No.200
1997.11

NTC   ISASニュース 1997.11 No.200

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能代ロケット実験場



 1989年当時の標記研究施設の中核はM-3SII型計画推進のために81・82年に建設された「真空燃焼試験棟」であった。この年は,同5号機用キックモータKM-Mの試作2号機の真空燃焼試験(5月)と来るべきM-V型ロケットを念頭に置いた新開発の推進薬,ケース断熱材およびLITVC2次噴射体の諸性能を検証するための基礎実験用TM-800TVCモータの真空燃焼試験(10月)が実施され,M-3SIIからM-Vへの架け橋の年となった。当時のNTC実験場長は,初代・倉谷教授の定年退官に伴う退任(86年3月)の後を引き継がれた第二代・松尾教授であった。

 翌90年,場長兼務の松尾教授を計画主任と仰ぐM-V型計画の正式起動と連動して,標記研究施設の拡充・再整備が集約的に開始された。先ず,諸施設設備の適正配置と場内保安距離確保の観点から敷地面積の拡張と同計画への自治体を初めとする関係諸機関および地元住民の理解と支援獲得のための折衝と広報活動が松尾場長を中心とするスタッフによって精力的に行なわれ,こうして整えられた好雰囲気の下,向後足掛け3年の間に,上記「真空燃焼試験棟」と双璧をなすべき中核設備「大気燃焼試験棟」,および「火薬庫」,「接着剤調合・火工品操作室」,「危険物保管庫」等の試験支援設備が相次いで新営された。

 並行して,老朽・狭隘化の難点が指摘されていた「計測・管制棟(第一計測室)」の改装と拡充も行われ,同じく旧式化した点火管制設備,CPUを新設備に更新して点火・計測・操作系の容量と作業性・安全性の向上が図られた。仕上げに,80トン・トレーラーの場内導入を可能とし,大型支援器材の場内移送を安全・容易にするべく,正門の拡張,場内の建屋取り付け道路・屋外作業スペースの舗装等周辺整備工事が順次行われて,場内の景観が一変した。

 施設整備がほぼ整い,いよいよM-V型計画関連の大型燃焼試験が本格的に開始されようとする矢先の92年4月,岩間教授が第三代場長に就任された。この時期,実験場から1km以内の砂防林内至近の空き地に公害性の高い大規模養鶏場進出の民間計画が持ち上がり,宇宙研のみならず地元浜浅内地区住民にとっても前後数年に亘って大いに苦慮するところであったが,やくざまがいの業者と単身渡り合い,遂にこれを撃退した岩間場長の武勇談は,関係者のみの知るエピソードである。

 その後95年10月までM-V型ロケット推進系・TVC系研究開発のための一連の燃焼試験が集中的かつ成功裡に実施された経緯については,「M-V特集号」掲載の関連記事を参照されたい。実験実務の多忙なこの期間にも,場内研究施設設備には,NTCの伝統に倣い,実験班員自らの創意工夫による逐次改良が重ねられ,今日まで良好な稼働状態を維持している。

 なお,M-V型関連燃試計画最終年度の95年4月,岩間教授の定年退官に伴う退任により筆者が第四代場長を拝命した。本年在任3年目になる小職は,当面の責務を場内全研究施設設備の健全維持と近代化整備,厚生設備の充実,現地職制の拡充,地元との蜜月関係の維持と認識しているが,歴代場長によって将来計画のために確保されている場内南面留保地に「空気吸込み式ロケット」および「宇宙探査機推進系」研究開発のための2大試験棟が近い将来出現することを夢見ている。

(高野雅弘)


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