JAXA 宇宙科学研究所 海老沢研究室へようこそ
2024年度, 2023年度, 2022年度, 2021年度, 2020年度, 2019年度, 2018年度, 2017年度, 2016年度, 2015年度, 2014年度, 2013年度, 2012年度, 2011年度, 2010年度, 2009年度, 2008年度, 2007年度, 2006年度, 2005年度

2021年度

宇宙科学研究所 特別公開(2022年3月25-26日)

写真

3月25, 26日に宇宙科学研究所の特別公開が昨年と同様にオンラインで行われました。本イベントは宇宙研内の若手研究者と学生数名の有志で運営されており、当研究室内では御堂岡・富永が運営に関わりました。特に富永さんは昼休み番組の企画やMCと大活躍でした!JAXA相模原キャンパスのYouTubeにて全プログラムがアーカイブ配信されているので、興味ある番組をぜひご覧ください。

実は宇宙研のA棟6階はX線天文のみならず赤外線、電波(CMB関連)、重力波の研究室が存在し、この階だけでマルチメッセンジャー天文学の研究が可能な贅沢な布陣になってます。これらの研究室の学生有志で作成した中高大学生向けの番組「天文学者の卵 〜JAXAで宇宙を学ぶ大学院生の実態を解き明かせ〜」は特に宇宙研への進学を考えている学生必見の内容です。M2栗原くんの主役っぷりにもご注目。

他にもいくつかおすすめの番組をピックアップしておきます。(御)

宇宙研での学生生活について

海老沢研に関連するプロジェクト

  • XRISM: 2023年打ち上げ予定のX線天文衛星
  • Athena: 2030年代打ち上げ予定のX線天文衛星
  • LiteBIRD: 2020年代後半打ち上げ予定のCMB観測衛星


上に戻る

岡山大学訪問(2022年3月4日-11日)

写真 写真 写真 写真
(写真上段左)岡山大学石野研究室の皆さんと記念撮影。左から、M1土居くん、M1風早くん、石野教授、B4植松くん、M2長野くん、B4塚常さん、Stever助教、富永、M2髙瀬くん
(写真上段右)岡山大学構内。広い!日本の大学でもトップクラスの敷地面積だそう
(写真下段左)滞在中私の移動を支えてくれたレンタサイクル「ももちゃり」
(写真下段右)滞在中に食べた美味しいご飯たち!宇宙研周辺より充実していたかも…

D1富永が、岡山大学石野研究室に訪問してきました!1週間の滞在でした。 あれ?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、3月3日午前中にHIMACから帰還し、洗濯を済ませ、4日に岡山へ乗り込みました(笑)

前回のHIMACの日誌でも登場した石野研究室の皆さんは、LiteBIRDプロジェクトでも日本の一大派閥になっており、光学系の実験や、ビーム、スキャンのシミュレーションなど、大学院生の皆さんの研究結果がどんどんプロジェクトに取り込まれています。 HIMACでビームを照射したLEDとフォトダイオードの実験手順書は、B4植松くんが作ってくれたそうです!

石野教授とStever助教とはLiteBIRD衛星における宇宙線影響評価について、修士論文投稿論文、国際学会での発表等、M2の頃から共同研究でお世話になってきました。 衛星に入射した宇宙放射線が検出器面にエネルギーを落とすことで熱が拡散し、検出器が誤反応してしまう影響をシミュレーションで見積もる、というのがこれまでの研究内容ですが、今はこのシミュレーションの入力をより詳細にすることを目標にしています。 太陽フレア起源の宇宙放射線(このような大元の放射線を一次粒子と呼ぶ)や、一次粒子が衛星構体にあたることで生成される二次粒子の影響を考慮する必要があるからです。 シミュレーションには、CERNが開発したGeant4というソフトウェアツールキットを使っています。 これは、モンテカルロ法を用いて「物質中における粒子の飛跡をシミュレーション」するためのプラットフォームです。 一連の研究にはさまざまな過程があるので、宇宙研と岡山大学でうまく分業し、一つの研究を進めています。 私はこの冬、宇宙放射線をモデル化してGeant4のコードを作成してきましたが、詳細な衛星構体の代わりに円柱のような単純な構造を仮定してシミュレーションを行っていました。 一方で、B4塚常さんは現在執筆中の卒業論文で、実際のLiteBIRD衛星構体を取り込み、陽子の飛跡をGeant4でシミュレーションすることを目標としていました。 我々2人の作業を合体させることができれば、LiteBIRD衛星で初めて、現実的な宇宙放射線を仮定して、実際の衛星における粒子の飛跡をシミュレーションできる、というわけです。 今回の岡山滞在では、見事この合体作業に成功しました! ただ、まだ十分にモデル化できていない部分や、より詳細化するべき部分が多数あるので、私は宇宙研に帰ってから研究を詰めていきます。 塚常さんは今年度で石野研究室を卒業してしまうのですが、石野教授とStever助教との共同研究はこれからも続きます。次はStever助教のシミュレーションと私の結果を比較するため、6月頃に再度岡山大学を訪問する予定です。

