本日も推進系による姿勢制御を行ないました.
今までで最大の噴射時間となりました.

IKAROSの推進系は気液平衡スラスタと呼ばれています.
もともとは2006年にM-V7号機のサブペイロードとして打ち上げられたSSSAT(ソーラー電力セイル実証超小型衛星)で初めて採用された方法です.
タンクの中に推進薬を液体として貯蔵し,自身の蒸気圧を利用して気体部分のみを取り出して,推力を得ます.
SSSATでは推進薬としてイソブタン(LPGの一種)を使用していましたが,可燃性であるため取り扱い性に若干の難がありました.
そのためIKAROSでは不燃性のHFC-134a(代替フロン)を推進薬として使用しています.
HFC-134aはカーエアコンの冷媒やダストブロワーとしても使われています.
ただこのHFC-134aも温暖化係数が高いため,将来的には使用が禁止される方向のようです.
IKAROS君がちびっていられるのも今のうちです.

IKAROSでは,タンク内デバイスや温度制御を工夫することで,気液分離を行ない気体部分のみを取り出す性能がSSSATの時よりもかなり向上しています.
当初,一日に噴射できる時間は40秒程度と想定していたのですが,この工夫が功を奏して,本日は合計160秒も噴射することができました.
この工夫については,また今度説明したいと思います.(T)

8/3のIKAROS
太陽距離:1.05AU
地球距離: 26931740km, 赤経=-139.9°, 赤緯=-26.4°
金星距離:0.72AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=23.4deg