会日誌でお会いしましょう!(とみ)
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総研大物理科学研究科長賞受賞と博士研究生活を振り返って(2024年3月22日)

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先日、総研大に提出した博士論文で物理科学研究科長賞を受賞いたしました。博士論文をまとめあげたときには、「この研究は評価されるのだろうか?」という不安がありましたが、このような賞を頂いたことで、喜びはもちろんですが、安堵の思いもあるというのが正直なところです。

さて、年度末に開催された総研大宇宙科学専攻の「学生と教員の懇談会」の際に「学位取得に際して苦労したこと」というお題で10分ほどお話させていただく機会がありました。折角ですので、こちらの方でも軽くまとめて見たいと思います。

本編に入る前に私の研究をざっくり紹介します。私は、ブラックホール連星のNICERによる観測データを対象に、統計モデリングによって時間とエネルギーの情報を同時に扱うことで詳細な情報を抽出する手法の開発を行いました。時間とエネルギーを同時に扱うことによって天体の詳細な情報にアクセスすることが期待されるのですが、従来のアプローチではそれらを独立に扱って解析が行われてきました。本研究では時系列の統計モデルである状態空間モデルを用いることでこれらの情報が同時に解析できるところに着目して新たな解析の枠組みを提案したものです。このような研究を行い博士論文としてまとめる上で苦労したこととして3つのことを挙げます。それは「研究:統計モデリングを用いた研究への挑戦」「執筆:学位論文特有の難しさ」「マネジメント:リスクとスケジューリング」です。

まずは研究について説明します。実は状態空間モデルは時系列モデリングの標準的な枠組みであり、最先端の統計モデルというわけではないにも関わらず、分野での活用は少ないという状況です。「なぜ少ないのか?」 「先人がある理由で失敗したのでないのか?」といったことを適切に把握して本研究の位置づけを行うことが大変でした。当たり前ですが行われた成果は論文として発表されてますが、行われていない失敗は発表されないからです。また、必要な知識の収集も苦労したところの1つです。専門家がいない状況だったので自らが切り開いていく必要があり、文献を読みながら試行錯誤を行いました。また、アイデアを形にしてデータ解析をするためにはソフトを使用する必要があります。私の場合は自由な統計モデリングを行いたかったので確率的プログラミング言語を習得必要がありここも苦労したところです。

次に執筆について述べます。執筆の作業全体で博士論文の立ち位置を把握する事は非常に重要です。博士論文と投稿論文では求められていることが違うと言われ、具体的には博士に足る能力を証明することや教育的な文書であることが求められます。この2つの要請は投稿論文の簡潔に科学的事実を述べるというものと違うベクトルを持つものであり、場合によっては相反することのようにも思え、執筆活動全体を通してバランスを取るのが非常に難しかったです。

最後にマネジメントについてです。本研究は失敗するリスクの高い研究だったように思います。良い研究に挑戦することとリスクは必要不可欠です。しかし闇雲にリスクを取ればいいと言う訳ではありません。私はリスクを分散させるために常に複数の研究アイデアを持つようにしてました。また、研究のリスクはある程度やむを得ないので、それ以外のリスク(例えば生活やスケジューリング)を極力減らすように最適化を試みてました。また、余裕を持ったスケジューリングもマネジメントの1つです。そのために意識したことは自身を理解すること(能力、性格、強み・弱み、考え方のクセなど)や指導教官と適切にコミュニケーションを取ることです。特に後半は宇宙研という場所の特性上、先生方はプロジェクトで超多忙なので重要でした。

以上が苦労したこととその解決法になります。あくまでも私のケースですので参考程度に見ていただけたら幸いです。

博士という称号はいただきましたが、本当の価値は博士研究で得られた研究を遂行する力にあるように思います。来年度から卒業して別のフィールドに移ることにはなりますが、この力は今後生きてくることは間違いないと思います。またどこかでお会いしましょう。(T.O.)


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ブラックホール大研究会@御殿場(2024年2月28日-3月2日)

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写真1:会場となった時之栖を夜に散策しました。
写真2:懇親会にて、海老沢先生に縁のあるみなさんと。
厚地です。今回は地元沼津からほど近い御殿場の時之栖にて開催された「ブラックホール大研究会」(恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールの研究会が合体したのでこう呼ぶのだそうです)に参加してきました。
僕が現在扱っている天体はX線中性子星連星系で、ブラックホールではありません。ではこれらは完全に別分野の物理的対象かというと実は全くそうではなく、伴星からの質量降着、それに伴うジェットの噴出、そして周辺プラズマの輻射輸送と、両者の振る舞いは非常に密接に関連した、一方の研究の進展がもう一方の理解の増進を生むともいえる表裏一体の研究対象です。さらに、中性子星や恒星質量ブラックホールに対して超大質量ブラックホールは、質量にしてひと声数万倍、数億倍大きい系でありながら、やはりその降着円盤やジェット、プラズマの物理は根本的には共通のアプローチで記述されます。今回の研究会で、僕の研究課題である輻射輸送計算についても様々なトピックが挙がりましたが、ブラックホール研究の観点から得られるシミュレーションの知見は新鮮かつ有意義で、多くの今後の研究の糧が得られました。現代天文学最大の謎である、超大質量ブラックホールの秘密に包まれた形成史を解き明かしたい、とぼんやり思い馳せるときが僕には時々あります。その鍵が意外にも、系のスケールが小さく、光度も大きく、時間発展を追うことが比較的容易な中性子星連星系の中に隠されていたとしたら……。それが僕の現在の研究の駆動力でもあります。
さて、今回の会場には海老沢先生・辻本先生と顔馴染みの研究者の方々も多く、海老沢先生と同席した2日目の夜には本研究室のOBである水本さんら、辻本先生と同席した3日目の夜には筑波大学の大須賀先生らをはじめとして、複数名の先生、ポスドク、学生の皆さんとの交流の機会をいただきました。加えて、たくさんの方を紹介していただくとともに、新たな顔見知りが何人も増えました。両先生本当にありがとうございます。研究者の方々の生の声を、発表中のみならず食事の席でも聞くことができるのは、むしろ本当の研究会の醍醐味かもしれません。
また、会場となった時之栖はホテルに温泉やレストラン、そして夜はイルミネーションも楽しめる総合レジャー施設であり、面白い話を聞いて美味しいものを食べ尽くした後に露天風呂に浸かってふかふかのベッドで寝られるという、まさに至福の四日間でした。四日と言わず毎日研究会をやりたい。ホテルの8階の、富士山の大きく見えるレストランで食べたビュッフェ形式の朝食は特に最高でした。アジの開きもありましたが、とてもおいしかったのでたぶん沼津産だと思います。 (なぎ)

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Stellar magnetic activity workshop 2024@京大(2024年2月29日,3月1日)

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D1の栗原です。京大で2/29,3/1に開催された表題のworkshopにてXRISMの紹介と自分の研究の話をしてほしいというお誘いを受け、参加してきました。 この研究会は歴史ある京大のスーパーフレアグループが定期的に開催しているようで、今回は周辺分野(恒星物理、系外惑星ほか)の人たちも招いての会でした。 天文学会みたいな真面目な発表は経験があったのですが、こういうフランクな研究会でざっくばらんに講演し、たくさん議論するというのは初めてで面白かった半面、 XRISMの宣伝という意味で自分の力不足を感じた会でもありました。研究関連の議論で感情が混ざってしまうというのは初めての経験で少し反省しつつ、 地上試験から関わっている身として仕方ないのかなぁと思う自分もいます。成果で語れるよう頑張らないとと思えました。 プロとして研究することについていろいろ考えさせられる機会でしたが、何はともあれ、当該分野のレジェンドである柴田一成先生をはじめ、 普段メールのやりとりで協力していた人たち、そして他波長観測の専門家の方たちと初めましてをして、間違いなく顔を売れたことは非常に良かったと思っています。 (みき)
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立教大学セミナーと博士論文の哲学(2024年2月28日)