滞在中、石野研究室の皆さんは来週開催される物理学会参加に向け、スライド作成や発表練習に取り組んでいました。研究室ミーティングにも参加させてもらいました。 これまでZoom越しで何度かお話しした方々もいらっしゃいますが、やはり対面だとやりとりがスムーズですし、仲が深まる気がしますね。 特に、Stever助教との毎日英会話生活は、英語の勉強のモチベーションアップにもなりました(日常会話でのちょっとした表現がユーモアに溢れていて最高でした)。 M2の高瀬くん、長野くんは、LiteBIRDプロジェクのZoom会議で何度か一緒になりましたが、ゆっくり話したのは今回が初めてでした。 実際、今回の共同研究もオンラインでできないことはなかったのですが、詰まった時にすぐに対面で相談できたことで、作業効率はグッと上がったと思います。 オンラインと対面をうまく使い分けていきたいですね。

快く迎え入れて下さった石野研究室の皆さん、この度はありがとうございました! (とみ)
上に戻る

ISAS学生研究交流会(2022年3月8日)

写真
ISAS学生コミュニティ主催の学生研究交流会に参加して、研究紹介プレゼンをしました。
ISAS学生コミュニティとは、御堂岡さんや大間々さんがとりまとめに関わっている宇宙研の学生全体のコミュニティです。 今回のイベントは理学工学の枠を超え、「お互いの研究内容を紹介し、学生同士の交流を増やそう」という理念で開かれました。
持ち時間は、10分。同じ専門の人・違う専門の人、両方の人に楽しんでもらえるにはどうしたらよいか,,, と普段とは違った視点で準備する時間はとても面白かったです。 エンターテイメント性を重視した甲斐があったのか、修士の部で優秀発表賞をいただくことができました!  楽しんでもらえてよかったです。
副賞でいただいたアマゾンの商品券500円分、何に使おうかなー。(みき)
上に戻る

放射線試験(2) HIMAC出張(2022年3月1-3日)

写真 写真 写真
(写真上段左)放射線医学総合研究所入口
(写真上段右)放射線照射装置
(写真下段)サンプルの位置を調整するマツダさん、富永、小栗さん

辻本准教授とD1富永が放射線試験のため、約半年ぶりに放射線医学総合研究所へ行ってきました。 前回と同様、夜20時から翌朝7時頃まで、二晩にかけてビームを使用した実験を行いました。

前回我々が実験したCFRPに加えて、今回はLiteBIRDチームのメンバーであるIPMU松村さん岡山大学石野研究室の桜井さんと学生さん(次の日誌でその正体が明らかになります…!)から依頼を受け、代理で実験を行いました。 実験の手順書やサンプル、ビーム照射時間などを事前に送ってもらい、一ヶ月ほど前からメールやZoomで話し合いを行ってきました。ビーム照射中も実験進捗を細かくやりとりしました。感染症の影響で遠方の方が実験に参加しにくい状況ですが、リモートサポートという新しい実験参加方法が徐々に確立されつつあります。 XRISM Resolveサブシステム試験でもNASAのエンジニア陣がZoom等でリモートサポートとして参加しています。何事も工夫次第ですね!

