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衛星の軽量化に消費税導入

衛星設計において重量、電力を減らすことは、大変に骨の折れる作業である。「あすか」もプロトモデルを開発する時点では、積み上げ重量が、目標420kg以下に対し約20%超過の500kg近くもあった。当時衛星システムを担当し、設計で苦労したNEC(現NEC東芝スペースシステム)の北出賢二は、次のように語っている。

──衛星主任の田中靖郎先生は、軽量化のための数々の手法を導入されました。まずは、一律3%という重量軽減の目標値を設定し、各サブシステム/コンポーネントに軽量化を迫りました。軽量化のための苦渋の共有化です。また、先生は「水に浮く機器はないだろうな」と問い掛けられ、比重が1以下のような密度の低い機器を作るな、というお心でした。“消費税”を導入したこの軽量化は、科学衛星開発では初めてでした。「あすか」では、この重量の軽減のほかに、機器搭載面積が足りないために“建ぺい率”を導入し、望遠鏡を伸展するために、伸展部に面する側面パネルに搭載した機器の高さを厳しく制限しました。これほど機器配置に苦労した衛星も少なかったのではと思われます。──(北出)

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