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2/28 に立教大学で博士論文の内容のセミナーを行ってきました。立教大学は池袋にあるミッション系大学で、建物が西洋風作りになっており大変綺麗なキャンパスでした。そのような大学に行くこともあまりないので楽しい訪問でした。セミナーでは急な訪問だったのにもかかわらず暖かく受け入れてくださいました。研究室の紹介からセミナーの聴講、夕飯もご一緒させていただき、ありがとうございました。発表では、もう少し上手に説明することができれば良かったのですが、それにもかかわらず多くの質問や意見を頂いて大変良い刺激を受けました。

博士号はラテン語の Philosophiae Doctor を略して Ph. D. ともよばれます。英語では「Doctor of Philosophy」であり、直訳して「哲学博士」となります。良い機会ですのでここでは博士論文のやや哲学的な部分について紹介したいと思います。博士論文では、ブラックホール連星の解析ではメジャーではない統計モデリング、特に時系列モデリングの標準的なフレームワークである状態空間モデルを用いた解析手法の開発を行いました。興味がある方はこちらからアクセスできます。

この研究は、我々が観測しているX線光子の持つデータを統計モデリングの文脈で捉え直すこと、つまりデータをある確率分布からの実現値であると考えることから始まります。このような考え方はベイズ的なアプローチと言えます。このような考え方はデータを生成するモデルのパラメータは決定されているというものと捉える頻度論的なアプローチとは対照的です。頻度論的アプローチではモデルのパラメータがデータを説明するのかしないのかという尺度を検定によってモデルの正しさを測ります。一方で、ベイズ的なアプローチでは、推定されるパラメータの確率分布は理論や過去の知見などを事前情報として組み込んだときの信念として得られ、モデルの正しさというものは測れるものではないと考えます。頻度論的な統計とベイズ統計とは出発点が異なるので、出てくる結果は似たようなものになっているのに、それをどのように解釈するのかというところで大きな違いが生まれます。

天文学は伝統的に頻度論的な統計がメジャーで、ベイズ的にデータを捉えることはあまりありません。大事なことはどちらのアプローチが優れているということはなくて、直面している問題と導きたい結論を吟味して適切なアプローチをとることのように思います。そのためにはどちらのアプローチの肝となる部分の理解が必要です。パラメータの最適化手法が異なる以上に大事なことが根底にはあるのです。

データは我々が得られる唯一の証拠です。観測されるデータ数の増加に伴い、それを扱う道具である「統計」を適切に理解して扱う技術は、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。

(T.O.)
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埼玉大学セミナー(2024年2月28日)


修士2年の望月です。 今回は、修士論文の研究テーマである「XRISM衛星搭載極低温検出器の地上・軌道上データを用いたX線イベント処理最適化」について、埼玉大学でセミナーをしてきました。 実はこのように、他大学、他研究室の研究者がセミナーをしに行くというのは、よくあることです。 現地に行って発表することで、自らの研究内容を宣伝し、人脈をつくるという目的があります。 私は今回が初めてのセミナーで、緊張するとともに、光栄な気持ちでした。 埼玉大学の学部4年生から先生方に1時間半も研究内容について話すことができました。 質問も多く、とても良い議論ができました。

埼玉大学の方たちが暖かく歓迎してくださいました。 研究室を案内してくださったり、実験装置を見せてくださったり、過去の衛星の予備の装置であったり。 夜ご飯も一緒に食べることができて、本当に有意義な時間でした。 もてなして頂き、ありがとうございました。 今回のセミナーを通じて知り合いがたくさんできたので、学会などで再開するのが楽しみです。

(もち)
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NASA/GSFC訪問、MAXIアーカイブ開発 (2024/02/19-02/28)

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古巣のNASA/GSFCに一週間ほど出張してきました。 XRISM搭載のX線マイクロカロリメーターはGSFCで開発されたわけですが、 今回の出張目的はXRISMではなく、MAXIです。 XRISMは、様々な種類の天体について、ビックリするほど精密なX線分光観測データがどんどん出てきて、 データ処理・解析も順調に進んでいます。 今後10年、X線精密分光の分野で、間違いなく世界のトップランナーを走り続けられますね。 若手の皆さん、素晴らしい修士論文、博士論文が書けるでしょう。 ガンガン良い成果を出してください!

さて、2009年に打ち上げられたMAXIは理研を中心に開発された純国産プロジェクトで、全天X線監視装置として、 たくさんのX線突発天体を発見し、大きな成果を挙げてきました。 当初のMAXIの目的は、過去最高感度で全天をX線でモニターして突発現象を速報すること。 取得したX線光子データを世界に公開し、誰でも好きな天体や時間を選んで解析できるようなシステムを開発する、 そのアーカイブシステムを恒久的に運用する、というような計画はありませんでした (JAXAにはそんなサポート体制ないし;そこが我々の弱いとこなんだけど)。 しかし、MAXIのデータがあまりにもリッチなので、 世界中の高エネルギー天文衛星データを集約して恒久的にアーカイブするという高尚な目標を掲げた HEASARC のLorella Angelini氏(30年来の友人です)からオファーがあり、 MAXIアーカイブプロジェクトが始まりました。僕がMAXIチームとHEASARCのリエゾンになってます。

MAXIチームメンバーが書いた (わかりにくい) 解析ソフトウェアを、 長期的にメインテナンスできるよう再構成し、FTOOLSのパッケージに入れて公開する、という作業を、 LorellaとHEASARCのプログラマと共同でやっています。HEASARCは、 たくさんの優秀なプログラマをインハウスで抱えていて、うらやましいんだな。 今回、日本から持って行った解析ツールに想定外のバグがあり、僕は出張中ずっと、プログラマになりきって、Cコードの修正をしてました。 しかし、まだそのツールは完成せず、MAXI/JAXA側にたくさんの宿題が残りました。 HEASARCもたくさんのミッションを抱えて、リソースも限られているので、早くこれらの問題を解決しなかったらMAXIアーカイブプロジェクトはここで中止よ!、とLorellaに脅されてます (すごく仕事に厳しくて、怖いんだよな…)。

天文学では、新しい天体がみつかったら、100年前の写真乾板に遡って過去の活動の様子を調べる、なんてことが、 よくあります。100年後、もしMAXIアーカイブが有効に研究に活用されてるとしたら、すごく嬉しいなあ。 他のプロジェクトもいろいろやりながら、MAXIアーカイブ開発を続けるのは大変なんだけど、 100年後の天文学者のために、僕ももうちょっと頑張ろうかなあ。 (K.E.)

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Elab internship(2023年9月1日-2024年2月20日)

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For the past 6 months, I’ve had the privilege to do an internship at the Ebisawa laboratory as part of my MSc curriculum. During this time I’ve worked on two projects. The first one being X-ray black hole novae similarity research and the second one being the implementation of active anomaly detection for the next-generation quick-look system at ISAS/JAXA. Japan has been on my bucket list for as long as I can remember. I’ve always wanted to at least visit and get a taste of the culture and nature of this country. At the same time I was interested in working at JAXA for a while. The agency has a rich history in space. So I couldn’t be happier when Ken-san had admitted me to his laboratory. I got the chance to work for an amazing space agency while living in Japan.

When I first arrived in the office I was immediately welcomed by the members of the lab. They showed me around and helped to install software and register accounts. It was not long before we had the first lab party. We went to dinner and got the chance to get to know each other better. I especially liked how interested everyone was in hearing my story and what brought me to Japan. In the following months we often had lunch together in the campus cafeteria (I think I will never eat fried food again haha) and regularly went to dinner with each other after work. Between everyone’s busy schedule we managed to do a couple of trips together and go out for drinks in the weekend. It was amazing to have the chance to experience this together. Next to this I also visited many beautiful places in my free time. I particularly enjoyed hiking on mount Oyama in the summer and sitting in cozy restaurants while eating tasty food in Tokyo in the winter.

