次期磁気圏観測計画 SCOPE
宇宙と地球を結ぶプラズマの世界を探る
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SCOPE。地球を取り巻くプラズマの構造と変動を編隊飛行で探る。
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一つ一つの星の周りから,何百万光年に広がる銀河団のスケールまで,宇宙は高温のプラズマで満ちています。地球の大気の底の住民から見ると,このようなプラズマの世界のうちで最も近くに位置するのが,地球を取り巻く磁気圏です。磁気圏プラズマは,高温・無衝突であるために,地上のガスとはまったく異なる物理学によって支配されます。プラズマの大きな特徴は,無衝突にもかかわらず粒子が集団的な協調運動をし,個々の粒子の運動スケールから天体規模のスケールまで,その振る舞いが階層的な構造を持ち,しかも下の階層(衛星周辺に局所的に起こること)と上の階層(磁気圏全体に起こること)が強くカップルしていることです。これは,地上の実験室の有限な空間では,なかなか再現できないプロセスです。このような階層構造が,地球の磁気圏のオーロラ電子加速や,プラズマシートでの電子・イオンの加熱,また太陽風が磁気圏にぶつかるときにできる衝撃波や境界渦構造などに,決定的な影響を与えていることが,磁気圏尾部観測衛星GEOTAILの活躍により分かってきました。
われわれは,この特徴的な階層構造・時空構造を解明するために,SCOPE(Scale COupling in Plasma universE)という編隊飛行衛星ミッションを推し進めています。1機の親機衛星と4機の子機衛星から成る衛星群を,長楕円で地球をめぐる軌道に打ち上げて,階層構造を解明する計画です。実現すれば,日本で初めての編隊飛行ミッションになる予定です(衛星相互の距離は1kmから数千kmの間で可変にします)。
一回のロケット打上げで5機の衛星を一度に上げる試みなので,個々の衛星の重量を軽減すること,衛星間通信法の開発,編隊を保つための軌道制御など,多くの難関が控えていますが,われわれはいろいろなアイデアを出して,これらの難関を突破していくつもりです。
SCOPEミッションのもう一つの目玉は,今までの1000倍という高い時間分解能のプラズマ観測を行うことにより,プラズマ,特にその電子成分のミクロな空間時間構造を解明しようという試みです。GEOTAILによって発見された,電子静電孤立波や,磁気中性点近傍の電子の特異な振る舞いは,これらのミクロな現象が磁気圏プラズマ全体の挙動に大きく影響を及ぼしている可能性をわれわれに突き付けました。その真否を判断するには,高い時間分解能によって,電子のミクロな挙動を浮かび上がらせることが必要なのです。
地球と宇宙にあまねく存在する高温度プラズマの基礎物理の解明を通じて,SCOPEミッションは地球磁気圏の理解だけでなく,宇宙にあまねく存在するプラズマそのものの理解につながるものと確信しています。
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NASA衛星群との共同観測
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