第5章 M-3SIIロケットとハレー彗星探査

カテゴリーメニュー

星空のスーパースター登場

ハレー彗星がやってくる!

1910年に太陽に最接近したハレー彗星は、その後太陽中心の長楕円軌道に沿って海王星の辺りまで遠ざかり、今また76年ぶりに太陽に(ということは地球に)近づいてくるというのである。

これだ! ハレー彗星ならば、申し分のない星空のスターである。1950年にアメリカのフレッド・ホイップルが提出した仮説によれば、彗星は「汚れた雪玉」で、水の氷を主成分とし、そのあちこちに「ダスト」と称する固体の微粒子が混じっている。図体が小さいので熱変成などを受けにくく、内部は太陽系誕生の頃からほとんど変化していないのではないかと言われている。つまり「太陽系の化石」なのである。

ハレー彗星の軌道<

ハレー彗星の軌道
[ 画像クリックで拡大画像 ]

探査機を接近させるためには、彗星の軌道がある程度よく分かっていなければならないが、その点ハレーはこれまでに何度も地球に接近し、歴史的によく観測され、軌道情報もしっかりしている。

科学的価値が高い上に計画を立てるための情報が豊富であり、その上だれでも知っている親しみ深い星、ハレー彗星。しかもまだ世界には彗星探査ミッションはない。しっかりした計画を立てれば、政府から認可される見込みがあるのではないか。軌道グループは猛烈な計算を開始した。

地球の公転軌道面(黄道面)とハレー彗星の軌道面は約18度傾いているので、ハレーが黄道面をよぎる時に探査機が出会うように軌道を設計するのが、打上げエネルギーの見地からは都合がよい。計算の結果、出会いは1986年3月、ハレーが黄道面を上から下(北から南)へ潜り込む降交点近傍と定められた。そこは地球軌道の内側に切れ込んだ金星軌道に近い辺りである。打上げ時期としては、1984年末から1985年初めにかけての時期と1985年の夏が、最適と考えられた。

読みかけのページとして記録する

「読みかけのページとして記録する」について