第8章 究極の固体ロケットをめざして

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モータケース

M-Vは全てのモータに固体燃料を使っているが、それを入れておく容器をモータケースと呼ぶ。モータとは各段のロケットのことである。固体燃料はこの中で燃えてロケットの推進力となる高い圧力のガスを発生するので、モータケースは丈夫でなくてはならない。しかし、厚くすると重くなり打上げ性能を下げてしまうので、軽くて強い材料を使う必要がある。そのため、M-Vでは1段目と2段目のモータケース用に鉄を主とした合金を開発した。この合金製の直径1mmの針金は180kgのものをつるすことができる。この強さのおかげで、直径2.5mのモータケースの厚さはわずか5.8mm(2段目)しかない。3段目のモータケースは、その重さが打上げ性能に大きく影響するので、更に軽くて丈夫な、炭素繊維を樹脂で固めた炭素繊維複合材料(CFRP)を使っている。

M-V第1段モータ推薬充填作業

M-V第1段モータ推薬充填作業

1段目と2段目のモータケースは、実機サイズのモータケースが耐圧試験中に低い圧力で破壊するというアクシデントに見舞われた。原因はこのモータケース用に開発した材料や検査方法にあったため、新たな非破壊検査方法の導入や材料の組成・熱処理の見直しを行った。その後、この新しい材料製のモータケースは耐圧試験等を無事終了し、その性能が保証された。3段目のCFRP製のモータケースは、小型の試作品で試験を繰り返した後に実機サイズの試作品に取りかかったのだが、CFRP製であるが故に大きくなることによって初めて見えてきた問題に直面させられた。しかし、長年培った独自の技術力で無事、各種試験をクリアし、CFRP製としては世界最大級の直径をもつモータケースが完成した。また、わが国ではMロケットだけがCFRP製のモータケースを実用している。

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