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Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日の運用は、レンジング、再生レンジング、RCDによる制御のためのタイムライン
コマンド登録などを行いました。
IKAROSの健康状態は良好です。

明日(8/31)、明後日(9/1)は運用お休みです。

なので、タイムラインコマンドを「ヒーッ!!」ってな感じで大量にIKAROSへ登録
しておく必要があり、登録する時刻に齟齬がないか、1個1個を登録するアドレスに
間違いがないかを確認するだけで、「ヒーッ!!」ってな感じでした。
(別に思ってるだけで「ヒーッ!!」って実際に口には出してないですよ♪)

そうそう。先日T2さんからコマンダさんについて話がありましたが、さらに忘れて
はいけないのが、臼田局で64mのアンテナ設備等を管理・運用してくださっている方々です。
コマンダさんが操作して送ったコマンドは、臼田局でデジタル信号→アナログ信号(電波)
に変身してIKAROSに届きます。
また、IKAROSから届いた健康状態を示すアナログ信号(電波)は臼田局でデジタル信号に
変身して相模原のIKAROS管制卓に届きます。

臼田局の方々は、IKAROSが十分なミッションができるように、時には厳しく、時には
やっぱり厳しく、プロだなぁと感じさせてくれながら運用手順を遂行してくれます。

イカロス君、うすださんにもしっかりお礼言ってくださいね!!





IKAROSも打ち上げから無事100日目を越えて順調に運用を続けています。
私からもこの場をお借りしてお礼申し上げます。

打ち上げ前の怒涛の準備作業から何とか無事打ち上げてもらうことができ、トラブルもなく
こうして無事今を迎えられるのは現場を担当しているものとしましては至極の喜びです。

これも、JAXA関係者や支援して下さっているメーカの方々、加えて皆様から頂いている
暖かい、ときには熱い応援と思いが現場にひしひしと伝わっていて、それが現場にいる
全員の糧となり、士気が十二分に保たれているからに違いないと思っています。
本当にありがとうございます。

厚かましいお願いではございますが、これからも暖かくIKAROSチームを見守って頂き
応援して頂けると幸いです。

チーム一同、日々運用できる喜びと責任感を持ち、また、運用で得られた成果を十分
に自分たちの糧にしながら運用に励んでまいります。
( KY )


8/30のIKAROS
太陽距離: 0.99AU
地球距離: 31783569km, 赤経=-129.4°, 赤緯=-28.2°
金星距離: 0.44AU
姿勢:スピンレート=1.4rpm, 太陽角=27.4deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.99AU
Earth Distance: 31783569km, RA=-129.4deg, Dec=-28.2deg
Venus Distance: 0.44AU
Attitude: Spin Rate=1.4rpm, Sun Angle=27.4deg



今日は何の日?
 ・スペースシャトルで「ディスカバリー号」が初飛行した日(1984年)
   詳細はこちら↓↓↓
   http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/kaihatu_shuttle_sts_41_d.html
 ・YS-11型旅客機の初飛行の日(1962年)
   詳細はこちら↓↓↓
   http://www.jaxa.jp/press/2006/11/20061113_ys-11_j.html
 ・ハッピーサンシャインデー(太陽のような明るい笑顔で過ごせば、ハッピーな気分になれる日。。。だそうです)


Category: Operation
Posted by: IKAROS
今日はレンジングとデータレコーダの再生を行いました.
間もなく通信不可帯に入るため,レンジングをして軌道を決定しておくのは
今後のトラッキング(追跡)のために非常に重要です.
軌道決定をきちんとやっておかないと,IKAROSがどこにいるかわからなくなり,
IKAROSのいる方向にアンテナを向けられなくなってしまいます.
ちなみに,臼田のアンテナは,IKAROSに対し,0.01°程度の精度で向けられています.
つまり,向ける方向が0.1°もずれちゃうと全く電波がとれないということになります.
なんだかすごい精度ですね.

そういえば,今日で打ち上げから100日ですね.
思い返せば,ここまで色々なことがありました.
運用メンバ全員でドキドキし,成功に大喜びし,色々な感情を共有してきました.
この100日間でメンバの結束はより強くなったと思います.
今度も協力して運用していきたいと思います.

IKAROSの運用で忘れてはいけないのはコマンダさんです.
地上からのコマンドは,最終的にコマンダさんが管制卓を操作することで
IKAROSに送られていきます.
このコマンダさんのすごいところは,管制卓を自由自在に操るだけでなく
我々が手順を忘れていたりしたら,きっちり指摘をしてくれるところです.
自分がいなくてもコマンダさんだけで運用してくれるのではないかと思うくらい
頼りになる存在です.
IKAROSがこれまで安全に航海してこれたのもコマンダさんのおかげです.
イカロス君,コマンダさんにも感謝の気持ちを伝えてくださいね!
もちろん私にもタップリ感謝してください.ふふ.(T2)

今日(8月29日)は何の日?
・ H-IIA1号機の打ち上げ
・ マイケル・ジャクソンの誕生日
・ 運用をすごく手伝ってくれる学生M君の誕生日.おめでとう!
 ・ 夏休み最後の日曜日.みんな宿題はすんだかな?

8/29のIKAROS
太陽距離: 0.99AU
地球距離: 31699919km, 赤経=-129.7°, 赤緯=-28.2°
金星距離: 0.45AU
姿勢:スピンレート=1.4rpm, 太陽角=26.9deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.99AU
Earth Distance: 31699919km, RA=-129.7deg, Dec=-28.2deg
Venus Distance: 0.45AU
Attitude: Spin Rate=1.4rpm, Sun Angle=26.9deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日の運用は、昨日のビーコン運用時記録データを取得したり、レンジング、
再生レンジングなどを行いました。
IKAROSの健康状態は良好です。

さっきまで相模原納涼花火大会の音が相模原キャンパスにも響いてました。
見に行けなくて残念ですが、IKAROSの運用作業も楽しいし、やりがいがあるので、
まぁ、良しとしましょう。(KY)


※イカロス君へ
そちらからは花火はどんな風に見えた?
あっ。うすださんとのお話しに一生懸命で見えてなかったかな?
うすださんとお話ししてる時のイカロス君のまじめな目線ってどんな感じなのか、
皆さんに見せてあげなさい♪

たまにギョロ目で両方とも左端に寄ってるときがあるらしいけど、もしかして・・・。





8/28のIKAROS
太陽距離: 1.00AU
地球距離: 31608263km, 赤経=-130.1°, 赤緯=-28.1°
金星距離: 0.46AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=26.7deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.00AU
Earth Distance: 31608263km, RA=-130.1deg, Dec=-28.1deg
Venus Distance: 0.46AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=26.7deg



今日(8月28日)は何の日?
 ・「はやぶさ」イオンエンジン往路完走 (2005年)
   詳細はこちら↓↓↓
   http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0829.shtml
 ・民放テレビスタートの日(だそうです)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
 昨日はブログが更新されませんでしたね、申し訳ありません。なかなか更新されないのでいつも机で寝てしまうOさんが書くのかと思ってましたが、どうやら担当者が忘れてしまったようです。
 昨日はビーコン運用の練習を行いました。IKAROSは日に日に地球とアンテナの成す角(きのこのてっぺんが地球に向いたときが0°)が大きくなり通信が厳しくなっていくのですが、今回は通信不可帯間際を想定してわざとアンテナの向きをずらして運用しました。このように条件を悪くすることで分かったこともいくつかありました。運用者の心眼を更に磨かないといけませんね。

 ちなみに昨日は運用後にツケメンを食べに行きました。選択肢に全くなかったのですが、佐伯さんの自己紹介を見て急浮上。ツケメンは好きで、中目黒に好きなツケメン屋があるので度々行きます。ここ淵野辺だと、徒歩圏内にそこそこ美味しいツケメンを食べられるお店があるので、昨日はそこにいきました。でもツケメンより好きなものはピザです。佐伯さんにプライベートを話さないと突っ込まれたので、好きな食べ物をバラしてみます。(sawada)

※追記:淵野辺付近でピザの美味しいお店があったら教えてもらえると嬉しいです


8/27のIKAROS
太陽距離: 1.00AU
地球距離: 31506744km, 赤経=-130.5°, 赤緯=-28.1°
金星距離: 0.47AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=26.5deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.00AU
Earth Distance: 31506744km, RA=-130.5deg, Dec=-28.1deg
Venus Distance: 0.47AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=26.5deg

08/27 20:06 : 自己紹介(佐伯)

Category: Member
Posted by: IKAROS
IKAROSチームの佐伯 孝尚(さいき たかなお)と申します.
いつもIKAROSを温かい目で見守っていただきありがとうございます.
マイナーキャラですが,自己紹介させていただきます.

