第8章 究極の固体ロケットをめざして

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最大の困難

M-Vの開発は、1995年1~2月の打上げを目標として、1990年度から始まった。開発から2年後の1992年5月、チームは大きな困難に逢着した。M-Vでは、第1・2段のモータケースとして従来のHT-210に代えてより高強度の超高張力鋼HT-230を開発使用する予定で作業を進めていたのだが、予備的な要素試験を経て実機サイズモデルでの耐圧試験をしたところ、規定の圧力以下で熔接部が破断したのである。

当初は非破壊検査によって内部に潜んでいる亀裂を発見する能力を向上させれば、なんとかて解決できるものとやや楽観していた。ところが、ケース材料の水素脆性が予想を越えて高いことが判明するに至り、開発は重大な局面を迎えることとなった。

結局は、

(1)強度を若干下げ靭性を上げる方向での素材の変更
(2)熱処理方法の改良
(3)非破壊検査の強化
(4)燃焼圧力以上での耐圧試験による実機ケースの最終的な品質保証

によって切り抜けたわけであるが、特に素材を変更することは、それに応じた製造法を確立するところまで行かねばならず、それだけで1~2年を要した。時間との熾烈な競走となった。

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