第5章 M-3SIIロケットとハレー彗星探査

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「さきがけ」──惑星間探査機の誕生

おそらく関係者は数千人に及ぶであろう5年間の涙と汗が、このようなたった7分のドラマに凝縮して現れたのである。やがて、燃えつきたキックモータから切り離されたハレー探査機が、一路ハレーへ向かって長旅を開始したのは、この7分間のすぐ後だった。

すべての科学衛星は、このような緊迫の数分間を経て誕生する。この打上げに直接携わった人たちと、そのロケットや衛星の製作に従事した大勢の人たちとは、この短い炎のような時間の間、同じ願いで結ばれる。宇宙の謎に挑む科学者たちの工夫でいっぱいになった観測機器を、エンジニアたちの知恵が生んだロケットが、重力と大気の抵抗を突破しながら運んでいく。

惑星間軌道に乗ったハレー探査試験機は「さきがけ」と命名された。

さて「さきがけ」の打上げ後、テレメータ班がビールで乾杯。日頃のパチンコもうけ頭がビールを1ダース供出しろ、ということになった。それは前日Hからたった15発の玉を譲り受けて「オール7」を2回も出した I、ブツブツ言いながらも寄進に及んだ。異郷の年越し、単調な生活を盛り上げるためのささやかな努力。

I 曰く、「特技は身を滅ぼす。」

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