私は現在,臼田宇宙空間観測所に来ております.
イカロス君(*1)が「うすださん」といっている64mの大アンテナがあるところです.
ここで,今後の「ビーコン運用」の為の準備をしております.
はるか昔,「はやぶさ」との通信が途切れた時に電波探索の支援用のソフトを
作成したことがありましたが,それをIKAROSの「ビーコン運用」(*2)で
再利用することになり,ソフトウェアの改良や,設定の変更を行っております.

イカロス君の行動パターンから推測するに,この出張中に自己紹介の催促が
くるなと思っていましたが,案の定きましたね.
「甘いな.行動は読めてるぜ,イカロス君」と言いたいところですが,
予想していたにも関わらず,自己紹介文を全く用意していなかったので
こうして慌てて筆をとっております.


私は昨年の7月に,民間企業からJAXAへ転職してきました.
といっても,修士課程,博士課程,ポスドクを宇宙研で過ごしましたので
現在のIKAROSチームのほとんどの方と面識がありました.
入社後速攻で,津田さん(*3)に「IKAROSよろしくね」といわれ
いつの間にかIKAROSチームの一員となってました.
ちなみに津田さん,船瀬さん(*4)は大学4年時の研究室の先輩,後輩にあたります.
IKAROSチームは年が近く,言いたいことが言い合えるので
実のある議論ができ,本当にいいチームだと思います.

私が相模原に復帰した昨年の7月は,総合試験に移行する時期でしたので
開発はほぼ終了していました.開発に携わっていない私は最初苦労しました.
総合試験中に徐々に慣れてはきたものの,機器の詳細は分かりませんので,
総合試験はお手伝い程度にして,私は運用に関しての検討・作業を
行うことになりました.

私は,まず,テレメトリを処理して表示するQL(Quick Look)関連の
ソフトフェアを整備しました.
その一方で,IKAROSの姿勢計画を詳細化することを行いました.
IKAROSは,電力的なリソースも十分でなく,アンテナを積極的に地球に
向けることもできませんので,なかなか大変でした.
その他にも運用に必要な雑多なツール群を用意したりしました.
打ち上げ後は,姿勢担当,システム担当として運用に参加してます.

澤田さん(*5)はメカ,船瀬さんはエレキ,山本さん(*6)は推進系と担当がありますが
結局,私の担当はなんだかよくわからないですね.
相変わらず,ちょっとしたツール作っていますし,
昨年の船瀬さんの結婚式の2次会の司会もやりましたし,酒の席の盛り上げ役もやりますので,
「IKAROSチームの便利屋」といったところでしょうか.

上で書いたようにIKAROSは直接開発に携わっていないですが,
展開成功時には本当に感動しました.
というのも私はポスドク時代,森さん(*7),津田さん,山本さん達と
一緒にSSSAT(*8)開発に没頭しており,今回DCAMの撮った写真は
2006年に我々が撮ることを目指したものだったからです.
SSSATでは姿勢制御系を担当しており,ロケットから分離直後に
展開のシーケンスを走らせ,展開後の写真を撮る予定でしたが
そのミッションをIKAROSが代わりに達成してくれました.

もうすぐ「通信不可帯(*9)」に入りIKAROSにとって難しい時期が
続きますが,なんとか通過できるように準備を頑張りますので
今後ともよろしくお願いいたします!


あとちょっとだけ,どうでもいい自分のことを書きます.

自分は広島で三十○年前に生まれました.広島大好きです.
広島風お好み焼き(*10)のことを広島焼きと言われるのが嫌です.
ビール(*11)とお好み焼きがあれば生きていけます.家では広島弁(*12)です.
宇宙のことに興味をもったのは,幼稚園の時に買ってもらった
図鑑を見てからです.そんなこともあったので最近息子に図鑑を
買ってあげましたが,「宇宙」よりも「昆虫」に興味を持ったみたいで,
最近カブトムシ(呼称: かぶちゃん)に夢中です.

本当にどうでもいいですね…
乱筆乱文お許しください.

--
*1: 最近英語でしゃべり始めた我がチームのアイドル.通称イカ坊.
無茶ブリに味をしめている為,そのうち痛い目にあうと思われる.
*2: 電波の受信レベルが低いときに,変調のON/OFFで通信をする方法.
*3: IKAROSチーム一の大食漢.「なっなにー!」が口癖.仕事が早い.
*4: 津田さんに勝るとも劣らないお菓子好き.先輩の私に結婚式2次会の
幹事を頼んでくるという暴挙を行うが,幸せそうだから許す.
*5: ツケメン.実際ツケメンは好きらしい.私生活を語らない.
TVで彼女がいることが判明.でもそれ以上語らない.
*6: タフガイ.最近トライアスロンもやるらしい.新婚さん.
*7: IKAROSチームの長.優しい口調で頼みごとをしてくる.
口癖は「ねぇねぇ,ちょっといいかな?」.断れない…
*8: 2006年にM-V-7号機のサブペイロードとして打ち上げられた
超小型のソーラー電力セイル実証衛星.
*9: IKAROSのアンテナが地球方向を向かない姿勢をとる期間.
*10:この上なくビールと合う至高の食べ物.
*11:心の友.明日への活力.中性脂肪の素.
*12:奥さんには不評.最近娘が私の口調を真似するのが悩みの種.

Category: Operation
Posted by: IKAROS
今日は通信不可帯運用に向けて,ビーコン運用と自律姿勢制御の試験を行いました.
ビーコン運用は,テレメトリも受信できないような通信状況の厳しいときに行うことを想定した
運用法です.
モールス信号のように,電波の強度の強弱で,IKAROSの姿勢や電圧などのデータを
表すよう,IKAROSに予めプログラムします.
運用室では,その受信レベルの強弱の羅列をみて,データを解読していくのです.
ここ数日,このビーコン運用の試験をやっています.チームメンバーの中には,
ノイズだらけの電波強度のグラフをみて,16進数のデータを言いあてられる人も出てきました.
自動デコードソフトウェアも用意しているのですが,人間の方が解読精度が良かったりします.
IKAROSメンバーは,また新たな心眼を手に入れつつあります...(Y)

8/26のIKAROS
太陽距離: 1.00AU
地球距離: 31401035km, 赤経=-130.8°, 赤緯=-28.0°
金星距離: 0.48AU
姿勢:スピンレート=1.3rpm, 太陽角=26.0deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.00AU
Earth Distance: 31401035km, RA=-130.8deg, Dec=-28.0deg
Venus Distance: 0.48AU
Attitude: Spin Rate=1.3rpm, Sun Angle=26.0deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
IKAROSで実証している「ソーラー電力セイル」は
木星やトロヤ群小惑星といった外惑星探査をターゲットに考え出された
日本独自のアイデアです.

しかし,それだけではありません.
IKAROSの技術のいくつかは,超小型衛星にも応用できます.