さて、今回の実験の目的は、LiteBIRD衛星の望遠鏡部分に使用予定の部品が放射線に晒されることでどの程度性能変化するのかを調べる、ということでした。 私の研究対象は望遠鏡部分の最下層にある検出器面なのですが、LiteBIRD衛星が観測した信号はまず初めに「偏光変調器」を通過します。くるくる回る円盤をイメージしてください。 LiteBIRD衛星では偏向変調器により、観測対象である宇宙マイクロ波背景放射の信号を特定の周波数に変調し、信号強度を上げることで、精密観測を目指しています。 偏光変調器の表面は、モスアイ構造という蛾の眼のように凹凸のある構造を採用しており(東大/宇宙研/IPMU所属D2高久さんの研究テーマ)、今回の実験ではそのサンプルにビームを照射しました。他にも、偏光変調器の回転数を確認するために周囲に配置されるLEDとフォトダイオードや、接着剤にもビームを照射しました。今後これらの照射前後の特性変化を計測する予定です。(とみ)
上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (5) つくば出張(2022年2月24,28日)


Resolveサブシステム試験もいよいよ大詰めです。2月24日、28日に行われた高周波電場干渉試験に辻本先生、LiteBIRDの小栗さん、松田さんと参加しました。 この日誌欄でも度々登場していたアンテナ、電波漏洩防止箱("ぼうし")を検出器の真上であるdewar上部に設置し、 通信を模擬した電磁波を入射して、応答を調べました。 電波法を守る範囲で入射強度を変化させ、シミュレーションの結果と合わせて、 通信用アンテナが検出器に与える影響は十分小さいことがわかりました。 次に来るときは、サブシステム試験を終えて、機器が衛星本体に取り付けられた後だろうとのこと。 どんな姿になっているか楽しみです。(みき)

上に戻る

宇宙地球フロンティア特別演習(2022年2月15日-18日)

写真 写真 写真
(写真上段左)発表スライド表紙
(写真上段右)班のメンバー
(写真下段)我が班の発表が奨励賞を受賞しました!

海老沢研究室の学生も採択されている、東京大学卓越大学院プログラム「宇宙地球フロンティア国際卓越大学院プログラム」にはいくつかの修了要件があります。このうち「宇宙地球フロンティア特別演習」とは、毎年冬に開講される集中講義です。東大の学生用ポータルUTASで履修登録をし、他の講義と同様に単位を取得する必要があります。プログラム生の必修科目みたいなものです。今回はM1栗原くんとD1富永が出席しました。

さて、ではどんな講義なのか、というところですが、なんと完全放置!学年、研究分野がバラバラなメンバーで5人1チームに割り振られ(全15班程度)、三日間あげるからメンバー全員の研究内容を活かして一つの研究テーマを考えろ、というものです。ともすれば崩壊しそうな気がしますが、これが結構面白く出来上がったりします。プログラム生は天文学専攻だけでなく、数学、物理、化学、生物、地球惑星、航空宇宙専攻の人もたくさんいるので、うまく融合しなければなりません。

私の班は、電気推進が専門の航空宇宙専攻M1高木くん、高圧地球分野の地惑M1坂井くん、高エネルギー天文学が専門の物理学専攻D2加藤さん、極薄大気・水星・彗星研究の地惑D2鈴木さんという顔ぶれでした。自分の研究内容や興味のあること、気になっていることを雑談するうちに、「ミューオグラフィーって面白いね」という流れになり、その勢いのまま、「木星の大気を透過したミューオンをシンチレータを搭載した複数小型衛星で観測することで、木星の大気構造を明らかにする」という研究テーマになりました。このミッションを我々は Jovian Interior Surveyor 略して JIS と名づけて(愛着が湧きますね)、衛星が何台必要か、推進力はどの程度必要か、ミューオンはどれくらい到来しノイズ比はどの程度か、など、結構しっかりとした検討を行いました。メンバーみんなの知識と三日間の怒涛の調べ学習の賜物です。