I’m proud that my work has contributed to the advancement of research. It was also a great opportunity to acquire new skills and obtain valuable working experience at one of the most successful space agencies in the world. But working together with people from the lab was what made the experience truly special.

Thank you all for the amazing times guys!
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2023年度連星系・変光星研究会(2024年2月16日-18日)

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写真1:宇宙研ツアーに際して撮影した集合写真。
写真2:食堂で行われた懇親会。
はじめまして!B4の厚地です。 今夏の院試に合格し、修士課程での海老沢研究室への配属が決定して以来、JAXAの技術習得生としてX線連星系の研究をちゃっかり始めていた僕ですが、この度、先生方のお薦めもあって、富永さん、大間々さん、栗原さんらと共に、今年度の連星系・変光星研究会にLOC(Local Organizing Comittee: 学会会場の準備や運営の仕事を行う現地委員)として参加させていただきました。
一日目の昼にお楽しみ企画として行われた宇宙研ツアーでは、SLIM月面着陸、H3ロケット2号機打ち上げ成功、そして言わずもがな、XRISMのPV観測無事開始と、嬉しいニュースが立て続けに入って晴れ晴れとした職員さんの引率をお手伝いしながら、宇宙科学探査交流棟を巡りました。隣を歩いていた辻本先生の、どの展示の説明文にも載っていない直伝のつぶさな解説の一つ一つに驚嘆しては、この宇宙研には、自分の開発した装置が宇宙を飛ぶという夢のような話が確かに存在しているのだな、という、何とも言えぬ嬉しい気持ちを噛みしめて歩きました。その夜には懇親会があり、会場設営の手伝いの後は、豪華な食事と飲み物を楽しみながら、初めて会う研究者の方々と言葉を交わし、新たな顔見知りが何人も増えました。あっという間に終わった楽しい食事会でしたが、いつか今日交わした二言三言が、未来の共同研究者となった人との思い出話の肴になるかもしれない、そんなことをちらりと思った一夜でした。
多くの他大学・他研究機関の方々との交流の場である研究会への参加は僕にとって初めての経験の連続でしたが、場馴れした先輩方の手助けがとても心強く、無事三日間のLOC業務を終えるとともに、研究会のなんとなくの雰囲気を掴むことができました。参加者の皆さんの講演・発表はどれも興味深く、連星系の物理の奥深く広大な世界を垣間見ることのできた、とても有意義な時間でした。(なぎ)

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学位論文お疲れ様会+Bramお別れ会(2024年2月14日)

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写真1:集合写真 写真2:Bramへプレゼントを渡している様子
世間はバレンタインデーで浮かれている中、本日は富永さん・大間々さん・望月さん・厚地君の学位論文祝賀会およびインターン生のBramさんのお別れ会を、淵野辺駅周辺にある喰処という店で行いました。 今回は、OBの御堂岡さんも駆けつけていたただき、とても楽しい会となりました。 Bramさんは、海老沢先生から箸と、学生からお酒をいただいており、とても喜んでいる様子でした。 また皆さんが書かれた学位論文は、こちらから読めるので、ご興味がある方はぜひお読みください。 お腹いっぱいたべても値段が安く、料理もとても美味しかったので、また機会があったら行きたいです。 (かし)
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Resolve face-to-face ミーティングと修論発表会(2024年1月25日、2月2日)

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写真1:Resolve face-to-face ミーティングの集合写真
写真2:修論発表中の僕。厚地くんが撮ってくれました。

お久しぶりです、修士2年の望月です。 今回は、修士論文の研究テーマである「XRISM衛星搭載極低温検出器の地上・軌道上データを用いたX線イベント処理最適化」について、2つの発表をしてきました。 このテーマは、一言でいうと、検出器に入ってしまう擬似信号を除去して、天体からの信号をクリアに見るための研究です。

Resolve face-to-face ミーティング
宇宙研で開かれたXRISM衛星の対面ミーティングに参加してきました。 今回はXRISM衛星に搭載されているResolve装置の運用計画やデータ処理について話し合われました。 NASA、ESA、SRONなどの海外宇宙機関の方も現地に集まり、規模の大きい会議でした。 衛星は打ち上がったら終了ではなく、このような会議が定期的にあり、衛星を支えています。
私は、修士論文の研究テーマのほとんどの内容を英語で発表しました。 1時間の発表で、質疑応答もありましたが、なんとか乗り越えました。 (修論発表前でかなりハードでしたが、、、)
研究室配属の時期によって、衛星プロジェクトのどの段階に携わることができるか変わってきます。 私は打ち上げ前から打ち上げ後の過渡期に関わることができたため、このような経験をすることができました。良かったです。

修論発表会
修士論文の発表会があり、発表をしてきました。 修士論文の内容を発表し、修士号を取得するための審査会になります。
会場は東京大学の小柴ホールというところで行われました。 天文学専攻の先生方が20人以上集まっているため、かなり圧を感じる雰囲気でした。 発表内容は、発表時間の関係上、修士論文の内容の1%くらいしか話していませんが、 上手いことまとまらず、スライド作りは大変でした。 スライド作りのスキル( = 論理的思考力)をさらに磨かないといけないなと感じました。 スライドを見ていただいた方々、発表を聞いてくださった方々、ありがとうございました。
発表後の審査を経て、無事に修士号を取得することができました。 その後、天文学専攻の同期や先生方と東大の中で打ち上げをしました。 久しぶりにあった同期たちと話すことができて、楽しかったです。
去年の12月からここまで、人生で一番忙しい時期でしたが、無事に終えることができて良かったです。 来年度から博士課程に行くので、これからもよろしくお願いします。

(もち)
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大間々くん、富永さん博士論文発表(2024年1月22日-24日)

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D3の大間々くんが 1/22 に宇宙研で、富永さんが 1/24 に東大本郷で、それぞれ博士論文の口頭試問に臨みました。最初の1時間は他の人にも open な公聴会、残りの1時間は審査員と発表者だけの closed 審査、そして最後に審査員だけで協議、というのが標準的なスタイルです。 博士号審査は非常に大きな壁です。その道の専門家5名程度に、独立した研究者としてやっていける実績と素質があるかを徹底的に審査されます。しかし、2人とも、1年前くらいから準備して大部の論文を提出し、審査会では堂々たる発表で、全審査員が文句なしの合格をいただきました。大間々くんはブラックホールの時系列解析で、富永さんはX線連星の3次元輻射輸送計算で、ブルーオーシャンを開拓する見事な研究成果を上げてくれました。僕は指導教官という立場でしたが、指導というのもおこがましく、2人がすごく見晴らしのよい高みまで連れて行ってくれたことをとても感謝しています。研究室ほぼ総出で公聴会の応援に行って、後輩たちのよい目標になったと思います。これからも high quality の博士論文研究が続くことを期待しています(つ)。
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海老沢研忘年会2023(2023年12月27日)

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海老沢研究室忘年会2023は淵野辺駅北口にあるワイン食堂Corでした!研究室学生・PD・先生方に加えて、 オランダからのインターン生であるBramさんとそのfiancéeさんを囲み、11人の参加でした。 実はこのお店、海老沢研究室忘年会2021でも全く同じ日12/27に使用していて(日誌はこちら)、その時も幹事をやっていたなぁと懐かしく思い出しました。 あれからもう2年が経ち、あのときはインターン生として来ていた柏﨑さんが、M1として参加しているとは,,, 当時、地上試験中だったXRISM衛星も今年打上げ成功し、粛々と運用が行われています。 研究におけるCOVID19の弊害からもだいぶ回復し、昨年の御堂岡さんに続いて、今年は富永さんや大間々さんや栗原の海外での研究滞在の機会もありました。 また、冒頭の辻本先生のお話によれば、今年の研究室の論文受理数は2009年と並ぶ歴代1位であり、また数々の研究表彰も受けました。 来年もがんばって成果をだして、お祝い会を開いてもらったり、学会出張に行ったりしたいなぁと思います。 もしかしたら、海老沢研に興味を持ってこの日誌を読んでくださっている学部生の方とは、一緒に忘年会しているかもしれませんね(笑)
それでは、みなさまも、良いお年をお過ごしください。(みき)
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食事会 (2023年11月15日)