超小型衛星は「CubeSat」の登場で一気に注目されるようになりました.
大学生が自分たちの手で10cm角の衛星を作り上げ,運用も行います.
IKAROSは金星探査機「あかつき」と相乗りで打ち上げてもらいましたが,
複数の超小型衛星も一緒に打ち上げられました.
そこで,超小型衛星の高機能化案について,2回に分けて紹介しましょう.

「薄膜太陽電池による電力確保」
通常,衛星は電力を得るために,構体に太陽電池を貼り付けています.
より大きな電力を得ようとすれば,太陽電池パドルを展開します.
しかし,サイズの小さい衛星でこれを実施するのは大変ですので,
薄膜の太陽電池を広げるということが提案されていました.
IKAROSはまさにこれを実証したと言えます.
ただし,IKAROSでは姿勢を乱さないように膜をゆっくりと展開する方法を
採用しているため,展開機構が比較的複雑です.
一方,IKAROSでは,万が一,膜が展開機構に引っかかった場合に備え,
膜の拘束を解放して,一気に遠心力で広げるというバックアップ展開を
用意していました.
バックアップ展開だけであれば展開機構は非常にシンプルになります.
超小型衛星で追加の電力を得るため薄膜太陽電池を広げる場合には,
このような展開方式が候補になると思います.(O)


8/25のIKAROS
太陽距離: 1.00AU
地球距離: 31285520km, 赤経=-131.2°, 赤緯=-28.0°
金星距離: 0.49AU
姿勢:スピンレート=1.3rpm, 太陽角=26.0deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.00AU
Earth Distance: 31285520km, RA=-131.2deg, Dec=-28.0deg
Venus Distance: 0.49AU
Attitude: Spin Rate=1.3rpm, Sun Angle=26.0deg

今日は何の日?:
 あっ,日付が変わって誕生日だー! v(^_^)v

Category: Operation
Posted by: IKAROS
今日は、運用開始前からのタイムラインによる姿勢変更、運用中は、来たる
べき通信不可帯運用のための準備として、現在IKAROSに登録されている
マクロ機能(一つの指令を実行することで組み合わされた複数の別の指令を
順番に実行していってくれる便利な機能)の変更登録などを行いました。
(イカロス君も元気に時間通り動いてくれました♪)

IKAROSと通信できる速度もすごく遅くなってきているので、変更登録のため
に送信したものが、ちゃんとIKAROSで正確に受け付けてくれたかを確認する
作業にも時間がかかって大変です。

このような作業がまだ何日か続きますが、ミスをしないように、がんばって
乗り切りたいと思います。 (KY)



8/24のIKAROS
太陽距離: 1.01AU
地球距離: 31158414km, 赤経-133.0°, 赤緯=-27.9°
金星距離: 0.50AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=25.6deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.01AU
Earth Distance: 31158414km, RA=-133.0deg, Dec=-27.9deg
Venus Distance: 0.50AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=25.6deg



P.S.
まだまだ暑い日が続きそうですが、皆さん熱中症にはお気をつけください。
IKAROSメンバーなんて、そうでなくても寒い運用室でひと夏過ごしたのだから
外に出て倒れぬよう・・・。(自分自身もですね)





今日は何の日?:
 『光衛星間通信実験衛星(OICETS):きらり』及び『小型科学衛星(INDEX):れいめい』が打ち上げられた日(2005(平成17)年8月24日)
 バニラヨーグルトの日(だそうです)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
 本日はレンジング,姿勢変更を実施しました.通信不可帯に向けて姿勢を調整しながら,保存されているデータをダウンリンクしたり,RCDのコマンドを登録したりと徐々に忙しくなってきました.通信不可帯を安全に渡るためには所定の姿勢にしておくことが重要なのですが,明日からは効率よく姿勢変更運用するために運用が始まる前(AOS前)から姿勢制御を始めます.
 タイムラインで実行開始時刻を登録しますので,臼田局との通信が開始される前には既に姿勢制御が始まっていることになります.イカロス君ちゃんと時間通り動いてね.(H)

8/23のIKAROS
太陽距離: 1.01AU
地球距離: 31026550km, 赤経-133.0°, 赤緯=-27.8°
金星距離: 0.51AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=23.0deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.01AU
Earth Distance: 31026550km, RA=-133.0deg, Dec=-27.8deg
Venus Distance: 0.51AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=23.0deg



今日は何の日?:
 ・三陸大気球を利用してソーラーセール膜展開の計測実験成功
 ・乳酸菌の日
 ・アメリカで「スーパー301条」が成立
Category: Operation
Posted by: IKAROS
IKAROSは今日も通信不可帯に向けた準備の一環で,今日も姿勢制御を行いました.
制御の方向は,太陽方向,かつ,天球上の北の方向 です.
通信不可帯については,8/18のblogでRさんが紹介していましたが,1週間以上
通信不能の状態になるので,IKAROSが自律的に,安全な姿勢を維持してくれる必要が
あり,運用の大きなヤマバになります.
Rさんが紹介していたビーコン運用など,この期間中は少し通常はやらないトリッキーな運用が
行われますので,それについては,随時紹介していきますね!

ところで山本さんが自己紹介をしましたね.
ご自身で書かれていたとおり,この方は打ち上げ直前の激務のときににご結婚された
強者です.しかしイカロス君はそんな時期にも,自分が宇宙へ飛び立つために,山本さんを
まったく手放してはくれなかったのです.
そこでイカロス君に代わって,IKAROSチームメンバー一同からひとこと:
おくさま,大切な時期に旦那さまを仕事で忙しくさせてしまってゴメンナサイ!m(_ _)m
(Y)

8/21のIKAROS
太陽距離: 1.01AU
地球距離: 30739425km, 赤経=-132.7°, 赤緯=-27.7°
金星距離: 0.53AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=24.0deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.01AU
Earth Distance: 30739425km, RA=-132.7deg, Dec=-27.7deg
Venus Distance: 0.53AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=24.0deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
ソーラーセイルのアイデアは約100年前からありましたが,
これまで実現できなかった理由の一つに
「帆となる膜を作れなかった」ことがあげられます.
そこで,今回は膜製作の秘話について紹介しましょう.

「IKAROSの膜は片側にアルミ蒸着された7.5ミクロンの
 ポリイミド樹脂で構成されています.」

ソーラーセイルは宇宙空間で燃料を使わなくても
太陽の光を受けて進んでいける,というのがウリです.
膜が重くなると「燃料を搭載した方がマシ」となり本末転倒です.
IKAROSの膜厚は,なんと髪の毛の太さの1/10しかありません.
しかも,厳しい宇宙環境に耐えられるポリイミド樹脂を採用しています.
これ以外の樹脂であれば,紫外線や放射線等によって,
すぐにボロボロになってしまうでしょう.
また,ポリイミド樹脂は薄黄色であり,向こうが透けて見えますが,
太陽光を反射しやすくするため,IKAROSの膜の太陽面は
アルミニウムを吹き付けてあり,銀色の鏡のようになっています.
(http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_channel/pdf/presskit0506.pdf
 の6ページの下の写真を参照してください)

「IKAROSの膜は接着剤で貼り合わせて作られています.」

実はこの接着剤が「くせもの」です.
接着剤は宇宙空間でアウトガスを発生するため,
観測機器に付着して性能を劣化させる恐れがあります.
また,せっかく耐宇宙環境性に優れたポリイミド樹脂を使っていても
接着剤の耐久性で寿命が決まってしまいます.
(もちろん,イカロスの翼のロウよりはずっと長持ちします・・)
接着剤の重量も無視できませんし,接着作業も大変です.
そこで,IKAROSでは,将来を見越して接着剤を使わなくても
加熱することで融着するポリイミド樹脂の開発に挑戦しました.
打上げまで2.5年という厳しい制約にもかかわらず,
なんとか間に合わせて,実際に膜の一部で使用できました.
(ポリイミド樹脂のシェアのほとんどは日本のメーカが占めていて,
 技術協力体制ができていたからこそ実現できたと言えます)