この講義の成績は、参加者が他班の発表を評価することで決まります。なんと我が班は評価が高かったとのことで、奨励賞をいただきました!難しくも、楽しく話し合うことができたのもひとえにメンバーのおかげです。その後、5人のSlackも開設されました。

私はこれで修了要件はほぼ満たしたので、もう単位の心配をすることはなさそうです。あとは博士論文です!なお、この集中講義はプログラム生でなくても履修することができるので、興味のある方は入学後履修登録してみてくださいね。(とみ)
上に戻る

連星系変光星研究会と芋焼酎(2022年1月29-30日)

写真 写真 写真

2022年1月29-30日で連星系・変光星研究会2022が鹿児島大学とオンラインのハイブリッドで開催されました。本研究室からは富永と大間々が発表、御堂岡が聴講で参加しました。私は現地で参加してきました。普段はブラックホールの文脈で学会に参加することが多かったですが、今回は「連星系」というすこし異なるテーマの学会でした。勉強不足で分からないことが多かったですが、普段関わることが少ない天体現象について学ぶことができたので良かったです。発表は久しぶりの対面で少し緊張してしましました。ただ自分の研究を発表して質問をもらえるのはやはり嬉しいものですね(対面だとなおさら)。

さて、私ははじめての鹿児島だったわけですが見事に芋焼酎にハマってしまいました。現地で食べる地元料理とお酒は格別ですね。行く前までは「ちょっとクセじゃ」と思っていましたが、今では「それがええ」となってます。帰ってきてからはスーパーに行くと必ず焼酎コーナーを覗いてしまうぐらいにはブームです。こうやっておっさんになっていくのですね。(T. O.)

上に戻る

海老沢研インターンその2(2021年12月28-30日)

写真 写真 写真
コロナ禍のため年の瀬の3日だけになってしまいましたが、当研究室がホストするJAXAインターン(題目「衛星の電磁干渉設計に関する研究体験」)に、横浜国立大3年の柏崎さん、東北大3年の喜多くん、東京大3年の中川さんの3名が来てくれました。来年度打上げ予定のXRISM衛星に搭載される高性能X線分光器に対し、衛星通信で使用される電波がどれだけ干渉するか?を調べる試験を年明けに筑波で実施するのですが、それに使用するアンテナ、ケーブル、シールドなどの性能を測定し、シミュレーションで妥当性を評価するというものです。このテーマで修論研究を進めるM1の栗原くんのアドバイスのもと、初日は宇宙研の電波無響室で測定(1枚目の写真)、2日目は電磁界シミュレータを走らせて計算(2枚目)、3日目はまとめと発表です。電磁気学を使ったダイポールアンテナや変調などの理解から始まって、スペアナや電磁界シミュレータを使いこなし、プログラムを書いて結果をまとめるところまで、たった3日で見事まとめてくれました。みなさん大学院進学志望ということで、これからの進路を決めるよい機会になればと思います。体験記を書いてもらったので、大学院に行こうか迷っている大学生のみなさんはご参照ください(つ)。
上に戻る

海老沢研究室&インターン生(その1)、打ち上げの会(2021年12月27日)

写真 写真 写真 写真 写真 写真
初めて日誌を書きます、来年から海老沢研究室に配属になる望月です。初めての人も多い、淵野辺駅の近くにあるワイン食堂Corで打ち上げをしました。今回は海老沢先生のインターン生の小林さん、梶浦さん、そして一日早めに辻本先生のインターンに参加している柏崎さんが参加してくれました。参加者12人と大人数での打ち上げでとても楽しかったです。今年はコロナの影響でインターンがこの時期になっているそうで、小林さん、梶浦さんは28日まで、柏崎さんは30日まで研究されるようです。頑張ってください。料理はイタリアンのコース料理とこだわりのワインで、両方がマッチしていて、とてもおいしかったです。また行きたいです。(望)
上に戻る

大間々くん学振合格、栗原くん卓越合格、望月くん院試合格お祝い会(2021年11月30日)