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写真:集合写真
宇宙研の近くにある、和食さとに行ってきました。 今回は海老沢研究室のメンバーに加えて、 XRISMチームの竹井さん、藤本さん、そしてNASA、SRONといった海外の宇宙機関の方々と一緒に楽しく夜ご飯を食べました。 彼らと議論したり、研究できることは、宇宙研の良いところですね。 (もち)
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磁場シールドルームでの試験(2023年11月14日-15日)

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写真1:磁場シールドルームの中 写真2:磁場シールドルームの外観

11/14,15にかけて、宇宙科学研究所の施設である磁場シールドルームで実験を行いました。 本実験では、LiteBIRD衛星に搭載予定の、Joule-Thomson冷凍機を制御するドライバの部品が発生する磁場を測定しました。 磁場シールドルームはドーム型の施設になっており、側面に透磁率が高いミューメタルを使用することで、地球磁場を主とした外来磁場を遮断します。 中は薄暗く四畳半くらいのスペースでした。秘密基地みたいで楽しかったです。(かし)

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海老沢研究室メンバーの祝賀会および厚地さん、中村さんの合格祝い(2023年10月24日)

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写真1:集合写真 写真2:舟盛り

XRISMの打ち上げ成功、富永さんのロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞、 栗原さんの測定器開発優秀修士論文賞受賞栗原さんと柏崎さんのXRISM貢献者表彰、 柏崎さんの卓越合格、 富永さんと望月さんの論文受理、厚地さんの東大院試合格者、中村さんの総研大院試合格を祝いました。
これまでの日誌にもあるように、海老沢研究室では研究室のメンバーが執筆した論文が受理されたり、大きな賞を受賞されたりなど、 お祝い事があると祝賀会を開催することが慣例となっています。 今回の祝賀会はお祝い事が重なり、祝われる立場の方が6名もおられました。改めておめでとうございます!
皆さんの表彰された記事や論文のリンクを本文中につけたのでぜひご一読ください。 富永さんの論文はこちらから、 望月さんの論文はこちらを参照ください。 また、院試に合格なされた厚地さん、中村さんと研究室メンバーとの交流の場になったらよかったなと思う限りです。 (もり)

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LiteBIRD face-to-face meeting, Isola d'Elba, Italy (2023年9月27日-10月2日)

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昨年12月の岡山に引き続き、イタリアのエルバ島で開催された、「LiteBIRD Global Face2Face meeting」に 参加してきました。イタリアでは、離島のリゾートでこういう研究会が開催されるのはよくある話で、 僕は、今まで、ヴルカノ島シチリア島サルディーニャ島で開かれた研究会に参加したことがあります。 エルバは、シチリア、サルディーニャに続いてイタリアで三番目に大きい島だそうで、 これで僕はぜんぶ制覇したことになったぞ。
滞在型のリゾートで開催される研究会は、三食(昼寝)付き。昼食の後、海やプールでのんびりして、 午後の部は遅い時間から、ゆったりと始まります。今回は五つ星のホテルで、毎日たっぷりのおいしい食事とワインとデザートで、もうおなか一杯で苦しいくらい! 天文学者になると、世界中いろんなところに行けて、 高級リゾートにも滞在できて、こんなに楽しいこともあるよ!!
いやいや、仕事は厳しいですよ。LiteBIRDはちょうどJAXAの「ミッション定義審査」が始まったところ。 宇宙がどうやって誕生したか、人類にとって究極の謎に挑む非常に困難なミッションを実現するために、 世界中の科学者が協力して、これから打ち上げまでの約10年間、誠心誠意、努力を続けて衛星を開発していかなくてはいけません。
138億年前、原子くらいの大きさの宇宙が一瞬で1026倍、太陽系くらいの大きさまで膨張したというのが、 「インフレーションモデル」。そんなトンデモナイことがあるわけないだろ、と言いたいところだけど、これほど一様でフラットな宇宙を説明するモデルは、それしかありえない。 インフレーションが起きた決定的な証拠の発見を目指す、世界で唯一の衛星がLiteBIRD。思惑通り発見できたら、もちろんノーベル物理学賞は間違いない。
LiteBIRDは史上最高の精度で、全天からやってくる宇宙背景マイクロ波放射の偏光を観測し、 そこから得られる「テンソル・スカラー比」(なぜか r と表記される)という値を決定する。 インフレーションモデルはr~0.01を予言している。それを確実に検出するために、rの測定の不定性、δrを0.001未満に抑えたい。 δr<0.001というたった一つの目標を実現するために、世界中の科学者が、今後10年間、 血のにじむような努力を続けていく…。
いや、10年で衛星を打ち上げたら終わりじゃなくて、それが観測の始まりだ。打ち上げから3年間の観測を続けた後、取得した膨大なデータを解析するためには、 さらに3年間の集中的な解析期間が必要になる。世界中のデータセンターで観測データの約100万倍のシミュレーションデータを生成し、ありとあらゆる可能性をしらみつぶしに検討して、検出装置の性能を完全にモデル化する。δr<0.001というたった一つの目標を実現するために…。
その解析の枠組みである、国際的なScinece Ground Segment (SGS)をどう構築するか? そのやっかいな議論を取りまとめるのが僕の役割だ。2030年代、すでに僕はJAXAを引退しているはずだけど、 自分でもなんとかLiteBIRDのデータを解析してみて、宇宙が、「この世」が、どうやって誕生したのか、僕自身の手と頭をフルに使って、腹の底から納得したいものだねえ。それが実現するまでは、まだ安心して、「あの世」には行けないねえ。 (K.E.)
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Hinode-16/IRIS-13 meetingほか9月の学会(2023年9月17日-29日)

私栗原は、実は国内出張は筑波(XRISM試験)と新潟(昨秋天文学会)しか行ったことがなくて、 ほかのみんながいろんなところへ行ってお土産を買ってきてくれるたび、いいなぁとこぼしていたのでした。 そんな願いが天に届いたのでしょうか、9月はなんと学会が3つ,,, 嬉しいけど、XRISMの打上げやNICER論文執筆と重なって、今月の記憶はあまり残ってませんー笑笑

1つめは物理学会@仙台。こちらは測定器開発優秀修士論文賞の招待講演と授賞式でした! 日誌はこちらを参照。 初めての仙台(というか東北)でしたが、おいしい牛タンとずんだフードを食べ、旧友たちにも再会できて嬉しかったです。
2つめは天文学会@名古屋。こちらは 大間々さんの日誌を参照してください~。 かろうじてひつまぶしを食べました(おいしすぎです)が、とんぼ返りだったので初名古屋は次回に取っておこうと思います。
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3つめはHinode-16/IRIS-13 meeting@新潟。太陽観測衛星を囲んだ国際会議で、ポスター発表しました。 太陽コミュニティの学会に出るのは初めてでしたが、とても勉強になりました。 ネットワーキングという面でも、やっぱり国際学会は最高ですね。 もともと議論したかった人、発表がおもしろかった人、たまたま席が近かった人、などなどいろんな人たちと 話せて楽しかったです(来る前は、なんでまた新潟って思っていたことは内緒)。また来年あたり、 XRISMのデータで国際学会(口頭発表も)出せたらいいなと思いました。(みき)
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3枚目はBanquetで、3曲披露してくださった新潟古町芸妓さんたち。
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East-Asia AGN Workshop (2023年9月25日-27日)

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写真:集合写真

9月25-27日に鹿児島大学で開催されたEast-Asia AGN Workshopに参加してポスター発表をしてきました。 この研究会は東アジアの研究機関に所属している方が参加し、AGN(活動銀河核という銀河の明るい領域)について議論するものです。 AGNは、その大きさと、複雑な構造ゆえ、幅広い観測機器による観測結果と解釈が存在しています。 そのため、X線のみではなく他の波長の研究結果を知ることが大切です。 本研究会で、電波からX線まで、統一的に勉強ができたと思います。 また、東アジアの同年代の方の発表を聞いて、良い刺激になりました。
参加国の中には政治的な対立があったりもします。 しかし、そんなことは関係なく、研究会や夕食会では楽しくお話しや議論をして、 天文学を前に進めようとしています。 このような国際学会の雰囲気が僕は好きです。
(今年何回鹿児島いったんだろう...)