「膜作業は学生君のチームワーク・根性です.」

膜の試験を行うたびに,膜を広げたり畳んだりする作業が発生します.
1辺14mの巨大な超薄膜を取り扱うのは並大抵のことではありません.
実は,膜の製作・試験・巻き付け等の膜作業は,多数の学生君たちが
熱心に作業を行ってくれたおかげで実現できました.感謝感謝です!
何事も最後は,地道な努力がものを言うのだと実感しました.
(ちなみに,膜作業中に膜に亀裂が生じることがありますが,
 一ヶ所ずつ確実にテープで補修します)

これらの秘話も踏まえて,改めて膜が開いた分離カメラ画像を見ると,
ソーラーセイルの長い歴史を感じずにはいられません・・(O)


8/20のIKAROS
太陽距離: 1.02AU
地球距離: 30584262km, 赤経=-133.1°, 赤緯=-27.7°
金星距離: 0.54AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=29.7deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 30584262km, RA=-133.1deg, Dec=-27.7deg
Venus Distance: 0.54AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=29.7deg

Category: Member
Posted by: IKAROS
IKAROSチームの山本高行(やまもとたかゆき)です.

実は今週から観測ロケットの打ち上げ準備のため,内之浦に来ています.
出張先でイカロス君から無茶ぶりを受けるとは思いませんでした.
ちなみにこの夏は,内之浦からS-520-25号機が打ち上げられます.
http://www.isas.ac.jp/j/topics/topics/2010/0809.shtml
私の主な仕事は風を計測して,ロケットの軌道計画を立案するのですが,今回は早朝5時の打ち上げなので,毎朝4時前に起きて,打ち上げ時刻の5時に風計測のためのゾンデを放球しています.

私の専門は軌道計画や誘導制御なのですが,ソーラー電力セイル絡みでは人材不足のためSSSAT(注1)の頃から推進系を担当しています.IKAROSではさらにシステム安全や(主に「あかつき」側から)H-IIAロケットとの軌道インターフェースを担当しました.システム安全とは,地上試験中からロケットによる打ち上げまで,人や施設,ロケットなどに危害を与えないように,設計・製造の妥当性や試験手順を検討して,事故の起こらないようにする一連の作業のことを言います.IKAROSはピギーバック扱いなので,主探査機である「あかつき」に危害を加えないようにするのも大事です.イカロス君があかつき君に噛みたかったけど届かなかった,と言っているのはこのことですね.

自己紹介ということで,簡単な経歴をしましょう.
修士の頃から学生として宇宙科学研究所(以下,宇宙研)で研究をしていました.このころは主に「はやぶさ」の小惑星タッチダウンシミュレータ(実態は高所作業車)の制御に関する研究を行っていました.
その後,一度民間会社に就職したのですが,宇宙開発への夢を捨て切れず退職して再び宇宙研で博士課程へと進みました.博士課程では,スペースプレーンの軌道最適化,誘導制御に関して研究を行ないました.
一年間ポスドクとして過ごした後,運良く中途採用に受かり,JAXA宇宙研に配属されました.子供の頃からの夢だった宇宙開発の現場についにたどり着き,趣味と実益を兼ねられるというのは,とても幸せなことです.

しかしどんな仕事でも同じだと思いますが,宇宙開発にも厳しい面が存在します.3月に結婚したのですが,その一週間後から約二ヶ月(途中一週間ほど間がありますが)に渡ってIKAROS打ち上げのため出張となりました.しかもその出張中に祖父が急に亡くなったとの連絡を受けました.とても可愛がってもらっていたのですが,孫の中で私だけが葬式に参列することができませんでした.そんなこともありIKAROSが順調に航行を続けているのは,大変励みになります.

さて宇宙以外の趣味もいくつかあります.その中でも最も時間を割いているのはマラソンです.年に1,2回旅行を兼ねてフルマラソンを走るのですが,昨年はボストンマラソンでサブスリー(注2)を達成しました.まだ次回どこで走るか決めていないのですが,今募集中の東京マラソンに出てみたいです.なにせこれまで4年連続抽選漏れなので,来年こそはという思いです.

最後に,IKAROSが途中で宇宙研からJSPEC(注3)に移ったにも関わらず,チーム内でJSPECの併任になっていないのは私だけです.なので津田さんがIKAROSのサブリーダというのを,このブログで初めて知ったというのは内緒です.

(注1)2006年にM-V-7号機のサブペイロードとして打ち上げられた超小型のソーラー電力セイル
(注2)42.195Kmを3時間以内で走ること
(注3)相模原キャンパスにある月・惑星探査プログラムグループ.宇宙研とは別組織.
Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日の運用では,レンジング,薄膜太陽電池計測,RCD制御を実施しました.
また,9月頃に予定されている「通信不可帯」に向けて,ビーコン運用試験も実施しました.

IKAROSのスピン軸方向と,IKAROSから見た地球方向のなす角を「地球角」と呼びますが,
IKAROSは飛んでいる軌道の関係上,現在,地球角が50度->60度->...と90度に近づきつつあります.
9月頃に地球角が90度に近くになると,セイルのアルミ蒸着面とアンテナの電波が干渉して,通信しづらくなります.
これを「通信不可帯」と呼んでいます.
(通信不可帯を通過した後は,再び,通信できる期間が数ヶ月以上続くことになります)

通信不可帯が近づくにつれて,通信できるビットレートが徐々に下がっていき,
ついにはしばらくテレメトリが取得できない期間に入ってしまうのですが,
通信不可帯に入るぎりぎりまでIKAROSの状態を知るために,「ビーコン運用」という手段をとります.
ビーコン運用の詳細についてはまた別の機会に解説したいと思いますが,簡単に説明すると,
電波のON/OFFによって探査機の状態を(とても遅いビットレートですが)地上に伝える方法です.
今日は,この「ビーコン運用」機能が正しく動作するかどうかの試験を行いました.

ビーコン運用も含めて,通信不可帯を無事に通過するため,着々と準備を進めているところです(R).

P.S.
ちなみに自分も,Yさんと同じく,甲殻類よりも断然ニク派です.
(そんなことだから,中性脂肪が落ちないんですが...)

8/18のIKAROS
太陽距離: 1.02AU
地球距離: 30251023km, 赤経=-133.9°, 赤緯=-27.5°
金星距離: 0.56AU
姿勢:スピンレート=1.9rpm, 太陽角=32.2deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.02AU
Earth Distance: 30251023km, RA=-133.9deg, Dec=-27.5deg
Venus Distance: 0.56AU
Attitude: Spin Rate=1.9rpm, Sun Angle=32.2deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
Yです.
だいぶ以前(8/9)にKYさんに,コヒーレントモードの説明を(ムチャ)振られたので,
ちょっと(いまさら...)説明してみます.

地球とIKAROSの相対速度を知るためには,IKAROSから出ている電波の周波数が
ドップラー効果で変化する量を知る必要があります.
そのドップラーを正確に計測するためには,周波数そのものがとても安定している
必要があるのですが,IKAROSのような小さな探査機に搭載できる送信機は,性能に
限度があります.だから単にIKAROSから発射される電波の周波数を測っているだけでは
よい精度は得られないのです.

そこでどうするか.まず地上から大きなアンテナを使って非常に安定した周波数の信号を
IKAROSへ送ります.IKAROSはその信号を,単純に(周波数変換だけして)折り返します.
そうすると,地上と同じ周波数安定度の信号を,IKAROSから発射した電波として
受信することができます.これがコヒーレントモードというわけです.

