最近,広報関連でIKAROSについて説明する機会が増えました.
この中で特によく聞かれる質問の一つを紹介しましょう.

ずばり 「膜が破れることはないの?」 です.

膜は遠心力で引っ張られますが,展開・展張時に想定される引っ張り力に対し,
数倍の引っ張り試験を事前に地上で実施しましたが,問題ありませんでした.

一方で,浮遊物体が衝突するというリスクがあります.

まず,ロケットの上段部や人工衛星の破片などのスペースデブリについては,
地球周回軌道には多数ありますが,惑星間軌道では無視できます.
(ちなみに,一定サイズ以上のデブリについては,軌道追尾されていて
 宇宙機が接近すると事前に警告が出されます)

次に,小惑星や彗星などから生じた天然のダストについては,
詳細な分布は分かっていませんが,一般に大きいものほど衝突頻度は少なくなります.
微小なものであれば,衝突しても膜が破れる心配はありません.
逆にIKAROSではオプション機器(ALDN:アラジン)において,ミクロンオーダのダストを
膜の一部に貼り付けた圧電素子で観測し,分布を明らかにすることを目指しています.
しかし不運にも大きなダストが衝突すれば,膜に亀裂が生じます.
この亀裂が進展し,膜の端まで達すると膜が完全に裂けてしまい,太陽帆の性能が大きく
損なわれますが,亀裂進展を防止できれば,被害は最小限にとどめることができます.
そこで,IKAROSでは,膜の端などを補強して,亀裂が一定のエリアを超えて進展しない
ようにしました.

以上のことから,膜が破れて太陽帆が機能しなくなることはない,と考えています.

さて,夏休みということで実家に帰っておいしいものをたくさん食べてきました.
日本には素晴らしい食べ物がたくさんありますが,エビとカニにかなう食べ物はない
と勝手に信じています.
いや,エビとカニには目がないという同志は日本に数百万人はいるはず・・
「エビ・カニ最高!!」
ただし,「あなたはエビとカニのどっちが好きなの?」
という質問は眠れなくなるからしないでほしい・・(O)


8/16のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 29887725km, 赤経=-134.7°, 赤緯=-27.4°
金星距離: 0.58AU
姿勢:スピンレート=2.0rpm, 太陽角=31.1deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 29887725km, RA=-134.7deg, Dec=-27.4deg
Venus Distance: 0.58AU
Attitude: Spin Rate=2.0rpm, Sun Angle=31.1deg


今日は何の日?:
 カニの日は6月22日である.
 エビの日がないのが残念で仕方がない・・