(もち)
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天文学会2023年秋季大会(2023年9月20日-22日)

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9月20−22日まで名古屋で行われた天文学会に参加してきました。発表は「状態空間モデルを用いたブラックホール連星のエネルギースペクトル成分の時間変動推定」という、開発したデータサイエンス的な手法について発表を行いました。今年は大きな問題もなく(天文学会はこれまで連敗記録更新中)、初めて及第点の発表が出来たのかなとホッとしてます。テイクホームメッセージの「データサイエンス的にやったらこんな事もできるよ」が伝わったかどうかは分かりませんが、発表が少しでもコミュニティの発展に貢献できたら幸いです。

今回は名古屋ということでグルメを堪能したかったのですが、発表が最終日だったことあり程々に楽しむ程度に抑えときました。それでも「矢場とん」と「味仙」は食べれたのでまぁまぁ満足です。矢場とんでは定番のわらじとんかつ定食、味仙は今池本店の台湾ラーメンを食べました。どちらも美味しかったのですが、名古屋めしってパンチなかなか効いてますよね。そのせいか分かりませんが、発表後に腹痛と吐き気が襲ってきました。やれやれだぜ。

今回の天文学会が恐らくラストイヤー。発表「まで」は問題なく終わることができたので良かったです。本発表以外の手法も開発しておりどこかで発表できたらという思いもありますが、予定してるイベントは全て終わったので、今後は博士論文を書き上げることに集中することになりそうです。(T. O.)


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第13回測定器開発優秀修士論文賞(2023年9月17日)

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D1栗原です。この度、第13回測定器開発優秀修士論文賞を受賞し、物理学会2023年年次大会(東北大学)で記念講演 および授賞式に参加してきました。 この賞は、測定器開発に関する優れた修士論文を表彰する賞で、宇宙分野以外にも、素粒子分野、原子核分野などの 関連分野を対象に、指導教員の推薦による応募の中から例年2編が選定されています。 自分は、 修士論文「XRISM衛星搭載極低温検出器における電磁干渉の影響評価と低減」を推薦していただきました。
招待講演の機会はもちろん初めてで、いつもよりも服装に気を遣い、スライドの冒頭をおしゃれに作ったつもりです。 半年前で忘れてしまっている部分もあったので、今回修論を見直したのですが、我ながらいっぱいやったなぁと感じました。 改めて、ご指導いただいた辻本先生・海老沢先生を初め、本修論に携わってくださった多くの方へ感謝申し上げます。(みき)
P.S. もし修論の内容に興味を持った(けど250ページも読むのはちょっと,,な)方は、こちらの あいさすGATEの記事を見てみてください!
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XRISM衛星運用始まる(2023年9月7日)

写真 最初の予定日からベストな天候を待つこと2週間、9月7日に HIIA ロケット47号機でXRISM衛星が無事打ち上がりました(打ち上げライブ中継)。我々の Resolve 装置は、検出器の冷却に用いる超流動ヘリウムの消費を抑えるため、打ち上げ直前まで及び打ち上げ直後から冷凍機を駆動させるという、極めて時間制限の厳しい運用をします。NASA と JAXA のチームを種子島組(打ち上げ前の運用担当)と相模原組(同後;写真)の二手に分け、入念な準備で望みました。僕は種子島組で作業をした後、相模原組に合流。しかし、想定以上の長い打上げ延期で種子島組の疲労が蓄積し、急遽、相模原組がリモートで24時間の種子島組支援にまわりました。そして、打ち上げとともにバトンタッチ。衛星の通信確立・太陽捕捉と太陽電池パネル展開、観測装置のヘリウム排気弁開・冷却系及び信号処理系の立ち上げなど、クリティカル運用が約50時間続き、その間ほとんど不眠不休でしたが、全てが予定通り進んでまずは一安心です。10月からはいよいよ我々の Resolve 装置の立ち上げを2ヶ月かけて行います。当研究室のメンバーは、地上試験で数々の重要な貢献をしてきましたが、軌道上運用やデータ処理でも中心的な役割を果たしつつあります(つ)。
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XRISM衛星打ち上げ@種子島 (2023年9月6日-7日)

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写真1:ロケットの機体移動
写真2:ロケット打ち上げ
写真3:現地組で記念撮影

ついについにX線天文衛星「XRISM」(クリズム)がH2Aロケット47号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げ成功です!!!
XRISMはX線を検出する2つの装置が搭載されています。 Resolve(レゾルブ)とXtend(エクステンド)です。 Resolveに搭載されているX線マイクロカロリメーター検出器は40年前から開発された、X線を分光して観測することができる史上最高の検出器です。 今まで3度打ち上げが試みられましたが、打ち上げ失敗や、衛星の運用中に問題が生じたことで、X線マイクロカロリメーター検出器による天体の観測を十分には行えませんでした。 今回打ち上げられたXRISM衛星は4度目の挑戦にして、ついに、今度こそX線分光観測が始まります!
私は、修士1年のときからつくば宇宙センターにて行われたXRISM衛星の地上試験に参加してきました(過去の日誌参照)。 当研究室の大学院生、ご卒業された方も携わってきました。 他の研究室、他大学の学生も携わってきました。 私は他の開発者の方々に比べたら短い時間しか携わっていないですが、とても思い入れがあります。 きっとみんな同じような思いで打ち上げを見ていたことでしょう。
種子島は、島全体が打ち上げ成功を祈ってくれているような場所でした。 とくに宇宙センターのある南種子町は打ち上げ成功祈願の旗や、看板がたてられています。 関係者であることを話すと打ち上げの激励を頂くこともありました。
実は、2回目の種子島旅行で、先週も打ち上げを見ようと行ってきました。 自分が携わっている打ち上げを現地で見れたことを本当に幸せに思います。 今は無事に打ち上がり、ほっとしています。
これから初期運用が始まっていきます。 私は、Resolveによる観測データを解析し、 天体からのX線をできるだけ多くの時間観測できるように研究を行います。 これからX線天文学の新時代が始まります。

当研究室からは小川さん、栗原さん、望月が現地参加。
(もち)


2023/09/07 08:42:11 (JST) XRISM打上がりました!!!
私はXRISMの地上試験参加を通して研究を行い、修士号を取得しました。自らが携わった衛星の打上げを見る、 というのはこの先もう二度とない経験かもしれません。今は、無理をしてでも行ってよかったなという気持ちです。
打上げ前、カウントダウンを聞いているときの緊張感をよく覚えています。そして、周囲から大きな歓声が上がると同時に、 XRISMを載せたH2A 47号機がリフトオフしていきました。のびていくロケット雲や遅れてやってくる 打上げ時の衝撃・音といった臨場感に感動するとともに、心の大きな部分を心配が占めてしまった (“打上げ”を純粋に楽しめない?)のは職業(宇宙研院生)病なのかもしれません。打上げ後約15分経って、 XRISM分離・軌道投入成功の報に少し安心したときには、周りの見学の人たちはほぼいなくなっていたことが印象的でした(笑)。
今回の種子島行きでもう一つ嬉しかったのは、地上試験で直接お世話になったSHIやNECの社員さんたちと再会し、 修論完成のお礼を言えたことでした。プロジェクトに関わる中で、自分以上にXRISMに対して人生を費やす人たちの 顔を何人も思い浮かべられるようになりました。その瞬間を運用等で見ることが叶わない人たちもいる中、文字通り 「多くの人」の想いを載せた打上げであることを感じることができたからこそ、自分にとって特別な経験になったのだと 思います。(みき)
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写真4:デスクに置いていた自作XRISM折り紙。製作時間90分のわりに微妙な完成度なのは悪しからず。