ところで,私は昨日まで数日お盆休みをもらいました.運用をしていると夜がおそくなるので
妻や娘との会話は朝だけの日が続いていたのですが,久しぶりに24時間以上連続的に
家族との時間を過ごすことができました.
ときどき,こうやって家族と周波数を同調させないといけませんね.
コヒーレントモード,重要です!(Y)

PS. ちなみに自分は,エビカニより断然ニク派です.

8/17のIKAROS
太陽距離: 1.02AU
地球距離: 30073089km, 赤経=-134.3°, 赤緯=-27.5°
金星距離: 0.57AU
姿勢:スピンレート=1.9rpm, 太陽角=31.7deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.02AU
Earth Distance: 30073089km, RA=-134.3deg, Dec=-27.5deg
Venus Distance: 0.57AU
Attitude: Spin Rate=1.9rpm, Sun Angle=31.7deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
最近,広報関連でIKAROSについて説明する機会が増えました.
この中で特によく聞かれる質問の一つを紹介しましょう.

ずばり 「膜が破れることはないの?」 です.

膜は遠心力で引っ張られますが,展開・展張時に想定される引っ張り力に対し,
数倍の引っ張り試験を事前に地上で実施しましたが,問題ありませんでした.

一方で,浮遊物体が衝突するというリスクがあります.

まず,ロケットの上段部や人工衛星の破片などのスペースデブリについては,
地球周回軌道には多数ありますが,惑星間軌道では無視できます.
(ちなみに,一定サイズ以上のデブリについては,軌道追尾されていて
 宇宙機が接近すると事前に警告が出されます)

次に,小惑星や彗星などから生じた天然のダストについては,
詳細な分布は分かっていませんが,一般に大きいものほど衝突頻度は少なくなります.
微小なものであれば,衝突しても膜が破れる心配はありません.
逆にIKAROSではオプション機器(ALDN:アラジン)において,ミクロンオーダのダストを
膜の一部に貼り付けた圧電素子で観測し,分布を明らかにすることを目指しています.
しかし不運にも大きなダストが衝突すれば,膜に亀裂が生じます.
この亀裂が進展し,膜の端まで達すると膜が完全に裂けてしまい,太陽帆の性能が大きく
損なわれますが,亀裂進展を防止できれば,被害は最小限にとどめることができます.
そこで,IKAROSでは,膜の端などを補強して,亀裂が一定のエリアを超えて進展しない
ようにしました.

以上のことから,膜が破れて太陽帆が機能しなくなることはない,と考えています.

さて,夏休みということで実家に帰っておいしいものをたくさん食べてきました.
日本には素晴らしい食べ物がたくさんありますが,エビとカニにかなう食べ物はない
と勝手に信じています.
いや,エビとカニには目がないという同志は日本に数百万人はいるはず・・
「エビ・カニ最高!!」
ただし,「あなたはエビとカニのどっちが好きなの?」
という質問は眠れなくなるからしないでほしい・・(O)


8/16のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 29887725km, 赤経=-134.7°, 赤緯=-27.4°
金星距離: 0.58AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=31.1deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 29887725km, RA=-134.7deg, Dec=-27.4deg
Venus Distance: 0.58AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=31.1deg


今日は何の日?:
 カニの日は6月22日である.
 エビの日がないのが残念で仕方がない・・

Category: Operation
Posted by: IKAROS
今日は、レンジング、再生レンジング、各種データの再生、VLBI運用などを
行いました。

明日(8/15)の運用はお休みです。

IKAROSの運用では、時刻指定コマンド(実行時刻を指定した指令)を多く
使用します。
これは、主にIKAROSが臼田局と通信していない時でもIKAROSを予定した
スケジュール通りに動かすための機能です。(ある特定の時刻に、IKAROS君
ゆっくり右向いてねぇ~。とか、ちょっと右耳のあたり寒そうだから、この時刻
から一定の時間ヒーター入れなさいねぇ~。とかの動きをIKAROS君に覚え
こませるためのものです:7/30のblogにてT2さんも説明してくれてますね)

しかし、IKAROSが臼田局と通信している時に、この時刻指定コマンドではなく、
リアルタイムに送信するコマンドで特定の時刻に実行させたいこともしばしば
発生します。
この場合、日に日に変化するIKAROSとの距離と、コマンドを送信してから
IKAROSに到達するまでの時間を毎日確認し、実行させたい時刻にコマンドが
IKAROSにちょうど到達するように調整しながら運用を行います。
この運用は、コマンドをIKAROSが受け取って正常に動作していても、その情報が
運用している私たちに届くのは、コマンドがIKAROSに到達する時間と同じだけ
かかりますので、その情報を待ってから次の作業を行う場合、限られた(許された)
時間内で作業が終わらない場合もあります。
このため、IKAROSは今この動きを始めた。次は3分後に状態が変わるので
4分後に元の動きに戻るようにしよう。というIKAROSの動きを頭の中で描き
ながら作業する必要があります。(KY)


P.S.
この作業って、結構気を使うんですよ~。T2さんも今週この作業で結構気疲れ
してしまったようです。
T2さん、体力落ちてるところありがとうございました。
えっ?! 「もっとこの作業したいっ!!」ってT2さんの心の声が聞こえている気がします。




8/14のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 29495113km, 赤経=-135.6°, 赤緯=-27.3°
金星距離: 0.60AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=29.4deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 29495113km, RA=-135.6deg, Dec=-27.3deg
Venus Distance: 0.60AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=29.9deg


今日は何の日?:
 月探査機「ルナ・オービター1号(NASA)」月周回軌道に乗った日(1966(昭和41)年8月14日)
 裸足(はだし)の記念日(だそうです)



Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日はレンジング,各種データの再生を行いました.
また,可視の終盤にVLBI観測を行っております.
そのため,通常の運用は早く終わったので早めのブログ更新です.

先にも書きましたように,IKAROSはゲインの低いアンテナでの運用ですので
地球距離が大きくなってきた現在,通信のビットレートはかなり低くしております.
そのため,同じデータでも,今では再生するのに非常に時間がかかってしまいます.
往復の電波の伝播時間も3分を超え,IKAROSが遠くにいることがよくわかります.

現在のIKAROSの運用は,スーパーバイザー(SV)と呼ばれる進行役と,
運用室でテレメをモニタする数人の運用室担当で回しております.
また,運用の前に手順書を作成する計画担当という係もあります.
あと学生さんが運用をお手伝いしてくれています.

今週ブログデビューしたKYさんは,スーパーバイザーを華麗にこなす方です.
名前はKYでもちゃんと空気読んで適切に運用を仕切ってくださいます.
たまに「アップリンク」を「アップリンコ」といって周囲を和ませてくれます.

自分はSVで管制卓に座って指示を出すより,運用室でテレメを見て
コーヒー飲んで,お菓子食べて,中性脂肪貯めてる方が性に合っています.
でも油断していると,「SVから運用室.○○の状態を教えてください.」と
指令が飛んできて,あわててヘッドセットをつけることもしばしばです.

ブログコメントで私の体調を心配してコメントをいただいている方,ありがとうございます.
一応生きておりますし,今週もちゃんと出勤しIKAROS運用にもでてきてますので
ご安心いただければと思います.にんにく注射はまだ打っていませんが.(T2)

8/13のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 29288113km, 赤経=-136.0°, 赤緯=-27.2°
金星距離: 0.61AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=29.4deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 29288113km, RA=-136.0deg, Dec=-27.2deg
Venus Distance: 0.61AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=29.4deg
Category: Operation
Posted by: IKAROS
今日は、VLBI運用、レンジング、モニタカメラの撮像実験を行いました。
モニタカメラの画像データは明後日以降に取得する予定です。
ちなみに明日の運用はお休みです。

IKAROSとの通信を担当してくれている臼田局(JAXA臼田宇宙空間観測所)
のアンテナは、直径64mのお~~~~っきなパラボラアンテナです。
アンテナの真下に立つと、この大きさにはいつも感動してしまいます。

皆さんも軽井沢等の避暑地に行かれる機会がありましたら、ぜひ少し
寄り道して頂いて臼田局の見学などいかがでしょうか?

