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大変だった衛星の温度管理

プロジェクトマネージャー:小川原嘉明

「ようこう/SOLAR-A」衛星主任小川原嘉明

冷却用カバーが取り付けられたM-3SII-6号機のフェアリング

冷却用カバーが取り付けられたM-3SII-6号機のフェアリング

M-3SII-6号機打上げ直前の冷却用カバー取り外し

M-3SII-6号機打上げ直前の冷却用カバー取り外し

「ようこう」のバッテリー温度には、地上においては30℃以下、軌道上では10±5℃という厳しい条件が課せられたため、温度管理には細心の注意が払われた。

衛星の輸送は、バッテリ温度を30℃以下にするために特別のスケジュールが組まれた。当時、衛星システムを担当し、輸送に立ち会ったNECの松井は、そのときの様子を次のように語っている。

──8月9日、出発に先立ち、衛星輸送コンテナの外パネルに断熱材を貼り、その上からアルミ蒸着マイラーシートを貼りました。外パネル内にドライアイスの箱を設けた状態で、トラックは夕方、相模原を出発しました。翌日の日中、衛星は三菱重工神戸製作所の倉庫で過ごしました。その日の朝、新幹線で神戸に到着した小川原先生、私、筒井さん(NEC)の3人は、衛星の温度を夕方まで監視しました。そしてドライアイスを補充した後、夕方出発するトラックを見送り、私たちは飛行機で鹿児島に飛びました。先に到着していた加藤輝雄さん(宇宙研システム担当)と神戸から来たトラックと落ち合い、温度を監視しながら内之浦まで併走し、8月11日9時に実験場に到着しました。──(松井)

夏の打上げでフェアリング内部の温度が上昇するのを防ぐため、フェアリングの外側に打上げ寸前まで冷却用カバーを取り付けるという前例のない方策がなされた。これは衛星内部のバッテリを保護するためで、打上げ飛翔中の放電・充電による温度上昇が30℃を超えないようにするためである。

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