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御堂岡さん論文受理の祝賀会およびBramさん、島谷さん、河合さんの歓迎会(2023年9月6日)

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写真1:集合写真

海老沢研究室OBである御堂岡さんの論文受理をお祝いする祝賀会および技術研修生のBramさん、インターン生の島谷さんと河合さんの歓迎会を行いました。
御堂岡さんが執筆された論文はこちらから読むことができるので、ぜひご一読ください。 またBramさんはオランダ出身の方で、来年の2月まで海老沢研究室に在籍されるので今後の日誌にも登場するかもしれません。 次に島谷さんは東京理科大学、河合さんは京都大学の方でインターン中はMAXIのデータ解析システム整備をされているそうです。 お2人とも以前の日誌にも掲載した夏の学校に参加されていたようで、宇宙科学研究所で出会う前に会っていたかもしれないなと世間の狭さを再認識しました。
今回はXRISM打ち上げの前日に開催となったこともあり参加人数が減ってしまいましたが、幹事としてはお三方にとっていい顔合わせの場になれば幸いです。 (もり)

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ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞受賞(2023年8月29日)

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(提供:日本ロレアル株式会社)

D3富永です。この度、2023年度第18回ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞を受賞し、国連大学にて執り行われた授賞式に参加してきました。私がこれまで行ってきた研究をまとめて「宇宙の始まりから元素の拡散過程を経て物質の最終段階に至るまでの観測手法の開発と解析的研究」と題して応募したところ、日本の複数の天文衛星開発への貢献を評価していただき、受賞に至りました!
このような式典に参加するのははじめてで、非常に緊張しましたが、他の3人の受賞者の方と控室で話すうちに落ち着き、研究発表をするときは(ほぼ)いつも通りの心持ちで話すことができました。
私は学部生の頃は既存の地上望遠鏡による観測と天体解析を行っていましたが、「このデータがどのようにして出来上がったものか全くわからない」ことをきっかけに、装置開発から研究に携われる海老沢研究室を選びました。実際にその気持ちに沿った研究をこれまで続けることができ、受賞に至ったことを非常に嬉しく思います。多忙な中で研究のミーティングや結果の議論、論文執筆のご指導をいただいた海老沢教授、辻本准教授、共同研究者の皆様に改めて御礼申し上げます。
授賞式の第二部では女性科学者の活躍についてのパネルディスカッションが開催されました。最近は宇宙科学研究所でも、科学推進部主催で「女子学生・女性職員交流会」が一年に2度開催されており、キャリアパス、ワークアンドライフバランスについて意見を交わすことが増えていると感じます。未だ男性の多い業界ではありますが、女性だから無理、と諦めるのは絶対に勿体無いです。大学院や博士課程進学に悩んでいる方がもしいれば、あまり心配しすぎることなく、一旦飛び込んでみてください!(とみ)
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種子島出張(2023年8月15日-21日)

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いよいよ XRISM 衛星の打ち上げまで2週間を切りました。衛星はすでにフェアリングに格納され、ロケットの上にのった状態で建屋(2枚目の写真)にはいっています。我々の Resolve 装置は冷却状態で打ち上げるため、その冷却作業と検出器の最終性能確認、そして超流動ヘリウム充填までの作業をしに種子島に入りました。直撃予報の台風7号を避けるため1日早く鹿児島に到達、ついでに鹿児島大で研究打ち合わせをしたあと、ジェットフォイルで種子島へ入り、夜勤を含めて5日間の滞在で、すぐに相模原に戻るという強行軍です。空き時間(本当は夜勤に備えて寝ないといけない)に、JAXAのバスツアーに参加して、HII7号機のエンジンなどを見ました(3枚目)。
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前回の8月の来島では気づきませんでしたが、ハイビスカスの花が鮮やかです(4枚め)。5枚めは千座の岩屋。最終日に西之表港でたまたま「種子島鉄砲祭り」に遭遇。パレード、演芸大会、花火大会などを見てきました。7枚目は、マングローブの森とカヤックする人。他にも種子島は見どころ、食べどころがたくさんで、非常に忙しいながら充実した滞在でした。次は軌道上運用です。打ち上げ直後からの24時間体制に備えます。(つ)
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再びXRISM 貢献者表彰されました(2023年8月8日)

写真 前回に引き続き、XRISM プロジェクト貢献者表彰(2023年3月までのシステム試験期間での貢献が対象)に、Resolve 装置への貢献で当研究室の大学院生がたくさん表彰されました。おめでとうございます。全員、XRISM オリジナルジャケットを着用して記念撮影です(僕のは柏崎さんにとられた)。学生個人表彰部門では、検出器と衛星バス系の電磁干渉で栗原くんが、機械学習を用いた Resolve 検出器データの異常検知アルゴリズムの開発で柏崎さんが受賞しました。今回も、学生個人表彰は、合計3人のうち2人がうちの研究室です。また、富永さん、大間々くん、望月くん、及び卒業生の御堂岡くんも、システム試験に現地貢献して、団体表彰されました(つ)。
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2023年度 第53回天文・天体物理若手夏の学校 (2023年8月1日-4日)

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写真1:安田講堂前で撮影した全体写真

東京大学本郷キャンパスで開催された夏の学校に参加してきました。夏の学校とは研究発表はもちろん、同年代の若手研究者同士が交流し様々な分野の考えに触れることを目的とした研究会です。
目的に沿って柏崎さんは口頭発表、森口はポスター発表をしてきました。ポスター発表は口頭発表と比べて発表者と聴講者の距離が近いからか、いたるところで活発に討論がなされていました。私のポスターに興味を持ってくださった方々からも新しい気づきをもらえて非常にいい体験になったと思います。
また、他大学の学生と会場で討論したり、夕食を共にするなど交流を深めてきました。次の学会での楽しみが増えました。(もり)

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米国Lawrence Livermore National Laboratory滞在(2023年7月1日-31日)

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7/1-7/31まで栗原が米国Lawrence Livermore National Laboratory(LLNL)へ出張してきました。 今回の滞在の目的を一言で言うならば、「地上プラズマ実験データの解析手法を学びに行くこと」です。 Laboratory Astrophysics(実験室宇宙物理学)の一角として、宇宙のプラズマ(に近いもの)を地上で作り出してしまおう!という分野があります。 うちの研究室が大きく貢献しているXRISM衛星も様々な種類の高温プラズマ現象を見る予定ですが、観測データを正しく解釈するうえでは、地上実験との比較が必要不可欠です。 訪問先のLLNLは特に、XRISMに搭載される装置と同じ原理でプラズマ観測が可能である点が特別で、 XRISMの地上試験でお世話になったMeganさんにつないでいただき、訪問実現に至りました。 (人のつながりの重要性を改めて感じる今日この頃,,,)

この日誌では、研究編、生活編、観光編に分けて書いていこうと思います!