長野県佐久市臼田(旧臼田町)の街中からは10数km以上山奥に入っていく
のですが、運がよければ道中で鹿さん親子とご対面できます。
ただし、途中道幅が狭いところがありますので車でご来所される方は十分に
運転お気をつけください。(鹿さんに威嚇されたことがあるKY)

臼田局(JAXA臼田宇宙空間観測所)の情報

http://www.jaxa.jp/visit/usuda/index_j.html

P.S.
佐久市(別名:銀河連邦サク共和国)の臼田地区には、日本の海岸線から
一番遠い地点があります。(訪れた方には自己申告制で到達認定書が発行
されるそうです。)


8/11のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 28853476km, 赤経=-136.8°, 赤緯=-27.0°
金星距離: 0.63AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=28.2deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 28853476km, RA=-136.8deg, Dec=-27.0deg
Venus Distance: 0.63AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=28.2deg



今日は何の日?:
 ひまわり2号が打ち上げられた日(1981(昭和56)年8月11日)
 ガンバレの日(だそうです。でも、T2さんは無理しないでくださいね♪)


Category: Operation
Posted by: IKAROS
 本日はレンジングとVLBIメインの運用でした.
 今日は臼田の天候が悪く,今までよりもビットレートを下げて運用をしました.これから地球とIKAROSとの姿勢も徐々に悪くなり,データ通信が厳しくなっていきます.
 今週の軌道決定週間を終えると,今後は来月に迎える地球との通信が厳しくなる領域に向け,運用内容も工夫しながら進めていくことになります.気を引き締めていかなければいけませんね.(H)

 ちなみに,T2さんはまだにんにく注射を打っていないようですが,スイカロス君帽子をかぶって少し元気が出たようです.


今日のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 28626190km, 赤経=-137.2°, 赤緯=-27.0°
金星距離: 0.65AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=27.8deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 28626190km, RA=-137.2deg, Dec=-27.0deg
Venus Distance: 0.65AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=27.8deg

08/10 19:31 : スイカロス君

Category: Member
Posted by: IKAROS
 本日は大きいけど可愛い差し入れが届きました.開けてびっくり,スイカロス君でした.今は冷蔵庫の中でじーっと待機中です.
 実際の軌道上のイカロス君.太陽角度(0°が太陽正対)が大きくなるとセイルが巻いてあったミッション部にも光が入るようになり,イカロス全体が温まる傾向になります.正確には太陽に対する断面積が大きくなるので,太陽光を受ける面積が大きくなるのですね.それでもセイルが巻いてあった部分の温度はまだまだマイナス,冷蔵庫の中にいるイカロス君の方がよっぽど暖かいですね.
また,別の方からもアンテナに似たお菓子を頂き,運用室では大変喜んでいます.
 応援してくださる皆様,いつもありがとうございます.

 あと,このブログにはコメントは付けられないのですが,clap機能というのがあり,そこにメッセージを書けるようになっています.こちらから返信することはできないのですが,皆様から頂いたメッセージは全て読ませて頂いています.暖かい応援メッセージあり,質問あり,ツッコミもありと,運用の合間に読むのをスタッフ一同楽しみにしています.本当にありがとうございます.

 今後ともIKAROSの応援よろしくお願い致します.(H)

PS.スイカロス君のかぶっていた帽子はT2さんが喜んでかぶっていました.


スイカロス君とは別の方から届いたお菓子も一緒に記念撮影.右のおつまみは以前頂いたものですが,これから食いしん坊たちの胃に収まるために登場しました.
IKAROS_差し入れ0810_01.jpg


スイカロス君のワンショット
IKAROS_差し入れ0810_02.jpg

08/09 21:11 : 今日のIKAROS(8/9)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
先週土曜日(8/7)で予定していた一連の姿勢変更作業を終え、本日は推進系の推薬残量推定運用、RCD運用、レンジング、VLBI運用を行いました。
IKAROSは、臼田局との間でコヒーレントモードという状態で通信を行っています。

通常、IKAROSが今どこを航行中かというのは、時々刻々と変化するIKAROSとの距離、距離が変化する度合い、臼田局から見えた方向をもとに算出します。

距離が変化する度合いは、IKAROSから送信された電波の変化していく状態を調べるとわかるのですが、IKAROS自身から送信される電波の性能は、打上げ前に取得した情報しかないため、実際に宇宙にいるIKAROSが、今現在どんな性能を発揮しているか知るためには限界があります。

このため、このIKAROSの距離が変化する度合いをもっと精度よく決めるためのモードとして、コヒーレントモードを使います。
これは、臼田局から発信された送信電波をIKAROSがそのまま利用しながら折り返して臼田局に送信することで、臼田局側から見ると自分が送信した信号を基に返ってきた信号を純粋に比較できるので、前述の単純にIKAROS自身から送信された電波の変化していく状態を調べるよりは精度良くIKAROSの居場所をつきとめることができるわけです。

このあたりの説明は、Yさんの方が、もっとわかり易く説明してくれるはず。(KY)


P.S.
T2さん、ニンニク注射早く打った方がいいですよ♪


8/9のIKAROS
太陽距離:1.04AU
地球距離: 28445688km, 赤経=-137.5°, 赤緯=-26.9°
金星距離:0.65AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=27.3deg


今日は何の日?:
 2004年8月9日午後5時15分に、S-310ロケットを利用した太陽帆船用の薄膜帆が宇宙で展開された日

08/07 21:23 : 今日のIKAROS(8/7)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日も昨日に引き続きスピン軸方向制御とスピンアップを行いました.
制御後レンジングとVLBIも実施しております.

先に書いたかもしれませんが(最近物忘れが・・・),
推進系によるスピン軸方向制御はラムライン制御という方法を使っています.
これはスピン衛星やスピンしているロケットの姿勢制御では一般的な方法です.
太陽センサの視野を太陽が横切る瞬間から時間を測り始め
地上側であらかじめ指定したタイミングに噴射を行うことで,
所定の方向にトルクを出すことができるというものです.
分かりにくいですね.すみません.
要は,毎周回同じタイミングでスラスタを噴射することで姿勢を変えております.

姿勢制御は今日までで,来週は基本的には制御を行わないで
レンジングやVLBI計測を行い,ソーラーセイルの性能を確認する予定です.

そういえば,今週は津田さんが海外逃亡中でした.
皆「津田さんが帰ってくる前に食べておこうぜ,うしし」とお菓子を食べておりました.
差し入れを下さった方々,改めてありがとうございます.

ところで,先日,ブログの更新も忘れて机で寝てしまったOさん.
本日は運用の合間に,椅子で寝ておられました.相変わらず強靭な首骨です.
このOさんは,布団が横にあってもおそらく椅子で寝ます.そういう人です.
ただ,Oさんも疲れがたまっておられるとおもいますので,
今日くらいはゆっくり布団で寝ていただきたいものです.

明日はIKAROSの運用はお休みです.私もお休みさせていただきますが
体を休めるか,子供たちとどこかに遊びに行くか悩み中です.子供の体調次第ですが.
何はともあれ,家に帰ったらまずビールを飲みたいと思います.
体調悪くても少しくらいなら「酒は百薬の長」ですよね?中性脂肪?知りません.(T2)

8/7のIKAROS
太陽距離:1.04AU
地球距離: 27965309km, 赤経=-138.3°, 赤緯=-26.7°
金星距離:0.67AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=26.2deg

08/06 21:35 : 今日のIKAROS(8/6)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日は昨日に引き続き姿勢制御(スピン軸方向制御)を行いました.
また,タコロス君,もとい,イカロス君が言っているようにスピンアップも行いました.
推進系による姿勢制御は明日まで行う予定です.
太陽角(スピン軸と太陽方向の間の角度)は運用以来最大の25.6°に達しています.
今後徐々に太陽角を増やしていきます.