写真 写真 写真 写真 写真 写真 写真
2年ぶり、2度目の出場「はせ川」です。前回来たときはお祝いされる側だったのですが、今回はお祝いする側として来ることができました。D1の大間々くんは学振合格、M1の栗原くんは卓越大学院プログラム合格、現在B4の望月くんは院試に合格して来年から海老沢研の仲間になるということでお祝い尽くしの会となりました。はせ川は写真集も発売されるほど人気の焼肉店です。美味しいお肉はもちろんのこと、オムライスやラーメンなどの焼肉屋らしからぬサイドメニューも魅力です。割り箸と比べると伝わるかと思うのですが、締めのラーメンが爆量すぎてお腹がはちきれそうでした。(御)
上に戻る

宇宙研電波無響室での実験(2021年11月24日-26日)

写真 写真
写真左:来年度から海老沢研の院生になる望月さんも手伝ってくれました!
写真右:電波漏洩防止箱、通称ぼうし

11月24日から26日まで、宇宙研の電波無響室にて作業しました。
写真からもわかるとおり、電波吸収体の青い角が一面に広がっています。中ではもちろん、圏外でした。
作業内容は、半波長ダイポールアンテナ、平面アンテナ、そして電波漏洩を防ぐための金属箱の性能評価です。 アンテナはどの角度にどれほどの強さで電波を送信/受信する能力があるのかを調べました。また、金属箱は漏洩が電波法の基準以下になる範囲を探しました。
これらは筑波で行う試験(詳しくは終了後、日誌に書きますね)のために自作してきた品で、ものづくりの難しさを感じることができました。時間が限られている中での実験で、大変な部分もありましたが、一通り終えられてホッとしています。
手伝ってくださったみなさま、ありがとうございました!(みき)

上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (5) つくば出張(2021年9月22日-26日)


先日9月22-26日で Resolve サブシステム試験にテストコマンダーとして参加してきました。私はつい先月ぐらいから Resolve 較正の研究を始めたのですが、今回が初めての Resolve との対面でした。これが宇宙で活躍するのかと思うとなんとも不思議な気持ちになりました。
さて、今回私が行った仕事である「テストコマンダー(TC)」の仕事を軽く紹介します。衛星はいわばX線検出に特化したコンピュータです。これを動かすためには人間がコマンドを送って制御する必要があります。これを行うのがTCの仕事です。コマンド自体は予め準備してあり、どのようなコマンドを送信するかはテストしたい項目に沿って決定します。どのような流れを経てより安全に高性能なデータを取得できるのかということを、学生の間に体験する機会はなかなかないと思うのでものすごく勉強になりました。私は Resolve に関する研究を始めたばかりということもあり、これまでの参加者に比べて事前知識としては少なかったので大事なところを勉強してから試験に臨みました。文章だけでは理解が難しいところは実際に試験でデータを見ながら内容を理解できたので効率よく知識を身につけることができたように思います。(T.O.)

上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (4) つくば出張(2021年9月14-15日)

写真 写真
9月14日、15日に行われるXRISM磁場干渉試験のため、筑波宇宙センターへ出張しました。 またXRISM !? と思ったそこのあなた、打ち上げまでまだまだ続きます~。それだけ海老沢研究室がプロジェクトに貢献しているということですね!
現地では、辻本先生、LiteBIRD の小栗さんと一緒にMTQ、自作ソレノイド(cf. 210727の日誌)を用いて磁場を作りました。XRISMの先代であるひとみ衛星のときも、疑わしいとは言われていましたが、今回の試験で検出器が磁場に感度を持つことが決定的となりました。 ノイズスペクトルの対応する周波数(127 Hz)ににょきにょきと生えてきたシーンが印象に残っています。ちなみに写真左が測定物理量(電圧、電流、磁場)のモニター画面。時空間(上段)と周波数空間(中、下段)両方でチェックできます。加速度測定用のシステムを借りて組み上げました。 いろいろな条件で次から次へと測定を行っていったので、2日間の情報量は膨大,,, メモの重要性を痛感しました。
最後に、写真右はプチ贅沢に食べた豚カツ。とってもおいしかったです。(みき)
上に戻る

