IGY
1954年春,ローマでIGY準備会議が開催された。このIGY(国際地球観測年)は,世界中の科学者の参加によって共同観測を行い,地球の全体像を明らかにしようというプロジェクトである。そこでは観測ロケットによる大気層上層の観測という特別プロジェクトが組まれることになった。ここにペンシルを開発したAVSAグループは,IGYの日本参加を支えるという決定的な任務を負うことになった。
IGYに堂々と参加するには,高度100kmに達する必要がある。ロケット観測班のメンバーたちは,ベビー型ロケットに改良を重ね,国際地球観測年において観測ロケットとして使用するカッパ・ロケットの開発に入った。そして1955年10月には,その打上げを実行するために,道川海岸に沿って500mほど進んだ勝手川の北が新たに選定された。
カッパ4型まで使われていたダブルベース推薬に代わって,コンポジット系推薬を開発したことが,カッパ6型による上層大気の風・気温等の観測データ取得の大きな武器になった。それは1958年9月,まさに滑り込みセーフ,辛うじてIGY参加という錦の御旗を守りぬくことができた。カッパ6型は21機打ち上げられた。
1960年7月には,カッパ8型ロケットが初めて高度200kmを越え,電離層のF層に届くようになって,科学者たちを驚喜させた。このカッパ8型は本格的な宇宙観測を可能にし,世界の注目を浴びた。
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