No.274
2004.1

特集にあたって

ISASニュース 2004.1 No.274 


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- No.274 目次
- 新年のごあいさつ
特集:日本の宇宙科学の近未来
+ 特集にあたって
- 理学と工学のスクラムで
- ミッション計画
- これまでの成果
- これまでのミッション
- 進行中のミッション
- 宇宙理学の目指すもの
- 極限状態の物理を探る
- 宇宙の構造と成り立ちを探る
- 太陽系の環境を知る
- 太陽系形成の歴史を探る
- 宇宙工学の目指すもの
- 「はやぶさ」は今
- まとめにかえて
- 編集後記

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的川泰宣 ISASニュース編集委員長 


 本特集では,「日本の宇宙科学の近未来」と題して,宇宙科学研究本部で現在開発中のミッションの紹介とともに,その先を担うミッションとして検討されている計画のビジョンをまとめました。

 閉塞状況に陥って久しい日本の国で,現代に生きている私たちの責務は非常に重いものがあります。20世紀の半ばに,体制の帰趨(きすう)をかけた米ソの闘いの平和的な戦場に宇宙が選ばれたのは,理由のあることでした。宇宙こそは,人々の想像力をかきたて,夢と冒険のターゲットとして,国家の名誉を代表する誇りある舞台だったのです。日本において,糸川英夫先生を核とする先輩たちが始めた宇宙への挑戦も,未来を見越した雄大な識見に基づいたものであった数々の証拠があります。

 日本でも世界でも,宇宙への人類の進出は,無数の人々の一生が踏み台になり,多くの悲痛な経験を乗り越えることによって今日が築かれたものです。顧みれば,日本初の衛星「おおすみ」を打ち上げる際の度重なる辛い思い出,日本初のX線天文衛星「はくちょう」の産みの苦しみ,初の通産省・ドイツとの協力ミッションEXPRESSの苦杯dash すべて私たちにとっては,懸命な努力をして乗り越えてみれば「進歩のための一里塚」だったといえます。

 今,新生JAXAの未来を論ずるにあたって,宇宙科学を担当するわが本部は,過去の経験,特に直近で蹉跌(さてつ)した日本初の惑星探査機「のぞみ」の成果と教訓を,新たなチャレンジをする中で全面的に,謙虚に生かし切らなければなりません。私たちの描いている近未来を率直に語り合う場として,本特集を企画しました。

(まとがわ・やすのり) 


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