No.200
1997.11

有翼飛翔体   ISASニュース 1997.11 No.200

- Home page
- No.200 目次
- 200号記念にあたって
- 10大ニュース
- 「あけぼの」
- 「ひてん」
- 「ようこう」
- GEOTAIL
- 「あすか」
- EXPRESS
- SFU
- 「はるか」
- 赤外線観測
- M-Vロケット
- 観測ロケット
- アンドーヤ
- ダイアナ計画
- 太陽発電衛星
+ 有翼飛翔体
- 相模原キャンパス
- KSC
- NTC
- ATREXエンジン
- SBC
- UDSC
- PLAIN
- CAST
- SURC
- 初めての第三者評価
- 国際協力
- 将来計画
- ISASニュース200号に寄せて
- 編集委員会
- 宇宙研の100ヵ月パート2

- BackNumber

 有翼飛翔体の研究は東大からの改組の時点で設置されたワーキンググループを核として行われた。シャトルの次の世代の有翼型完全再使用ロケットを目標として,宇宙研規模でできることを考えようということだった。WGでは実験機HIMESを想定し技術的な課題を抽出しつつ研究を進めることとし,推進や大気圏外からの帰還に関係した技術を中心とした研究計画を立案した。ロケットと違って揚力飛行による再突入をする機体の勉強から始め,最初の実験は何をやるにもまず実践から,と長友先生に尻をたたかれながらラジコン機におもちゃに毛の生えた計測機器を乗せて飛ばしてみたが,まっすぐ飛ばせることすらなかなか難しいことを実感。その後,小型飛翔体を用いた飛行実験を順次実行することとし,自動操縦の機体をヘリから飛行させる滑空飛行実験を能代の沖合で行った。この次に行われたのが再突入実験で,色々な制約から気球からロケットを発射して大気圏外に有翼飛翔体を打ち上げるロックーン方式により,再突入飛行中の機体の運動特性や空力的設計手法の確認を目的とした。第1回目の実験ではロケット点火の直前に気球がバーストし有翼飛翔体は飛行することなく機体を失った。この後92年2月に再度実験を行い一連の飛行実験を終了。この間は新型の気球の開発など宇宙輸送の研究の道のりの遠さを感じながら2号機の準備を進めたが,この辺りが飛行実験の難しさであり面白さである。その後仕事は中断されたが,往還機構想など種々の実験機計画が我々が進めた方向を発展させて進められている。宇宙研が宇宙研的な方法でこの種の飛行実証を伴う研究活動を行い,輸送系研究に貢献するとの意義を示したもので今後もこの方向を継続したい。

(稲谷芳文)


#
目次
#
相模原キャンパス
#
Home page

ISASニュース No.200 (無断転載不可)