<研究編>
LLNLはJAXAのようにお国がかかえる機関ということで、セキュリティが厳しいです。 入口には銃を抱えたガードの方がいて、バッジを見せることで中へ入れます。 個人用カメラでは構内撮影許可がなく、日誌用の写真がないのが残念,,, 19時以降はエスコートが必要となってしまうので、おのずと朝方の研究リズムを作ることができました。

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左:実験装置の前で
右:コントローラの前で操作しているふり

キックオフミーティングで決まったタスク量が多く、また英語で新しい分野を学んでいかなければならない難しさもあり、 なかなか大変でした。が、向こうの研究者であるNatalieさんやAlexさんなどに丁寧に面倒を見ていただき、 辻本先生にもミーティングでアドバイスをいただけたおかげで、(いくつか残作業はあるものの)おおむね目標達成できたと思います。
英語でのコミュニケーションという点でいうと、サイエンスの議論というよりはビジネスよりの?議論を進めるときに、 大変だなと感じました。相手の都合を理解したうえで、こちらの希望を角が立たないように要望していくことができるようになりたいなぁと思うことが多かった気がします。
もし実験用の資金が獲得できたら、来年以降、自分で測定を行うためにLLNLへ戻ってきたいですね。

<生活編>
California州のLivermoreという町で、一軒家の1室をお借りして生活しました。 町は都会すぎず、かといって田舎すぎず、とても気に入りました。 晴れの日が多くて、40℃を超える日もありましたが、日本みたいにむしむししないのでよいです。

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左:Livermore downtown入口
右:通勤路、LLNL近く

研究所までは5 kmほどだったのですが、Natalieさんにクロスバイクを貸していただいて、バイク通勤をしていました。 アメリカのドライブが気持ちいいと聞いたことがあったのですが、自転車も最高です!
食の点では、あまりお金がなかったので、贅沢はできませんでしたが、時々いろいろな国のレストランにいくことが楽しみでした! アメリカ、中華、イタリアン、メキシカン、ギリシャ料理、エチオピア料理などなど,,, 住居を貸してくださった方へのお礼にお寿司屋さん(なんとくら寿司があった!)にもいきました。

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左:研究グループの方々といったエチオピア料理屋さん
右:一部屋貸していただいたお礼に行ったくら寿司

<観光編>
せっかく夏のCaliforniaにいるということで、観光にも行きました!
百聞は一見に如かずということで、写真たくさんでお送りします。

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左上:San Francisco(SF) の Golden Gate Bridge
右上:SF の Fisherman's Wharf. クラムチャウダーおいしかった。
左下:Livermoreはワインが有名ということでワイナリーへ
真ん中下:学部時代の先輩のいるUC Berkleyも訪問
右下:サイクリングしていてたまたま見つけた湖

この日誌は、日本へ帰る飛行機の中で書いています。 総じて、この1か月はとても充実していて、あっというまに感じられました。自分の場合、違う環境で研究することは、気持ちがリフレッシュしてモチベーションがあがることも気づけました。もっといたいなという気持ちですが、そのくらいで帰るのがちょうどいいのかもしれませんね。
日本に帰ったら、間もなくXRISM打ち上げ、そして秋の学会シーズン突入(今後の日誌をお楽しみに)。そしてその前に終わらせたい解析も多数,,, 時差ぼけとれたら、エンジン全開で頑張りたいと思います!
長文でしたが最後までお読みくださりありがとうございました! (みき)

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HIMAC試験(2023年7月14日-15日)

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M1の柏﨑が千葉の国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構にある、重粒子加速器HIMAC(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)で放射線実験を行ってきました。 LiteBIRDはL2で観測を行うため、太陽起源の放射線・宇宙線による影響を受けます。 そのため望遠鏡・衛星に使われている部材に陽子線をあて、放射線被ばくによりどのように劣化・特性変化するのかを評価するための実験を行いました。 実験は夜21時から翌朝の8時まで行うという、夜通しの実験でとても疲れました。 私は放射線を当てる部材を動かすためのスクリプト作製を担当しましたが、当日はちゃんと動くかハラハラしながら実験をしました。 翌朝食べたカップ焼きそばが美味しかったです。(かし)
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2023 LB software/simulation hands-on (2023年6月26日-7月7日)

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写真1:IPMUで撮影した集合写真
写真2:KEKで撮影した集合写真
写真3:会場の様子



修士1年の森口です。IPMUおよびKEKで開催されたLiteBIRDのhands-onに参加してきました。写真はそれぞれの場所で撮影した集合写真です。IPMUでは宇宙研から現地で参加している学生が私一人で非常に心細い思いをしていましたが、結果的には所属が異なる方々と交流できる良い機会になりました。

この期間中にLiteBIRD衛星のシミュレーションで使用されている複数の解析ツールの説明と、実際に解析ツールをインストールしてチュートリアルを行いました。その他にも、hands-onで必要になるであろう基礎知識の説明もありました。私のようなLiteBIRDに関する基礎的な知識が足りないものでも、今後の理解がしやすいような配慮があり非常に助かりました、、

hands-onに参加して、改めて驚いたのが外国の研究者の方の多さです。スライドや発表はもちろん英語で、日本語を聞くのはホテルの受付や公共機関のみといった生活でした。 また、そのような環境で研究内容を紹介する時間を与えていただきました。hands-onに参加されている研究者の方々に私の研究を宣伝できるいい機会でしたが、ほとんどスライドを読むだけ、質疑応答も司会者の方に助けていただくプレゼンとなってしまいました。英語の能力だけではなく、学ばなければならないことがまだまだあるなと思い知る2週間となりました。(もり)

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ベルギー ゲント大学滞在(2023年6月26日-7月1日)


D3富永がベルギーのゲント大学に滞在してきました。私にとってははじめての1人での海外でした。 博士論文に向けて、輻射輸送計算のシミュレーションコードを色々といじっている最中、同期の松本くん(中川研究室)が留学中(と言っても現在帰国中らしいですが)のゲント大学より、SKIRTというコードで新しくX線の物理過程が追加された、という論文が発表されました。SKIRTは現在我々が使っている別のシミュレーションコードに比べ、複雑な構造物を配置することができるという点で強く、それらを通して観測されるスペクトルのシミュレーションを行うことが可能です。著者のBert Vander Meulen氏に連絡をとり、コードの活用方法について学びたい旨をを申し入れ、1週間の滞在が決定しました。 出張というと基本的には学会が多いイメージですが、このように単身乗り込んで議論をしたり共同研究を進めたりするのも有意義で楽しいです。
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BertにもらったSKIRTのポスター


ドバイ経由で合計20時間以上のフライトを経て、ブリュッセル国際空港へ。滞在初日には現在やっている研究内容についてセミナー発表する予定になっており、機内ではそのスライドを作成したり脳内で発表練習したりしていました。この1時間のセミナー発表がある意味一番緊張していたポイントでした。
ブリュッセル国際空港での珍事件としては、入国審査が長蛇の列にもかかわらず審査スタッフが2人しかおらず、結局2時間弱待ちました。途中で災害対策用の水やクッキーが配られ(ありがたや)、スタッフが3人に増えた時には海外らしく歓声と拍手が飛び交っていました(笑)私はこの間に、準備中の投稿論文で辻本さんからコメントを受けていた部分を修正し、共著者に回覧メールを出すことに成功しました。これで一旦ベルギーを満喫できる。。。
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(写真左) いよいよ出発。今回はエミレーツ航空で行ってきます。飛行機搭載のカメラで地上が見えるので、着陸寸前のドバイ空港もおもちゃのように見えます。
(写真右) ブリュッセル国際空港からは列車で40分ほどでゲントに到着です。まずはスーパーで日々の食事を調達。外国のスーパーってなんかいいですよね。


