第8章 究極の固体ロケットをめざして

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伸展ノズル

M-V-1号機飛翔実験における搭載TVカメラの映像で一躍注目を浴びた伸展ノズルも、実は、ABSOLUTE計画の中でその必要性が指摘され、多年にわたる研究開発の結果M-3SII-4号機のキックモータに初めて試験的に搭載された既存技術の改良型なのである。十数本のFRP製の中空丸棒を螺旋状に巻き込み畳み込んだだけの簡単な構造の軽量バネ機構がノズル内部空間に仕込まれており、2組のマルマンバンドの拘束を順次解除することにより、これが元の長さに戻ろうとするバネ力によって、先ず2段に畳み込まれていたノズルを伸展させ、次いで自身を離脱・投棄させる仕掛けである。

ところで、M-Vの打上げの際、搭載カメラによる映像が、ノズルが伸展終了し3段モータが無事着火した直後にブラックアウトしているのをご覧になった人は多かろう。実は同モータに装備されたもう一つの新技術によるものなのである。通常固体モータの点火器はモータの先端部に固定されているが、M-Vの3段およびキックモータには、ノズルのスロート直後に装着しておき、モータが安定に着火するとその噴流の圧力で吹き飛ばしてしまう仕組みの「投棄式後方着火点火器」が装着されていた。ケース軽量化と充填薬量の増加および不用重量の削減によってステージ推進性能の大幅な向上が期待できるこの新技術も、M-3SII計画の途上で開発され4・5号機のキックモータでその有効性が実証済みの既存技術を改良・大型化したものである。吹き飛ばされた点火器が離脱後の第2段頭部に激突してカメラもしくは信号伝送系を破壊したのが、ブラックアウトの原因だったというわけである。

M-V第2段モータ伸展ノズルの伸展試験

M-V第2段モータ伸展ノズルの伸展試験

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