天文学会秋季年会@オンライン(2021年9月13日-15日)


9月13-15日の三日間で秋の天文学会が開催されました。海老沢研究室からは栗原、富永、大間々が発表を行いました。栗原、長塚、大間々はタイムキーパーも経験させていただきました。ギリギリまで研究と発表資料作成に奔走してた発表メンバーですが、手厚いご指導のおかげもあり無事発表を終えることができました。聴講のみだったメンバー含め参加者全員にとって有意義な学会になったのではないでしょうか。特に栗原は初めての学会発表で緊張していたようですが、落ち着いて発表できていたのではないでしょうか。
さて、もう当たり前となってしまったオンラインでの開催も今回で3回目となります。移動がない分参加は容易になった反面、現地の美味しいものを食べれないのは残念でもあります(もちろんお酒を含めてです)。今後コロナがどのようになるのかは全く分かりません。我々は、いつかまた対面で開催される日を心待ちにして、どんどん研究を進めていくのみですね。
オンラインなので写真がないのは悪しからず(T.O.)
上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (3) つくば出張(2021年8月)

写真 1.5年後に打ち上げるXRISM 衛星に搭載するX線マイクロカロリメータ分光器 Resolve の試験が、JAXAの筑波宇宙センターで続いています。複雑な多段冷却システムを擁する Resolve 装置は、一旦試験が始まると止まりません。7月7日に筑波に到着してから、約半年間、ほぼ土日祝日なしで試験を継続します(僕も今年の夏は2日しか休みがなかった)。既にフライト品を組み合わせた最終調整に入っており、高い分光性能も安定して出せています。通常、この段階になると、学生さん(どころか JAXA 側でも熟練のスタッフ以外)の試験現場での出番はほとんどありません。しかし、自分の研究に密接に関係して教育効果が期待できる場合に限り、学生さんにも試験に参加してもらうことにしています。学生とは言え、JAXA 側の一人前の参加者として扱われます。我々の研究室の学生さんの多くは衛星開発に関わる研究テーマを持っていて、実は Resolve 試験での常連かつ最大派閥になっています。コマンドを打ち込んだり、いまだ不明のノイズ源を追求すべく測定システムを構築したり、電磁干渉試験のための機器を製作したりと、大いに活躍してくれています。NASAや関連メーカの経験豊かなスタッフに混じって試験遂行に貢献することは非常に貴重な体験で、いろいろ学んで貰えればと思っています。試験場所では衛星も組み上がりつつあり、高い臨場感がありますが写真が撮れないのが残念。上の写真は、富永さん滞在中に頂いた、NASAの cryo scientisit である Mark さんの誕生日のお祝いのケーキです(つ)。
上に戻る

第51回天文・天体物理若手夏の学校(2021年8月23日-26日)

写真
第51回天文・天体物理若手夏の学校に、大間々、栗原が参加しました。
大学院生の、大学院生による、大学院生のための研究発表会といった感じです。 今年も昨年に引き続きオンラインでの開催でした。 (よい写真がないのが残念,,, 画像はポスター発表及び懇親会会場)
ぼく(栗原)にとっては初めての発表の機会ということで、とても緊張しました。 違う分野の話も、前提知識から丁寧に説明してもらえるので聞きやすく、おもしろかったです。 ただ、大学院生同士で交流を広げるという観点では、オンラインだとやはり難しい部分がありましたね。
来年は、長塚さんが今年やられていた座長団に参加することになったので、ぜひ対面に戻ってくれていることを祈ります。(みき)
上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (2) つくば出張(2021年7月27日)