船瀬さん,すごい長い自己紹介を書いてくれましたね.
余計なことを!というのは冗談で,船瀬さんはとても真面目です.
きっと,今後もこのブログ上で色々な話を聞かせてくれると思います.
私もワクワクして船瀬さんの話を待っております.

一方でブログを書いている途中で机で寝てしまう人もいましたね.
Oさんが机で寝るというのは,ごく普通のことですのでだれも驚きません.
自分は机で寝ると首と背中が痛くなるのでやりませんが
Oさんは強靭な背骨と首の骨を持っているんですね.

このところずっと体調が悪いですが,今週もあと一日.
明日の運用を気力で乗り切って日曜日は体を休めたいと思います.
うちの子供たちも熱を出してしまいましたが,皆様も体を大事にして
暑い夏を乗り切っていただければと思います.
ちなみに,冷蔵庫で冷やしたゼリーを頭に載せるとすごく涼しいです.(T2)

8/6のIKAROS
太陽距離:1.04AU
地球距離: 27715368km, 赤経=-138.7°, 赤緯=-26.7°
金星距離:0.68AU
姿勢:スピンレート=1.8rpm, 太陽角=25.6deg

08/06 06:40 : 今日のIKAROS(8/5)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日も推進系による姿勢制御を行いました.

最近のブログで話題となっていますが,IKAROSの推進系は気液平衡スラスタを
採用していて,燃料を液体で貯蔵して蒸気を噴射します.
一般に,液体から気体に変化するときに,気化熱を必要とします.
IKAROSでは,この熱エネルギーをヒータでまかなっています.
さらに,このヒータ電力は,太陽光発電により供給します.
よって,IKAROSの気液平衡スラスタは太陽の光エネルギーで駆動していることになり,
ソーラーセイルと合わせてハイブリッドな推進系を構成していると言えるのです.

IKAROSの次の計画では,高性能なイオンエンジンを搭載します.
このための電力をソーラーセイルに貼り付けた太陽電池でまかなうというのが,
本来のハイブリッド推進のアイデアです.
太陽光によるハイブリッド推進という点においても,
IKAROSは一部先行実証に成功したことになります.

というブログを書いているうちに机で眠ってしまいました・・
おっといけない,アップロードしなくちゃ・・(O)

8/5のIKAROS
太陽距離:1.04AU
地球距離: 27459682km, 赤経=-139.1°, 赤緯=-26.6°
金星距離:0.70AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=24.3deg

08/05 23:54 : 自己紹介(船瀬)

Category: Member
Posted by: IKAROS
IKAROSチームの船瀬 龍(ふなせ りゅう)です.

突然イカロス君からの無茶ぶりを受けたので,慌てて自己紹介原稿を書きました...
昨日はちょうど休暇を取っていたのですが,どうやら,そういう油断している時に限って無茶デブリが飛んでくるようですね...

自己紹介ということで,まずは私がIKAROSプロジェクトに携わるまでの話をしたいと思います.多少長くなってしまいますが,それぞれに超意欲的なIKAROSプロジェクトのメンバーが,どのようなモチベーションでプロジェクトに携わっているのか,ひとつの例として見てもらえればと思います.

森さんの自己紹介にもありましたが,私も「深宇宙探査機を作りたい」と思い続けて大学時代を過ごしてきました.
きっかけは,高校時代(たしか高校3年生の時)に新聞で見た,火星探査機「Mars Pathfinder」が地球に送ってきた火星の画像です.火星の荒涼とした大地と,そこでひとり仕事をこなすローバーの姿に愕然とするとともに,長期間の開発から,打ち上げ,火星着陸を経て,ローバーがちゃんと動いて,画像が地球に届いた瞬間のプロジェクト関係者の気持ちを想像するだけで鳥肌が立ちました.「こんなにエキサイティングな仕事は他にないだろう.是非味わってみたい」と思いました.
それまでは特にモノ作りにも宇宙開発にも全く興味がなかったのですが,地球からこんなに遠く離れたところでひとり仕事をし続けるこの探査機のことを単純に「かっこいい!」と思い,「どうやって動いているんだろう?」からすぐに「自分で作ってみたい」と思うようになりました.その日から,すっかり進路を変更し,航空宇宙工学の道に進むことになりました.

大学時代は,世界最小の超小型人工衛星CubeSat(http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/)の開発に明け暮れる毎日でした.そこでは,自分の手で人工衛星を作るという得難い経験を積み,「宇宙で動くモノを作る」ということの基礎を学びました.ちなみに,所属研究室の第一号衛星"XI-IV(サイ・フォー)"のプロマネが,現在同じIKAROSチームの先輩である津田さんで,私は二号衛星"XI-V(サイ・ファイブ)"のプロマネをしていました.
一方で,CubeSatプロジェクトに没頭しつつも,「地球周回ではなく深宇宙に行く探査機が作りたい」という思いも捨てがたく,自分自身の研究としては「宇宙機の制御」,特に,「宇宙機の自律化・知能化」をテーマに学位を取得しました.地球から遠く離れる深宇宙探査機にとって最も大事なのは,宇宙機が地球からのサポート無しに自分の判断で自分を制御する技術だ,と考えてのことです.

その後,大学院卒業時に「月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)」という,惑星探査プロジェクトを専門に行う部署がJAXA内に発足し,そこで研究するポジションを得て,しかもJAXAに来てすぐにIKAROSというとても挑戦的なミッションが立ち上がり,中心メンバーの一員として携わることになったのです.本当に幸運に恵まれた気がします.

私は,IKAROSでは,ミッション系機器全般と,姿勢制御系,液晶デバイスを担当しました.
「ミッション系機器」というのは,「ミッションを実行するための機器」という意味で,IKAROSでは,セイルの展開,画像による展開の確認,薄膜太陽電池の発電確認などを行うための機器のことを指します.
IKAROSチームにはあまり電気系に強い人がいなくて,「手作りで衛星作っていたんだからエレキのことはよく分かるでしょ?」的な流れで,いつのまにかミッション系のエレキはほとんど全て自分が担当することとなりました.
これが不幸?(いや,ある意味鍛えられたので幸運なのかも)の始まりでした.セイル展開という華々しいミッションも,それをコントロールする機器が正常に動かないとおじゃんです.人一倍心配症の私は,皆で「二次展開のダイナミクスが...」といった議論に興じている最中も,「このタイミングでドライバが動かなかったどうなる?」とか「この部品が壊れたらどうしよう?」といったことがちらつきます.設計から製作・総合試験・打ち上げまで,気の抜けない日々を過ごしていましたが,セイル展開と薄膜太陽電池発電確認まで無事に成功し,「動作して当たり前」というプレッシャーからようやく解放された気がします.
ちなみに私の年齢は30歳.学生さんを除くとIKAROSチームで最年少になりますが,最年少の人間にこんな事を任せてしまう宇宙研って,すごいところだと思います.
そういった裏方的な仕事とは別に,姿勢制御系や液晶デバイスの開発は本当にエキサイティングでした.ここでも苦労話は山ほどありますが,別の機会にしたいと思います.

いずれにしても,深宇宙探査に対する積年の思いを叶えることになった,私自身の初めての深宇宙ミッション「IKAROS」には,相当の強い思い入れをもって参加しました.大成功を収めることができて本当に良かったと思いますし,その成功を,次の木星探査ミッションへ確実につなげていくべく,決意を新たにしているところです.


