第8章 究極の固体ロケットをめざして

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推薬・断熱材・噴射体

何しろM-Vでは、モータ直径をM-3SIIまでの1.4mからほぼ倍にする。推進薬の燃焼速度を同程度に高めなければ、モータ燃焼時間が長くなりすぎて著しい性能劣化を来すであろう。経験のない高燃速推進薬の開発には長期間を要する見通しであったため、計画正式起動に先駆けて87年からその基礎開発研究に着手した。

89年10月、能代ロケット実験場(NTC)で行われたTM-800TVC真空燃焼実験は、当時オゾン層破壊物質としてその使用が規制されつつあったM-3SIIの2次液体噴射推力方向制御(LITVC)装置の噴射体フレオン114B2を低公害の新噴射体に変更するための性能比較試験が主目的だったが、その供試モータの充填推薬として試作の高燃速推進薬を採用し、併せてその燃焼特性の調査を試みた。

同実験では、同じく発癌性物質として指弾を受けていた石綿(アスベスト)を用いたケース断熱材に替わる新素材の性能評価試験も試みられ、ここで好成績が確認された推進薬、ケース断熱材および噴射体が、それぞれM-Vロケットの1・2段モータ充填推薬、全段モータのケース断熱材および2段モータLITVCの噴射体として、後日、正式採用されたのである。推進薬チームを率いる高野雅弘の予見と計画性に満ちた快挙であった。

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