写真 写真
先日富永さんの日誌でとりあげられていたTC1Aに続き、XRISMのサブシステム試験TC2Aがつくばで進行中です。今月当研究室からは辻本准教授、富永さん、栗原が参加しました。
ぼくの出張目的は、9月に行われる磁場干渉本試験の事前準備です。 XRISMには長さ1 m弱の巨大なソレノイドが入っていて、地磁気との相互作用を利用することで衛星にたまったトルクを解放します。 (衛星にはリアクションホイールという車輪のような機構があり、軌道上で生じる様々な外乱トルクをため込むことができます。でも無限にはためられないので、どこかでそれを解放してあげる必要があるわけですね。) 試験では、この巨大ソレノイドが作る磁場が検出器にどのように影響を与えるのか、自作のソレノイド(写真右)も用いて調べる予定です。
1日だけだったのですが、初めての出張だったので(というよりは自分の注意力不足か笑)シャトルバス乗り場を間違えるなどのハプニングもありました。無事にデータがとれて一安心です。
来週から相模原キャンパスも再びBCP,,, 皆様もご自愛くださいね。(みき)
上に戻る

放射線試験 HIMAC出張(2021年7月7-10日)

写真 写真

辻本准教授とD1富永が放射線試験のため、放射線医学総合研究所に出張へ行ってきました。 この研究所は病院にもなっていて、お昼はがん治療のために重粒子線ビームを使用しており、夜間は共同研究として利用できます。 我々は夜20時から、翌朝7時頃まで、ビームを使用して実験を行いました。 放射線は皆さんもご存知の通り、大量に摂取すると人体に害のあるものですので、ビーム部屋と待機部屋の間にはかなり分厚い扉があります(写真左)。 ビーム照射中は赤いランプが点灯しており、人が立ち入ることはできません。

今回は、衛星構体に使用される素材が、観測期間中に宇宙放射線の影響を受けることで電気伝導度がどの程度変化するか、を検証することを目的として、素繊維強化プラスチック(CFRP)に陽子ビームを照射しました。 私は6月は、照射サンプルとXYステージ(二次元方向に動く)を固定するジグを設計したり、XYステージを駆動するプログラムコードを書いたり、照射時間を計算したり、と、実験の事前準備に明け暮れていました。 無事に実験が進んだときは本当にホッとしました。 今回は我々以外にも、重力波グループの小森さん、LiteBIRDグループの小栗さん、マツダさんが参加され、ビームタイムを分割しながらそれぞれの実験を行いました(写真右)。 照射時間やエネルギーを変更してさらなる実験を行うため、冬にも実験を行う予定です。 (とみ)


上に戻る

田中さん、開出さん、歓迎会 (2021年5月14日)

写真

100年に一度のパンデミック下ですが、何事も科学の歩みを止めることはできないのじゃ、というわけで、またまた焼肉、今度はいつもの「みんみん」で歓迎会です。 相模原のチェーン店なんで、相模原名物の豚、特にシロコロホルモンがおいしくて、100円の山盛り千切りキャベツも名物! コロナのせいで、いよいよ酒も飲めなくなってしまいましたが、そんなことには負けていられないのじゃ。
さて、一昨年度、別の時期に当研究室で技術研修生/インターンをされた田中さんと開出さんが、今春、同時にJAXAに一般職として入社されました。 おめでとうございます!ようこそJAXAへ! そして、お二人とも6月からの配属はつくばだけど、それまでの研修はISASだと。これまた偶然ですね! 宇宙科学プロジェクトの成功には、JAXAの研究者、技術者、アドミニストレータ、さまざまなエキスパートの緊密な協力が必要です。 JAXAでは、同世代の大学院生と一般職との接触の機会が少ないのが残念ですが、当研究室で出会った縁が将来のプロジェクトで生きるかもよ。僕はそろそろJAXAでのキャリアのゴールが視界に入ってきたけど、若い人たちには、将来、 夢のある魅力的なプロジェクトを立ち上げて欲しいなあ。X線でブラックホールを撮像するX線干渉計ミッションとか。 僕はそれまで生きていられるかなあ。(K.E.)
上に戻る

XRISM 衛星 Resolve サブシステム試験 (1) 新居浜出張(2021年5月3日-13日)

写真 写真 写真 写真 写真
(写真上段)新幹線からの富士山、瀬戸大橋通過中の瀬戸内海、工場内控え室の冷蔵庫(食料貯蓄のためパンパン)
(写真下段左)左から Mike さん、石崎先生、今村くん、富永、辻本准教授、Meng さん
(写真下段右)キットカットの包装紙のだるまくん。TC1Aでの目標が達成すると目が埋まっていく仕組み