…ところで,大学時代もJAXAに入社してからも,「宇宙機を上手く制御する方法」を追求してきた私ですが,家では,円満な家庭を実現するために,「奥さんに上手くコントロールされる方法」についての研究?を行っています.制御の研究者が必ずしも「上手い制御のされかた」を知っているわけではないですが,対象(相手=妻)の動作・ダイナミクス(考えていること・思考パターン)をよく理解することが重要であることは言うまでもありません.まだ結婚して一年目の新婚夫婦ですが,それまでの付き合いは長いので,だいぶ「制御のされかた」のノウハウ?が蓄積されてきております.(もちろん,普段は難しいことは抜きに,単純に新婚生活を楽しんでいますよ!)

ただ,結婚直後は,「頑張れば早く帰宅できることが分かった」などという「暴言」を某TV番組で吐いた私ですが,あっという間に仕事の忙しさに流されるようになり,今やすっかり結婚前の生活パターンに戻りつつあるのが,ここ最近の悩みですね.これも,「仕事と家庭に対する時間割り当ての最適化問題」として,エレガントに解いてみたい問題ですが,難しそうです.

きっとブログで私に無茶ぶりしたT2さんは,もっと上手に仕事をこなしつつ結婚生活も楽しんでおられるんだと思います.T2さんに自己紹介が振られたら,その辺りも是非うかがってみたいものです.

08/04 21:31 : 今日のIKAROS(8/4)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日も推進系による姿勢制御を行いました.
昨日と同じ回数噴射しました.

昨日Tさんが言われているようにIKAROSの推進系は気液平衡スラスタです.
蒸気圧を利用したスラスタなので,たくさん噴射すると推進系の温度が下がってきます.
スプレーをずっと噴射し続けると冷たくなるのと一緒ですね.
なので,温度が極端に下がらないよう,少しずつ噴射をします.
イカロス君が「噴きすぎちゃうとお腹冷えちゃうから」といっているのはこういうことです.

今度はイカロス君から船瀬さんに自己紹介の催促がきましたね.
船瀬さんは昨年ご結婚されましたが,忙しすぎて新婚生活はどうなっているのか
私も興味があります.そのあたりのことも書いてくれるのではないかと期待しております.

ここのところの疲労なのか,お腹を出して寝ているせいなのか
なんとなく熱っぽく,体がだるいです.夏風邪なのか,夏バテなのか.
なんとか日曜日まで気合いで乗り切ろうと思います.
皆様もお体お気をつけください.(T2)

8/4のIKAROS
太陽距離:1.04AU
地球距離: 27198430km, 赤経=-139.5°, 赤緯=-26.5°
金星距離:0.71AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=23.1deg

08/03 21:34 : 今日のIKAROS(8/3)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日も推進系による姿勢制御を行ないました.
今までで最大の噴射時間となりました.

IKAROSの推進系は気液平衡スラスタと呼ばれています.
もともとは2006年にM-V7号機のサブペイロードとして打ち上げられたSSSAT(ソーラー電力セイル実証超小型衛星)で初めて採用された方法です.
タンクの中に推進薬を液体として貯蔵し,自身の蒸気圧を利用して気体部分のみを取り出して,推力を得ます.
SSSATでは推進薬としてイソブタン(LPGの一種)を使用していましたが,可燃性であるため取り扱い性に若干の難がありました.
そのためIKAROSでは不燃性のHFC-134a(代替フロン)を推進薬として使用しています.
HFC-134aはカーエアコンの冷媒やダストブロワーとしても使われています.
ただこのHFC-134aも温暖化係数が高いため,将来的には使用が禁止される方向のようです.
IKAROS君がちびっていられるのも今のうちです.

IKAROSでは,タンク内デバイスや温度制御を工夫することで,気液分離を行ない気体部分のみを取り出す性能がSSSATの時よりもかなり向上しています.
当初,一日に噴射できる時間は40秒程度と想定していたのですが,この工夫が功を奏して,本日は合計160秒も噴射することができました.
この工夫については,また今度説明したいと思います.(T)

8/3のIKAROS
太陽距離:1.05AU
地球距離: 26931740km, 赤経=-139.9°, 赤緯=-26.4°
金星距離:0.72AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=23.4deg
Category: Member
Posted by: IKAROS
 30日(金),31日(土)と相模原キャンパスでは一般公開が催され,多くの方にご来場頂きました.なんと,金曜日に約14200名,土曜日に約19600人,合計で約33800人の来場だそうです!お陰さまでIKAROSブースも大繁盛で,スタッフが説明に追われていました.森さんなんてほとんど休憩もなく説明していましたね.
 ご来場頂いた皆様,誠にありがとうございました.

 IKAROSは第1会場に展開機構PMやパネルを,第4会場にソーラー電力セイル部の1/4フライトモデル(FM)スペアを展示したのですが,どちらも実サイズということで好評を頂いたようです.多くの方に興味を持って頂き,スタッフとしても嬉しい限りでした.重ね重ね御礼申し上げます.

 私は無茶ブリを受けませんでしたが,無茶ブリの被害にあったスタッフはいたのでしょうか?

 また,第4会場に天井から吊るしてあったセイルFMスペアですが,開発中からあのように拡がったところを見れる機会は滅多にないので,我々も改めてその大きさを実感しました.あの4倍のセイルが宇宙で拡がって飛んでいるところを想像するとすごいですね.実はK口先生はタイミングが合わずに見ることできず「実は僕,あれを一度も見たことないから見たかったよ」と残念がっておられました.

 応援してくださる多くの方のために,これからも無事に航海していって欲しいですね.スタッフ一同頑張ります.

 週末にかけて郵送や,手渡しで多くの贈り物を頂きました.既にいくつかは運用室の食いしん坊さん達に食べられてしまいましたが,運用室では大喜びでした.この場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 今後も引き続きIKAROSの応援をよろしくお願い致します(H)


一般公開

08/02 21:45 : 今日のIKAROS(8/2)

Category: Operation
Posted by: IKAROS
本日は推進系による姿勢制御を行いました.
久々の推進系運用でしたが,推進系運用の際はいつも
間違ったコマンドを打って逆方向に姿勢制御をしやしないかと少しドキドキします.
相変わらず姿勢制御はゆっくりなので,今週はずっと制御の予定です.

先週の一般公開は,本当にたくさんの方々に見学に来ていただきました.
熱心にご質問くださる方も多く,こちらも説明に熱が入りました.
IKAROSに関心を持って下さっている方々,本当にありがとうございます.
そういえば,「イカロス君はどなたですか?」とよく聞かれましたが
イカロス君はイカロス君です.中の人なんかいません.

そのイカロス君ですが
「いまは少しずつ太陽に近づいていて,地球の軌道よりも内側に入っているので,
うすださん見える時間が早くなってるみたいだよー」
と言ってますが,下記にあるように太陽距離は1.05AUですので,まだ外側ですね.
今後地球の軌道よりも内側に入っていく予定と言うのを間違えちゃったんですかね.
ただ,イカロス君の言うとおり,うすださんが見える時間は着々と早くなっております.
打ち上げ直後は運用が深夜だったことを考えると,かなり楽になってきてます.
特にうっちーさんのときは,可視が長くて大変だった記憶があります.

日が変わる前に帰宅して食事をとることもできるようになったので,
今後は健康体まっしぐらのハズです.中性脂肪もおさらばです.きっと.
食事と言えば,どんなに家に帰るのが遅くても,起きて食事を出してくれる
奥さんには頭が上がりません(T2)

8/2のIKAROS
太陽距離:1.05AU
地球距離: 26659740km, 赤経=-140.3°, 赤緯=-26.4°
金星距離:0.73AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角22.6deg