ゲント大学には複数キャンパスがありますが、今回はSterreキャンパスの方にお邪魔しました。目の前にある交差点の名前に由来しています。SKIRTチームのみなさんに挨拶して、少し雑談。DanielaとBertは、Sterreはスター(星)っぽくて、我々天文学者にぴったりなキャンパスだよね、とお気に入りの様子でした。
Bertとはベルギーに来る前にzoomで一度話しており、滞在のスケジュールについて相談済みだったため、スムーズに研究を始めることができました! コードに必要な物理情報を毎日一つずつ追加し、解釈する方法や、より有効的な活用方法について、しっかり時間をかけて議論できました。日本にいる辻本さんとは毎朝(日本では夕方)進捗報告のzoomをして、おおむねスケジュール通りに進めることができたと思います。 SKIRTチームの定例会議に参加したり、メンバーの結婚祝いでみんなでシャンパンを飲んだり、盛りだくさんの日々でした。 帰国後も研究の最終結果について議論するため、Bertとはzoomで会議することになると思います。1週間という短い期間でしたが、やりたいことや困っていることを開発者に直接相談し、自分の研究について宣伝できたので私にとっては得たものばかりでしたし、信頼関係を十分築けたと思います。


ランチはキャンパス内の食堂にグループみんなで行きました。味はとっても美味しいのですが、芋がボリューミー。マッシュポテト、フライドポテト、蒸した芋など、基本的に炭水化物は芋です。オランダ語圏の食事のようで、実際に事務や食堂のスタッフさんはオランダ語を話していました。ランチ中の会話は多岐にわたっており、博士課程学生らしく、来年からのキャリアのこと、フランスで起こっている暴動のこと、今週引っ越し作業をしている人の荷造り進捗状況の話、などなど。日本の歴史や文化の話もしました。 ゲント大学のミーティングルームには地名の名前がついており、我々はニューヨークルームで会議をしていました。残念ながら日本の地名がついた部屋はないとのこと。
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(写真左) ゲント大学にて。SKIRTの第一人者であるMaarten教授と、Bertと一緒に記念撮影。のどかなキャンパスです。
(写真右) セミナー発表した公演会場と、食堂でのランチシリーズ。


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(写真左) ゲント観光。レイエ川沿いで飲んだベルギービールとベルギーワッフルは最高でした!
(写真右) ブリュッセル観光。一生分のムール貝を食べてきました。


帰りのフライトは土曜日の夜だったので、ゲントとブリュッセルの中心部をしっかり観光し、名物を食し、帰ってきました。 この滞在に向けて準備をしたり他のタスクを消化したり、慌ただしい6月でしたが、SKIRTも使えるようになり研究も進み、無事帰国できて一安心です。 暖かく受け入れてくれたSKIRTチームのみなさん、ありがとうございました!

さて、帰国の翌々日からはKEKで開催されるLiteBIRD simulation hands-on meetingに参加してきます。東向き移動の時差ぼけは厳しいですが、X線からLiteBIRDに頭を切り替え、しっかり学んできたいと思います。こちらの詳細は次回の日誌にて。(とみ)
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Statistical Challenges in Modern Astronomy VIII(2023年6月12日-16日)

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6月12日から16日までアメリカ・ペンシルバニア州立大学で開催された「[Statiscal Challenges in Modern Astronomy VIII(SCMA8)」に参加してきました。この研究会は統計やデータサイエンス、機械学習を用いた天文解析に関するものでした。私はこれまでそのようなアプローチでブラックホール連星の研究を行って来たのでまさにドンピシャの学会でした。そのようなニッチな学会に参加してきたことに加えて、ここ数年はコロナ禍だったこともあり初めての海外学会だったので貴重な経験ができました。

この学会は2年に一度のぐらいの頻度で行われているようで、名前からわかるように今回で8回目と意外と歴史のある研究会みたいです。統計的手法を用いた天文研究全般が対象で、実際に発表では太陽から銀河まで普通は交わることが少ない分野の研究者が、統計的解析という共通点のもと5日間に渡って発表を行いました。参加者は天文畑が9割、1割が統計畑出身の割合だったと思います。

この分野に関する世界的な情報は知らなかったのですが、いま統計天文学者ではベイズ統計が流行みたいです。体感としては発表の8割はベイズ統計に関する発表だったように思います。複雑なモデルをグラフィカルモデルで表現することで統一的な枠組みでパラメータを推定できる点や、そのパラメータが確率分布として得られるのでその信頼性についても同時に議論できる点が物理と相性が良いのかなと思いました。一方、サイエンス解明への直接的なアプローチとして使用されているよりかは、「検出」や「探査」、「分類」(detect, search, classification)といった単語が散見されるように、間接的なサイエンス貢献に統計学的手法を用いることが多いように感じました。ここに統計天文学がいまいち発展しきれない難しさが現れているのではないかと思います。

私はブラックホール連星の時系列モデリングに関するポスター発表を行いました。この研究はざっくりいうと、複数の物理成分の重ね合わせとして観測されるブラックホール連星の光度曲線を、多変量時系列モデリングの枠組みで物理成分ごとの変動に分解するという研究です。時系列解析を専門にやっている人が少なかったこともあり、深い議論はできませんでしたが、すこしでも興味を持ってくれた人にはなんとなくの雰囲気は伝わってくれたのではないかと思います。

世の中然り天文学もビックデータの時代です。これからの時代、天文学において統計やデータサイエンスのスキルはますます重要になってくることは間違いないと思います。興味がある方はぜひこの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。(T. O.)


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山田研究会「宇宙における降着現象∼活動性・多様性の源∼」 (2023年6月2日-6月5日)

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写真1:今回の会場の京都大学の時計台
写真2:小川さん(海老沢研究室PD)と三浦くん(山口研究室M1)と食べた焼肉

修士2年の望月です、今回は山田研究会「宇宙における降着現象∼活動性・多様性の源∼」 に参加して、ポスター発表をしてきました。
今回の研究会は、嶺重先生の退官記念で開かれた研究会です。私は、嶺重先生と面識はありませんでしたが、嶺重先生が書かれたブラックホールに関する著書(ブラックホール天文学)で勉強していました。この研究会で、ブラックホールの降着現象(ものがブラックホールに吸い込まれる過程の現象)について理解を深めるとともに、嶺重先生に感謝を伝えられたと思います。

研究会初日は雨で午前中の新幹線が東京-名古屋区間で全線運休になってしまいました。前泊していて良かったーと思いました。
(もち)
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ヤエル=ナゼさん来訪(2023年4月19日-20日)

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長年の研究仲間である(けど、いままで会ったことがなかった)ヤエル=ナゼさんが、ベルギーのリエージュ大学から宇宙研に来てくれました。ご著書の「女性と天文学」が邦訳され、さらに数冊の邦訳出版があるということで、そのプロモーションを兼ねた公演のため日本各地を回る傍ら、研究のミーティングもこなすというタイトな1週間の滞日中、2日にわたって宇宙研を訪問頂きました。最新の結果を散りばめたセミナーをしてもらい、宇宙研の活動をフランス語雑誌メディアに紹介してもらうための取材やインタビュー、当研究室の学生さんの研究のアドバイス(外国からお客さんが来たら、学生さんに自分の研究を英語で説明してアドバイスをもらうようにしています)、XRISM 衛星での観測計画など、非常に生産的な滞在でした。次回はぜひこちらからリエージュ大学にお邪魔したいです。前日には、おつきでベルギー王国駐日大使公邸での夕食会に招待され、豪華な食事をいただきました。1枚め目の写真、右側がドゥ=ビルデルリング大使、真ん中がナゼさん、後ろがリエージュ大日本研究センター所長のテーレ教授、左側が私。XRISM のバッジを進呈したところ。2枚めはセミナー後のランチの写真。ベルギー大使館からギスレンさんも聴講に来られました(つ)。
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柏崎・森口さん入学、丹波・金丸・小川さん受け入れ (2023年4月1日)

横浜国立大学から柏崎さんが東大修士課程学生として進学しました。関西学院大学から連携大学院生として森口くんが進学しました。学術振興会特別研究員として、東京大学から丹波くんを受け入れました。JAXAプロジェクト研究員として、宮崎大学から金丸くん、京都大学から小川くんを受け入れました。(K.E.)


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