2022年度に打ち上げ予定の XRISM 衛星に搭載される Resolve のサブシステム試験に、辻本准教授とD1富永が参加してきました。サブシステム試験とは、衛星全体ではなく、衛星に搭載されるそれぞれの装置レベルで行われる試験のことです。サブシステム試験の前には、装置を構成する各機器ごとのコンポーネント試験が実施されます。

これから約1年間続くサブシステム試験のうち、今回の出張は TC(Test Campaign)1A と呼ばれる、第一段階の試験期間です。住友重機械さんの愛媛県新居浜工場のクリーンルームで様々な試験を行いました。Resolve は、超高感度の温度計であるマイクロカロリメータを搭載しますが、入射X線光子によるごく微小な温度変化を検出するためには「装置自体をほぼ絶対零度まで冷やす」必要があります。実際、Resolve は冷たい魔法瓶のような高さ 1m 程度の「デュワー」に様々な機器を取り付けています。デュワーの外装部は室温(300K)程度ですが、その内部はマトリョーシカのように複数のシールドが設けられており、各階層で順番に冷やしていくことで、検出器が配置される中心部を極低温(50mK)まで冷やします。そのため様々な冷凍機(ジュールトムソン冷凍機、断熱消磁冷凍機など)が搭載されています。さらに、これらを動かすためには「ドライバ」が必要です。衛星の太陽パネルから電力を得て、ドライバから指示を出し、冷凍機が駆動するという仕組みです。サブシステム試験では、これらの機器を実際に接続し、電気的に問題がないか、基準温度まで冷却することができるか、また、X線源を照射してその信号を検出することができるか、などを確認する試験を行いました。辻本さんは一連の試験の総責任者であり、試験の手順書なども作成・確認されています。 東京都立大学の石崎先生、金沢大学の藤本先生は、デュワの内部のことから、機器を動かすコマンドまで設計されており、Resolveの生みの親のような方々です。 各機器を接続するために、NASAのGSFCから、Mike Dipirro さん、Meng Chiao さんが来日されました。コロナ対応のため、現場の人数を削減すべく、他に数十人の NASA 関係者の方々がビデオ通話で試験に参加されていました。毎日の会議や作業の確認は全て英語で行われました(プチ留学した気分です)。 愛媛大学修士課程2年の今村くんは、デュワの周囲に加速度計を配置して修士論文用のデータを取っていました。これにより、どこでどのような雑音が発生するかがわかります。修士論文が完成したら、ぜひ読んで勉強させてもらいたいです。

7月からはResolveは筑波にやってきて、我々もまた試験に参加します。打ち上げまで約2年、すでにカウントダウンは始まっているのだと感じました。 (とみ)


上に戻る

富永さん修士合格・博士入学お祝い会、大間々さん・栗原さん歓迎会 (2021年4月16日)

写真

100年に一度のパンデミック下ですが、ISASでのプロジェクトも、研究も、教育も、淡々と着々と進行しています。何事も科学の歩みを止めることはできないのじゃ。 さて、また春が来て、卒業と入学の季節です。富永さんが無事修士を卒業し、博士課程に入学しました。おめでとうございます! 大間々さんが博士課程に、栗原さんが修士課程に入学されました。ようこそ、宇宙研へ!というわけで、みんなで焼肉屋でマスク会食です。今回は、「牛角」さんで食べ飲み放題。 二年前にこれをやったら絶対怪しまれるような全員マスク姿での会食だけど、すっかり慣れちゃいましたね~。 最近は、マスクなしで人前に出ると、顰蹙、みたいな感じですよね…いつまで続くのかなー。それはともかく、今年度も、コロナに負けずに頑張ろう!(K.E.)
上に戻る

大間々さん、栗原さん入学 (2021年4月1日)

広島大学から大間々さんが総研大博士課程学生として、千葉大学から栗原さんが東大修士課程学生として、進学しました。(K.E.)


上に戻る