統合直後の新年特集号ということで,「宇宙科学の近未来」を企画したものの,なかなかに大変で,日ごろの勉強不足を痛感しました。的川先生をはじめ,広報や編集のスタッフ,先生方には,多大なご心配とご迷惑をおかけしました。この場をお借りして,お詫びと感謝の気持ちを述べさせてください。また,この特集号には,将来計画の各ワーキンググループの皆さまの,多大なお力添えがあったことも,ここに申し添えておきます。
宇宙科学の大きな意味での将来ビジョンは,日本に限らず世界的にも,非常に難しい問題です。基礎科学で一番大切なことは,今まで全く知られていなかった知見を得ることであり,「成果を“完全”に予言できる基礎科学」は,矛盾を含んだ考え方です。一方で,ミッションを語るには,具体的な成果の予測が求められるのも確かです。われわれは,これらをよく考えた上で,目指すビジョンと成果をうまく,そして分かりやすく伝える,今まで以上の努力を必要としているのだと思います。
今回の編集作業で,自分のその力の不足を痛感させられました。日本で,そして世界(例えばNASAやESA)でビジョンを語る立場にいる方々は,本当によく考えており,勉強しています。それでも困難に直面するわけです。私は研究者であり,日ごろの研究を進め,目の前のプロジェクトを成功させることが本務です。しかし,だからこそ,大きな意味でのビジョンを常によく考え,よく勉強しながら,研究を進めていきたいと思います。周りにも同様によく考えている方々が多いですし,以前よりも増えてきたように思えます。
昨年はJAXAにとって大変な年でした。今年は,良い年になることを祈っています。祈ると同時に,やるべきことをしっかりとやらなくては。
(高エネルギー天文学研究系 中澤知洋)