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後部筒とノーズフェアリング

ロケットのしっぽの部分が後部筒である。M-Vの全重量140tを打上げまで支える役目をしている。

ロケットの頭の部分がノーズフェアリング(以下NF)である。その内側には人工衛星が収められ、発射のときや飛んでいるときの空気の流れによる力や熱、そして音から人工衛星を守る役目をする。M-VのNFは、アルミ箔で蜂の巣状に形作ったハニカムと呼ばれる板を、CFRP製の薄い2枚の板ではさみこんだサンドイッチ板で作られている。そのおかげで、長さ約9m、直径2.5mの大きさで、重さは約700kgしかない。このNFは左右2つの殻で作られていて、その殻同士及び殻とロケット本体とはたくさんの数のピンでつながれている。空気の影響がなくなる高さまで飛ぶと、ロケットを軽くするために、このピンの傍らに備えられた紐状の火薬で全てのピンを一瞬に切断し、バネの力でNFを左右に開いて切り離す。

後部筒については、後部ランチングフックから伝わる荷重が、検討の結果当初の予測値より増加したため、一部リングを補強した。甲斐あってか、強度・剛性試験は問題なく終了した。NFは、ロケット本体とNFとをつなぐボルトの一部に荷重集中が発生したため、その対策で強度・剛性試験を何回も繰り返した。しかし最も苦労したのは開頭機構の開発である。衝撃を小さくするために火薬の量は少なく、かつ開頭機構が正常に働く火薬の量の幅を極力大きくすることを目標にして要素試験を繰り返したが、現在の仕様に至るまで幾度となく予想外の結果に遭遇した。仕様確定後には、フルサイズの開頭機構だけのシステム試験とNF開頭試験を実施し、開頭機構が正常に働くことを確認した。

この他にも種々の問題に直面したが、その都度対策を施し、構造・材料の開発を終了した。

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